92【俺の島へようこそ】
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一足先に島に着いた俺は、あらかじめ扉をつなげて準備を頼んでいたセバスチャンとミアに一声かけて、シャワーを浴びて、アロハシャツに着替える。
今日のミアのメイド服は、半袖のパフスリーブに膝上丈のスカートで、秋葉に居そうな涼しげで可愛いバージョンである。良き。
でも、みんなが着替えた後はミアも一緒にバカンスにしちゃおうと言ってある。
海岸には小舟が一艘つなげられていた。今日はウィードさんはいない。毎回いるわけではない。あくまでもヴィーチャ姫やタイナロン様の侍従だからな。
この小舟は前日お小遣いで買いました。こんなものが買えるほど今はリッチな俺様。モーターボートは乗ったことないけどね、エンジン代わりに水魔法と風魔法の魔方陣を仕込んで、舳先で自力や魔石を利用して魔力を使って動くように文字通り魔改造してあるけどね。
俺は島の隅っこのちっちゃい森のようになっているところに行って、食べ頃に熟れたバナナを一房取る。木にぶら下がっているバナナの一房ってのはすごい大きさだ。あとはココナッツかな。
島を貰ってすぐに、バナナの木と、他にも少し、美味しいものを植えて、緑色ちゃんに管理してもらっている。
今日はまた本島の市場に行って米や小豆の補充だな。そして、和室のためのあれを探して買う。
だから、本土へは小舟を使わずドアで行くんだけどね結局。
“シュンスケ、もうすぐ島へ着くぞ”
ムーから念話が。この念話は、どこでもつながるんだよね。
俺はもう一度空へ浮上してみんなを迎える。
「ようこそ!俺の島へ(島の名前はまだない)」
そして結局ペルシャ風絨毯ごと、みんなをムーさんから浮かべて島の真ん中のバーベキュー広場の様なところに降ろす。
「わあ、素敵なところ」
「プールが眩しい」
「ここからの海もいいね」
「では皆様、お部屋にご案内します」
「あ、ミア、いつの間に」
「シュンスケ様のスキルで、皆様が出た後すぐに、こちらへドアを繋げてもらいました」
「やっぱりそれもできるんだ」
カルピンさんに言われたけど、
「出来るけど、維持が出来るか分からないんだよね、世界樹の補助もここまでは難しくってね」
さすがにこの南国には葡萄は育ちにくい。温室の逆バージョンを作れば出来るかもしれないけど。地下とかで。
でもなぜか、スフィンクスは自力で来れる。
俺はみんなのざわめきを島に置いて、ムーへお礼を言いに浮かぶ。
「ごめんねムー、こんなこと頼んじゃって」
『謝ることはない。シュンスケ、お前はもっと我らを使えばいいのだ』
「使うなんてやだよ。対等にやって行こうよ。もしも、ムーが困ることがあったら俺を呼んで?ね?」
『暇で暇で困ってるときでもいいのか』
「うん!大歓迎!いつでも呼んで!一緒に遊ぼうね」
『わかった、楽しみだ』
「えへへ」
握手の代わりに大きな手びれに抱き着いて離れると、ムーは静かに透けていった。
「さて、買い物だ」
俺が用意しておいたビーチサンダルをみんな履いて、建物の入り口に集合している。
すっかり夏の装いだ。ガスマニアから北は真冬なんだけどね。
まずは、冒険者ギルドだ、なんか呼び出されていたからな。
ガチャリ
「よう、シュンスケ」
「こんにちはタイナロン様」
今日も族長じゃなくてギルドマスターなんですね。
「「今日はよろしくお願いします」」
「よく来たな。まあ、最初は海鮮バーベキュー食べといてくれ」
「皆様こちらへ」
みんなをポセイドンのスタッフが連れていく。
「シュンスケ、お前さんはこっちだ」
と、首根っこをを捕まえられる勢いで連れていかれる。
「えっと、ウリサ兄さんも~」
「わかった」
そして、アジャー島のギルマスの部屋へ連れていかれてしまった。
「さて、俺が言いたいこと分かるか?」
「さっぱり」
「シュンスケ、いやシュバイツ王子殿下」
ゴクリ
ちょっとそっちで言いなおされるのすこし不安。俺には権力とか何も無いっすよ。
「セイレンヌアイランド共和国の名誉国民も受け取ってほしい!」
「うっ、名誉アジャー島民じゃなくて?」
「共和国で。共和国は全部引っ付けても、ガスマニアより小さいからな」
大きさの問題か?
