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90【リアルブロックあそび】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 ルビードラゴンについては、伯爵は良く分からないと言われたが、精霊たちに聞くと、もうしばらく石の中で眠っていたいらしいけど、寝てるだけでも暖かいなら、カイロ代わりに持ち歩いてはどうだろうと言われたので、今は、丁度良さそうなきんちゃく袋に入れてポケットに入れて持ち歩くようにした。暖かいよ。


 今日はなんと独り歩きをすることになった。俺がAランクの冒険者という事と、精霊魔法が得意な伯爵夫人が、俺の周りに精霊ちゃんがいっぱいいることを確認できたので可能になった。翅だけひっこめた緑銀色エルフ状態だ。凍傷がこわいからばっちりフードで耳を保温。


 クリスは伯爵家で祖父母と孫水入らずの一日となっている。


 リーニング伯爵領は、森の恵みで運営している地域で、領地はガスマニアのラーズベルトより少し広いけど、山や森が多いので、人が住める地域は少ない。あちらこちらに主産業になっている材木屋さんや木工屋さんがある。領都もコンパクトな街で、住宅や商店、職人の工房は領主館のように木を生かしつつくりぬいたものだが、材木屋さんは大きな木造の校倉あぜくら造の建物が多い。

 俺は、紹介された木材屋さんを一つお邪魔した。


 「すみませーん」

 中に入ると、緑色ちゃんと黄色ちゃんが沢山いた。

 “あ、おうじー”

 “おうじいらっしゃいー”

 この子たちはあちらこちらに存在しているのに、いつも俺の側にいる子達と同じ感覚だ。微妙に服とかがちがうね。この木材屋専門にいてる子たちかな。

 「おや、いらっしゃい。君がシュバイツ様だね」

 中からでてきたのは、ワイルド系のエルフの女の人だった。フードの付いたトレーナーの上からオーバーオールの作業着。腰には色々な道具が刺さったものがぶら下がっている。


 「はいこちらで、木造住宅について相談できると聞いていたので」


 今、ポリゴン町の俺の土地では、ナティエさんとアイラちゃんが住む家を建築しようとしていた。もちろんクリスの部屋も作る予定。

 ポリゴンの大工が言うには、木材を俺が自分で調達するほうが運搬費が浮くからというのだ。それでどうせなら、ナティエさんの地元のリーニング領で調達しようということになった。しかも木材というのは長ーい角材を山ほど持ってきて、現地でカットしながら作るのではなくて、プレカットと言って、もう部材としてセットになっていてそれを組み立てるのだそうだ。現在の日本と同じ?でもプレカットになった部材が全然違うっポイ。


 伯爵に紹介された木材屋は、カルピン木材店。店主のカルピンさんはロードランダ王国内でも人気の建築士でもある。ぜひ機会があれば弟子入りしたいものだ。


 俺はミーティングルームの様なところに案内された。

 ゴスロリの秘書さんがお茶を出してくれる。あ、この秘書さんも二百歳越えのお嬢さんですか。あ、ドワーフの方。鑑定で知りましたけどね。


 「ガスマニアのある街に三階建てを建てたいと思っていて、俺なりに考えたプランがこれで」

 と、母さんのパソコンにあった素人でも使える間取りソフトで作った百分の一サイズの平面図を取り出した。

 現在お屋敷でセバスチャンとミアから教育されている犬人族の二人と、ウリアゴの拠点や仕事のできる事務所などに使おうとして考えていた2SLDKと6LDKの二世帯に馬小屋が付いたものだ。風呂は二つ、トイレは各フロアに作るので三つの予定だ。

 挿絵(By みてみん)

 南向きでおよそ百十坪の敷地の東側の半分には収穫の終わった栗の木が植わっている。だから敷地の西側半分を使うことになる。

 自分のプランを話しながらも、アイテムボックスからユグドラシルの干し葡萄がたっぷり入ったカット済みのパウンドケーキを出して、秘書さんに一枚多い目にお皿を出してケーキを三つそれぞれに置き、残りと、もう一本のケーキを手土産に秘書さんに託す。


