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社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第三章前半『おじメダル配布作戦』

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第94話 イベントのイベント

≪イベントが開催されました≫



「さあ、スタートでござるよ!」


 コヨミさんと二人、王都の街なかでベンチに座りながらシステムメッセージを聞く。ギルドホームにいると誰かが来た場合、待ち構える形になる。今回も見つからずにやりたいことがあった。結社の名に恥じぬようイベントに臨もう。



≪ポータルより参加者のホームへ移動可能となります≫

≪プレイヤーのみさなま、ぜひお楽しみください≫



「いくつかホームを見て回りますか?」


「そうしましょう!」


 自分たちのホームで遊びを提供するにも、人がいなければ始まらない。少し時間を置く必要がある。


 とりあえず、ベンチを離れてポータルに向かう。後のことも考え、コヨミさんとパーティを組んだ。生産を前面に押し出すイベントだが事前準備中に改めて、DAOの自由度を目の当たりにした。せっかくの機会と思い積極的に取り組みたい。


『むむ、我々のギルドホームが混雑表示でござる』


『……本当ですね』


 プレイヤーが囲むポータルにアクセスしてイベントの追加項目を開くと、トップに所属ギルドが固定されていた。電波に似たマークが意外にも混雑を示す。


『前回のイベントで名前が売れて、注目を集めたのでしょう』


『なるほど』


 思ったよりも影響は大きいらしい。ホームの一覧を混雑度でソートする。紅騎士団やいぶし銀などが上に並ぶのは納得だ。空いたときに忘れず見学へ行きたかった。


『緊張してきました』


 たくさんの人に興味を持ってもらえるのは嬉しいけれど、心配が上回る。


『大丈夫でござるよ! 準備は万端! みなさまに楽しんでいただけるかと!』


『だといいですが』


 前向きな姿勢はいつも心強い。自分のネガティブは重症なので短所を長所に、慎重派と言い換え役に立ちたいところ。


『この盛況さであれば、すぐ作戦に赴けるでござるな』


『そうですね』


 一番に選んでくれた人たちだ。おもてなし、とまで大層じゃないが、ちょっとした驚きをプレゼントしに行こう。


 ポータルを使いギルドホームへ移動する。拡張時当初から設置されていた簡素な門に立つと、多くのプレイヤーが目に入った。畑に空き地に、色々な場所で喧騒が聞こえてくる。


『まるで違うホームに来たような……』


『大所帯のギルドでは日常の光景でござろうか』


 これだと、さすがに窮屈で気が休まらなかった。所属人数を増やしすぎるのも考えものだ。回復代行結社に入りたいと思う人がいるかはともかく。いらぬ心配か。


「ひっろいなー!」


「こんなん野菜も育て放題じゃん。うちなんて植木鉢だってのに」


「ザ・和風の建物はいいよなー」


「あっちは蔵? 色々あるんだな」


「なんで激長の列ができてんの?」


「知らね。まあ並んどくか」


 耳に入る会話に疑問を覚えて蔵へ近づくと、確かに長い列が見えた。


『あれは人気、なんでしょうか』


『接触判定を有効にしたため、中へ入れる人数に限界があるのでござるな』


 そういうことかと腑に落ちる。ホームではメンバー同士が戦闘訓練などを行えるようにか、接触やダメージの判定を細かに設定可能だった。接触判定の有効化は、今回の趣向に合わせた処置だ。


『ではでは、拙者が先陣を切らせていただきます!』


『よろしくお願いします』


 蔵の方は放置で問題ない。まずは物陰に隠れてキュル助を呼び出す。


「キュル!」


 透明になり人を避けながら建物へ急ぐ。入り口横の立て札を眺める集団にも気をつけ、管理者権限で設定を変更した。続けて説明書きの下に作った金具で揺れる木札をひっくり返し、休止中から実施中にする。


「イベント用の看板?」


「ホーム内での催しか」


「あれ、実施中になってね? さっきまで休止中だったのに」



《屋根の上に忍者が現れた》



「お?」


「なんだなんだ?」


「触手忍者がいる!」


 ホーム内全体をカバーできるチャットを使うと、屋根に立つコヨミさんへ視線が集中する。



《忍者に攻撃を当てると記念品が贈られます》

《攻撃判定は建物前の立て札により付与が可能です》

《みなさま奮ってご参加ください》



 記念品は彫金で作成したオリジナルのアイテム。特に使い道もなく喜ばれるか怪しいが、軽いアトラクション程度に考えてくれるとありがたい。


 そして、自分の仕事もこれからだ。記念品の用意は四種類。透明化を利用し密かに配って回ろう。




 ◇




【DAO】イベント会場Part4【第三回】


 24 名前:名無しの古代人

    ホームは複数の部屋に分かれてなかったか


 25 名前:名無しの古代人

    始まってすぐに混雑とは


 26 名前:名無しの古代人

    上位ギルドは漏れなくだな


 27 名前:名無しの古代人

    妖精おじさんのとこも大人気


 28 名前:名無しの古代人

    乗り遅れた

    実況まだ?


 29 名前:名無しの古代人

    おじのホーム広いね


 30 名前:名無しの古代人

    畑と森か

    回復代行結社の名前にしては田舎丸出しだ


 31 名前:名無しの古代人

    隠れ家の雰囲気は出てる


 32 名前:名無しの古代人

    単純に作ってる途中でしょ

    紅騎士団も城の一部があるだけだ


 33 名前:名無しの古代人

    いぶし銀のホームに来れたけど似た感じ


 34 名前:名無しの古代人

    拡張チケットで広くなった分の時間はかかる


 35 名前:名無しの古代人

    エンドコンテンツなとこあるし


 36 名前:名無しの古代人

    おじホームの蔵にでかい地図がある

    どのエリアでしょうだってさ


 37 名前:名無しの古代人

    何その謎クイズ


 38 名前:名無しの古代人

    答えを書く紙と提出用の箱がある

    抽選で記念品が当たるとか


 39 名前:名無しの古代人

    何それ欲しすぎる


 40 名前:名無しの古代人

    混雑の解消はよ


 41 名前:名無しの古代人

    一応滞在時間に制限はあるみたい


 42 名前:名無しの古代人

    予約もできるし

    そのうち入れる


 43 名前:名無しの古代人

    おじホームで忍者イベント始まった


 44 名前:名無しの古代人

    何その楽しそうなやつ


 45 名前:名無しの古代人

    公式じゃなくてギルドで開催してるのか?


 46 名前:名無しの古代人

    マジかよ

    参加したいんだが


 47 名前:名無しの古代人

    接触判定の確認があったから不思議だったけど

    このためか


 48 名前:名無しの古代人

    紅騎士団はPvPイベント開いてる


 49 名前:名無しの古代人

    公式と別でやる発想は微塵もなかった

    余裕のあるギルドは違うな


 50 名前:名無しの古代人

    いぶし銀もPvPだ


 51 名前:名無しの古代人

    生産メインのイベントなんだが?


 52 名前:名無しの古代人

    闘争だ闘争だ闘争だ!


 53 名前:名無しの古代人

    血の気が多くて助かる

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― 新着の感想 ―
ナカノさん所は地下街でやる 謎解きゲームで楽しいそう。 武闘派ギルドは…まぁ定番だな
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