「なるほど。あのクラーケンは災害級だったしな」
ウリサ兄ちゃん、まだオッケーじゃないよ!
「あれが暴れたら共和国全体の半分はやられていたのだから」
俺は去年、滅茶苦茶でっかいタコの魔物クラーケンを討伐したのは確かだけどね。討伐した後は一部を美味しく食べたしね。
それで感謝されたのは受け取ったよ?もうあの素晴らしい島を貰ってるしね。
なんだろ、ガスマニア帝国に対抗してる?
「あの、お答えを持ちかえらせてください。父と相談のうえでお返事します」
「もちろん!ロードランダ国王陛下には、私からもお手紙を出しておこう」
「・・・わかりました」
「さて、言いたいことはそれだけだ。お前が来たらとずっと待ち構えていたんだ。すっきりした」
たしかに、晴れ晴れした顔に変わってる。
「今回は民芸品を探しに行くんだよな?」
「はい」
「じゃあ、西隣のオフ島だ、お前もバーベキュー食べたら、船着き場に行きなさい。船を手配しておこう」
「ありがとうございます」
ウリサと買い物組はタイナロン様に呼んでもらったウィードさんに水上マーケットに連れて行ってもらう。
「じゃあ、みんな、ここからは戦いだよ!買い物も楽しめばいいけど、値切るのも楽しむんだよ!」騙されないように気を付けてね!
「わかったわ!」
「まかせて」
「カルピンさんはどっち?」
「もちろん殿下についていくわ。私はこっちの家具とかも見たいしね」
「さすが。では行こう」
俺たちは水上マーケットのボートよりは大きい、三角の帆がカッコいいヨットに乗り込んだ。
ヨットは、魔法の自動航行になっていて、風を呼んでプログラムされた目的地にたどり着く。今日の船長さんは、人魚族でもトリトンの男性だ。見た目は。
「お話には聞いていましたが、あなたが我々の恩人のシュンスケ様ですか。小さくて、ちょっと信じられませんね」
アジャー島を離れたとたん、いやな言い方だな。
「そうですよね、タイナロン様も大げさなんですよね」
おれはヨットの人に同意しておく。安全にたどり着きたいもんね。
「ほんとですよ。あの族長は大きな顔をしすぎですよ、アジャー島はたまたま高速魔道フェリーが到着するから栄えているんですよ」
ヨットの客は俺達三人だけだ。
「シュンスケさん、だいじょうぶか?この人」
クリスがコッソリ話してくる。
「へいきへいき」
「シュンスケ様の金色の冒険者ギルドの身分証を見てないのかね」
カルピンさんもつぶやく、
「いいんですよ。今までの対応がおかしかったんだよ」
だって、ただのガキだもん。
今回も黒い人間族姿で滞在しているしね。
でも、このヨットの人も、俺みたいなピアスをしてて、俺の鑑定に不自然に引っかかっている。
ヨットはすぐに隣の島にたどり着く。
「では、お帰りの時はまたこちらへ」
「あ、帰りはお迎え要らないです」
「なぜ?」
「自力で帰れますから」
「そうですか?今夜は少し荒れますよ?」
「ご心配なく」
俺はともかく、タイナロン様の悪口も言ってたからな。片道の料金だけ払う。帰りは知らないよ。
「え?どうするの?」
「自分たちで帰れますので、帰りは不要です。本当はエルフのドドメさん」
「なんだと!なぜ俺の・・・」
「さ、皆行こう」
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