 「ふむ、なるほど。よし、あたしは基礎工事と、それ用の組み立てキットを担当してあげよう」

 「基礎もしてくださるんですか!」

 「だってそりゃ、ナティエが住む家なんだろう?」

 「はい」

 「あたしは、あの子の古くからの友達なんだ」

 「そうだったんですね」

 「それで、殿下は明日も来れるかい?」

 「はい」

 「じゃあまた明日の昼過ぎに来てくれ」

 「わかりました」

 “えーもうおうじ、かえっちゃうの”

 “もうちょっと、あそんでー”

 パウンドケーキに群がってる精霊ちゃん達が引き留める。


 「さすがだな殿下。精霊に愛されているんだな」

 「ははは、ここは精霊ちゃん沢山いますねえ」

 「そうだろ」

 「そう言えば、最近ナティエさんの息子のクリスが精霊魔法を少し使えるようになりましたよ。今は伯爵の家にいるんですけどね」

 「!そうか。もともとの素質もあるだろうが、殿下の側にいるからだろう」

 「一番初めに聞こえたのがユグドラシルなんですよ」

 「へえ、それは大物の精霊魔術師になれそうだね」

 「ええ。じゃあ明日はクリスと来ますので」


 翌日、クリスと一緒に昼からカルピンさんを訪ねた。

 すると、彼女の作業場では俺の図面をもとに、きちんとパーツを割り出した詳しい図面が何枚も仕上がっていて、さらにその奥の作業場では精霊たちも巻き込んだ風魔法で、木材が切り出されていた。木材を切り出すのは、専門の職人で、男性のエルフやドワーフが何人も作業していた。

 

 カルピンさんは、羊皮紙に何かを魔法で書き出している。これは通販で買う組み立て家具に入っているような組み立て図だ!すごい!

 「殿下いらっしゃい。クリスもよく来たね」

 「カルピンさん、お久しぶりです」

 聞けば、木工の好きだったクリスのお父さんも何度かここに来たことがあったらしい。その時にクリスも一緒に来たそうだ。


 しばらくして、作業場が静かになった。

 「じゃあ木材を見に行くよ」

 「「はい」ってこれは!」


 広い作業場に行くと、大小に切り出された木材が四つの山に分けられていた。その木材は玩具のブロックが凄く大きくなったもので、上部に凸が並んでいて、底に穴が開いている。

それぞれのパーツに番号が書き込まれている。


 カルピンさんが組み立て図を見ながら確認する。手には体操服入れぐらいの四つの巾着袋を持っていて、巾着には大きく〈1FとST〉〈2F〉〈3F〉と何も書いていないもの。STって何?あ、厩舎ですか、必要です!俺の見せたソフトの図面では〈P(駐車場)〉だったのがちゃんと馬用に代わっておりました。日本育ちの俺には思いつかなかったもの。


 そして、確認しながら大量の材木をひと塊ずつ小さな巾着に入れていく。そして最後に何もない巾着に他の四つの巾着を入れて、組み立て図を入れてしまう。残ったのは床に木屑が少し残った空間と、一つの巾着袋だった。すごいパッケージ方法だ。

 

 「さて、殿下、現場にご案内してくれますかね」

 「はい?」

 「ぱっと行けるんでしょう?国王陛下の息子さんですし」

 「・・・行けますよ」

 そう言えばもちろん父さんも使えるもんね瞬間移動。


 「使っていない戸板はありますか?」

 「おう、これ使ってくれや」

 建具が色々置いてあるところから、ドワーフのスタッフが部材の扉を持ってきた。

 俺はそれを、カルピンさんの事務所の壁に一つ埋め込んだ。そしてドアの表面に幾つかの手持ちの魔石をくっつける。


 「では行きますね」

 転移用の小屋につなげる。


 ガチャリ


 「おお、なるほど。良い土地じゃねえか」

 「あれは林檎かい?んで、こっちが昨日言ってた栗の木だな」

 ドワーフとエルフの兄ちゃんも来た。

 「ええ。でも栗の木はベつの所に移動してここを児童公園にしちゃおうかなって」

 「児童公園?」

 ああ、聞いたことない単語かぁ。

 孤児院の庭にはそれっぽい設備があるんだけど、町の子供が子供が安心して遊ぶ公園などはない。

 わざわざ公園に行かなくても広場はあるからね。休耕地とかさ。


 「そんな事より」

 「そうだね」

 「んじゃいっちょ行きますか」

 土魔法はドワーフの人のほうが得意だそうだ。


 先日、犬人族のトムとエマに草引きをしてもらった西側半分のエリアに、ドワーフとエルフが基礎だけを描かれた図面を見ながらメジャーやでっかい三角定規などを出して寸法を出しては五寸釘のような小さな杭を地面に打ち込んでいく。初めにここの四隅を決めた釘に似ている。だってピコピコ鳴ってるんだもん。


 次は、その二人が正面と奥に立って詠唱を開始すると、四角く地面がくぼんでいく、そして一メートルほど掘り進められたのち、また粘土のような粉が平たくせりあがって、最後は石のように硬化して止まった。そこには、初めに土に打ち込まれた杭の頭がきれいに並んで見えていた。


 続いて二人は其の杭と杭の間に黒い粉で線を引いていく。


 「あの黒い粉は何ですか?」

 クリスがカルピンさんに聞くと

 「あれは砂鉄にアダマンタイトがちょっと混じった金属の砂さ」

 「まさか、あれで鉄筋を?そんな・・・」

 「正解!よくご存じですね殿下」


 「棟梁、出来たぜ」

 「よし、じゃあ皆行くよ!」


 すると、いつも自由な精霊たちのうちの赤色と緑色がたくさん表れて、小さな杭とその間に綺麗に配置に着く。


 「シュバイツ殿下の前だから張り切って行こう」

 “はーい” “がんばるー” “おうじみててね!” “あとでおやつ”

 「おう、スフィンクスが作ってるぜ」

 “やったー”


 「じゃあ行くよ」

 カルピンさんが詠唱を始める。

 詠唱というより、図面の内容を読み上げる感じだ。

 ≪リボール ファンデーション ワーク≫

 最後に掛け声のようにバシッと叫ぶと、黒い粉が踊り出し、みるみる整然とだが複雑にくみ上げられた鉄筋がそこに立ち上がり、そのあとにグレーに濡れた粘土が湧いて出てくる。

 「シュンスケさんあれは何でしょうね」

 カルピンさんが集中しているので、クリスは俺に聞いてくる。

 「あれはセメントだよ。すごいすごい」

 「おや、殿下はセメントや基礎工事のことをご存じですか?」

 エルフのお兄さんが声を掛ける。

 「ええ、母が少し建築も仕事にしてまして、工事現場に連れて行ってもらったことがあるんです」

 「殿下のお母様って」

 「クリスしっ」


 ただ、俺が見たことあるものと全然違う基礎が出来ていた。この土台はあれだ、おもちゃのブロックの最初に置く土台のようだ。壁や柱を予定しているところに突起が並んでいる。


 「じゃあ、殿下、この後だがな、この袋に1階の部材が入っている」

 「はい」

 「とりあえず」

 と言って、その〈1F〉の中身を馬小屋に予定しているところに出す。

 窓や枠の付いた戸板も揃っている。

 「そして、この組み立て図を見ながら番号のブロックを決まった場所に嵌め込むんだ」

 そう言いながら見覚えのあるフォルムになった木を運んで、基礎の上にグイっと嵌め込むカルピンさん。

 おおーリアルブロックの家だ!造りたい。

 二つ目のブロックを自分で嵌めてみる。少し硬いけど大きな木づちで慎重にトンと上から叩くとかっちり嵌る。

 十個ぐらいをそうやってトントンやっていたけど、一つが大きいし、凄く沢山のブロックがあるんだよ。ただ、ブロックの表面に書かれていた番号は鑑定しても数字が表れている、と言うことは、あれだよ。


 「ちょっと試したいことがあるのですが、いいですか? 皆さんすこし下がってください」

 俺はスマホを出し、一階分の組み立て図をカメラでスキャンして、部材の山もカメラで指定する。そして〈杖〉アプリを開けて、

 ≪マルチタスク発動≫

 すると、キラキラした効果音がスマホから流れながら、部材がブワーっと光り、次には組み立て図のように浮き上がってから図面通りの定位置に嵌め込まれていく。扉や窓も飛んで行く。

 大がかりなマルチタスクは、スマホを持った俺の手から魔力が吸い出されて、スマホからターゲットへ送り出されているのが見える。魔法が使われても、このちっちゃい体で肉体労働をするより断然楽だ。


 そして七から八分程で1階の天井の板がかぶさっていくとスマホの〈杖〉アプリが光るのをやめて静かになった。


 「一階できた!」

 “おうじすごーい” “はやーい”


 「うそでしょ」カルピンさんが口を開けて立ち尽くしている。

 「どうですか?なにかおかしなところがあるか見てもらえますか?」

 「あ、ああ」

 すでに階段も出来ている。


 「スゲーな殿下」

 「ああ、素晴らしい」

 エルフとドワーフの兄ちゃんに褒められた!

 「ほんとに、殿下が殿下じゃなかったらスカウトしたいのに!」

 カルピンさんが悔しそうに言ってくれる。

 「俺も王子じゃなかったら弟子入りしたいです。そのうち王子が首になったらお願いします」

 「シュンスケさん何を言ってるのですか。国王陛下が泣いちゃいますよ」

 クリスが困ったように言う。

 あーあの泣き顔はもう見たくないね。

 「わはは、クリスの坊や、殿下は冗談に決まってるだろう!」

 って笑いながらカルピンさんはクリスの背中をバシバシと叩いている。

 「痛いですぅ」


 「じゃあ、この調子で、二階へ棟上げしちゃいましょうか」

 「もう建ててしまいますか」

 「はい、覚えているうちにやってしまいます」


 そうして、休憩を挟むこともなく三十分ほどで三階建ての家が組みあがった。


 こんど、アナザーワールドの家の部材も発注しよう。あっちは王都の海の家と同じ大きさがいいなー。あれもカルピンさんの所の設計だと聞いたので、図面が残ってるんじゃやないかなー。


 「殿下、母を呼んできていいですか?」

 「うんお願い。あ、ハロルド出てきて」

 『はーい。クリスと孤児院だね』

 「うわ、ハロルド様だ」

 『カルピン、よろしくね。じゃあクリス行くよ!』

 「お願いします!」

 鞍はまだなくて、手綱だけの白馬に乗ったクリスが孤児院に向かう。


 「じゃあ、カルピンさん、始めに出てきたこの小屋の扉を、カルピン木材店のあの扉につなげて固定しておきますので、設備と内装と外装の仕上げをお願いできますか?

 えっと、初期費用と中間金を今渡しておきます」

 と、もともと言われていたお金を渡す。父さんの横顔の奴だ。

 「いや、組み立てたのは殿下だから半分でいいよ」

 「ええそんな」

 「じゃあ、後はナティエの好みを聞いてやっていくか。とりあえず住むところを先に仕上げて・・・」


 「棟梁、あれ!」

 エルフの兄ちゃんが焦ったような声を出す。

 「どうした?ああ、ハロルド様、帰って来たんだ」

 振り返ると、ペガコーンスタイルでクリスとナティエ、それにアイラと三人とも乗せて飛んで戻ってきた。

 「やあ、おかえり。飛んで帰って来たんだ」

 『うん、アイラが飛びたそうにしていたからね』

 「たのしかったですー」

 「へえ良かったね」

 ニコニコ顔のアイラちゃんの頭をつい撫でちゃう。


 「本当にペガコーンのハロルド様だったんだ」

 「何をいまさら、さっき殿下のほうから突然現れてたじゃろ。しかしペガコーンの姿を見れたのはラッキーじゃぞい」

 男性二人はいまだにハロルドの姿について話している。


 「まあ、すごいお家が出来てるのね」

 「ナティエ 久しぶり」

 「カルピンじゃないの、え?この家はまさか」

 「私がと言いたかったが、組み立てたのは殿下だ!」

 「なんかご免。楽しくてさ~」

 「いやいや、急いでいることは伯爵から聞いていたからいいんですよ」


 「それでね、あとは内装と外観と仕上げてもらうのと、メインで使うキッチンの好みとかをカルピンさんと相談して仕上げてもらいたいんだ」

 「わかりました」

 「わー、私も見せてもらっていいですか」

 可愛いエルフのお嬢さんにお願いされる。

 「アイラ譲、気になりますか?」

 カルピンさんがアイラちゃんの頭を撫でて聞く。

 「はい勿論です!」


 「そこの扉を、今リーニング領のカルピンさんの事務所に繋げているから、そこから通ってもらったり、こっちから行ったりしても良いんだけど」

 「はい、ありがとうございます」

 ナティエさんがすっごくニコニコしている。やっぱりちゃんとした家に住みたかったよね。

 「母上、もうあちらは雪が積もってます」

 「じゃあ、防寒をしてから扉をくぐらないとね」

 それなら一度伯爵領に行って用意してもらったほうがいいよね。

 防寒の服は寒いところで買う方が良いに決まっている。


 「逆にあたしらがお家が完成するまでこっちに居たいよ」

 「棟梁、それはだめです!」

 「えーだって、こっちこんなに温かいじゃない」

 「「だめです」」


 女性は寒いのは苦手な人が多いよね。


 それにしても、アイラちゃんは色々なクラフト系に食いつくなー。わかるよ。俺もカルピンさんにマジで弟子入りしたいもん。

 でもそのうち短期集中的に弟子入りをお願いしよう。


 「では、カルピンさん、もしも何かありましたら精霊ちゃんに伝言してくれたら届きますので」

 一度事務所に戻った俺とクリスは、クロスの見本帳や設備のカタログを見繕っているカルピンさんに声を掛ける。


 「そっか、了解。いい家に仕上げるよ!」

 「よろしくお願いします。あと、二階のバルコニーの下というか一階の軒を葡萄棚にしたいんです。苗はこれで」

 とアナザーワールドに置いてあったプランターを出す。

 「これはユグドラシル様のだね」

 「そうです」

 「なるほど、これほど強力な結界はないわね」

 「でしょう?」



 それから一カ月後、ポリゴンの家の居住エリアが完成したと黄色ちゃんの知らせを聞いて、クリスとリーニング伯爵と犬人族のトムとエマと一緒に見に行った。


 外観は帝都の屋敷と同じ真っ白な壁に青いポイントと屋根になっていた。すごく目立つ。

 中は木を生かした内装になっていて、リーニング伯爵の領主館のようだ。やっぱりいい香りがする。そして、あっという間に育っただろう葡萄がリンゴの木の向かいでふさふさと実をつけていた。


 「うん、中々じゃないか」

 素人のプランで立派な家になった事に感動する。

 

 パソコンのソフトではもちろん馬小屋なんてないから、駐車場だったんだ。ここに藁をしいて、排泄物を藁ごと落とし込む設備もあるんだよ。それもアメーバスライムが処理してくれるそうだ。なんてすばらしい。


 あとは、ナティエさん用の馬車とそれを曳いたり移動用の馬を調達しなきゃな。


 「そして二階の納戸に見えるこの扉」

 「ああ、それは何だい?壁に扉だけ付けてくれって言われて付けたんだけど」

 「これにまた魔石をはめ込みます。そしてユグドラシルの蔓を挟んで・・・」

 「そっか別のところにつなげるんだね、うちの工房への扉みたいに」

 ちなみに建物が出来た時点で、小屋を解体して、カルピン工房への扉を付け直したよ。これはそのうち取り外す予定。


 「ええ、これは・・・と出来たかな」

 ガチャリと開けると潮の香り。

 「成功ですね」


 「まあ帝都のお屋敷ね」

 「はい」


 「さすがシュバイツ王子、国王陛下よりひょっとしたら規格外なのでは?」

 カルピンさんが言うと。

 「そうなんですよ、こういう扉がもう何か所ある事か」

 と、クリスも言う。

 「忙しいからしょうがないよね」

 便利なものは使わないとね。


 そうして、俺のブロック遊びで出来た立派なお家が一件、ポリゴン町に完成した。

お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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