第81話 YOU ARE THE CHAMPION
【DAO】イベント会場Part12【第二回】
908 名前:名無しの古代人
紅はどこ向かってんだ
909 名前:名無しの古代人
たぶん忍者が死んだとこ
古代の遺物を使うつもりでしょ
910 名前:名無しの古代人
さっき発動したのは回復だったが
何かしら有用なんだろう
911 名前:名無しの古代人
魔法とポーションにプラスアルファでやっと耐久か
設定としてはそこそこ優しい気がする
912 名前:名無しの古代人
初見のマップだし鬼ダメージはな
一度の迷子でアウトはハードモード
913 名前:名無しの古代人
安全地帯は地図に表示されてるよね
紅も見てそうだけど
914 名前:名無しの古代人
移動前だったら見ててもおかしくない
移動後だったら見逃してるかも
915 名前:名無しの古代人
わりと絶妙なタイミングだったか
916 名前:名無しの古代人
この安全地帯は戦略的にでかい
917 名前:名無しの古代人
ダメージゾーンを広げたりもだが
一番イベントに沿った戦い方まである
918 名前:名無しの古代人
紅が古代の遺物の前にきた
919 名前:名無しの古代人
あれ?
ヒーラーが普通に倒れたな
920 名前:名無しの古代人
周囲への警戒は見える
921 名前:名無しの古代人
仲間の忍者から状況は聞いてんじゃないのか
922 名前:名無しの古代人
相打ちで倒せたかどうかまでを報告できたかは怪しい
なんにせよ他に潜んでる可能性も考えてるはず
923 名前:名無しの古代人
ヒーラーが復活の巻
古代の遺物を使った?
924 名前:名無しの古代人
耐久に持ってこいの効果だな
925 名前:名無しの古代人
いつの間にか安全地帯が消えてる
時間制限は当然あったか
926 名前:名無しの古代人
紅がしゃがんで穴を気にしてる?
927 名前:名無しの古代人
手分けで草むらを武器で叩き始めたね
928 名前:名無しの古代人
穴が他にもあるか調べてる
隠れられると感づいたかこれ
929 名前:名無しの古代人
確信は持ってないだろ
もしかするとレベル
930 名前:名無しの古代人
結局は探す範囲が広すぎるし無理ゲー
931 名前:名無しの古代人
疑わしい場所を地図で見てそう
もうちょっと早ければ安全地帯に気づけたのに
932 名前:名無しの古代人
現状だと妖精おじさんが有利かな
リーダー本人がヒーラーなのは強い
933 名前:名無しの古代人
後は双方とも変化球なしっぽい?
934 名前:名無しの古代人
ようやく打ち上げが始められるな
935 名前:名無しの古代人
オードブルが冷めちまった
936 名前:名無しの古代人
カレーを食べたやつが泡吹いて倒れてるぞ
937 名前:名無しの古代人
いや待て
ヒーラーが倒れて紅が一人に?
938 名前:名無しの古代人
思ったより早いな
完全復活とはいかなかったらしい
939 名前:名無しの古代人
紅が急に走り始めた
まだ奥の手があるのか
940 名前:名無しの古代人
最後の広場に向かってますね
941 名前:名無しの古代人
やっぱ地図見て把握済み?
942 名前:名無しの古代人
わかってたらすぐ移動する
勘とか?
943 名前:名無しの古代人
広場でまったく姿を現さずに回復を飛ばしてたし
穴と結び付ければ推測できる
944 名前:名無しの古代人
理由付けするならそのへんか
945 名前:名無しの古代人
そして何も知らない妖精おじさん
946 名前:名無しの古代人
すでに埋葬されてるようなもんだから
見つかってもぎりぎりセーフ
◇
安全地帯の巻物も効果が切れて回復に勤しむ。もはや精神力が切れたらゲームオーバーだ。
イベントが続いているのは、間違いなく紅さんが生き残っているから。専用アイテムを使えば多少は余裕があるかもしれないという希望的観測も、焦りに塗り替わった。
追い込まれると事前準備をもっとしておけばよかったと悔いが残る。まだ耐久戦の途中で後ろ向きになるのはダメだと分かっているが、減り続ける体力を繰り返し回復するのは神経がすり減った。
どこかダメージゾーンをやり過ごせる場所があるならお手上げだ。他にも有用なイベント専用アイテムが存在したり、古代の遺物を巡っていても万事休す。
いっそのこと考える暇なく忙しくなれば、と思うもすぐに狭い空間で首を振る。どうせ焦りすぎて自滅してしまうな。
「……?」
何か音が聞こえてきて息が止まる。耳を澄ますと音が大きくなり目を疑った。紅さんが広場に走り込んできたのだ。そして、草の上へ勢いよく大剣を振り下ろす。
まずい事態になったことだけは分かる。理由など二の次で今やるべきは対処だ。自分一人では難しいのでペットが頼り。透明になって外に出たところで音は隠せず、広範囲の攻撃により倒される。
となると……急いでクロ蔵を飼育管に戻す。次に紅さんが別の草むらを標的に背を向けた瞬間、クロ蔵を隙間から外に出した。
さらにアイテム、小さな炎の核石を追従するように指で弾き飛ばす。投げるには無理な体勢で一か八かだったが、無事にくちばしでキャッチしてくれた。
調教スキルのオフェンシブチアリングとディフェンシブチアリングも忘れずに使い、攻撃力と防御力を上げておく。なるべく遠い位置取りで気づかれる寸前に攻撃を仕掛けた。
「クカー!」
振り向いた紅さんは大剣を前に構えるが、吐き出された小さな炎は爆発を起こす。ダメージは確実に与えられた。このままクロ蔵を囮に外へ、と思うが動く身体に待ったをかける。明らかに周りへの意識が強い。
まだはっきりと居場所はバレておらず他の草むらを調べている。遠距離で攻撃するクロ蔵を避けるため木の陰に入るなど、行動の阻害は成功だ。
深追いは厳禁で位置を細かくコントロールし、距離を詰められたら素早く下がらせる。しかし、紅さんが急に反転を見せて走り出した。
正面にはまさしく自分がいて、まるで目が合ったかのように感じられる。クロ蔵が身を潜める穴と逆方向に行けば安心できるという、浅はかな考えを読まれた?
いや、ピンポイントに見つかってはいない。慌てなくても大丈夫と言い聞かせる。透明化を有効活用し、どさくさに紛れて逃げ出す道もあった。
攻撃がきても気合で避ければいい。むしろ、壺を押しのけたうえで穴に留まるのはどうか。どこかへ行ったと思わせるのに加えて、攻撃をやり過ごすのにも最適だ。
覚悟を決めて手に力を入れると、なぜか紅さんが足を止めた。続けての膝をつくやられモーション後、静かに姿が消えていく。これはまさか……?
「っ!」
急に賑やかな音楽が流れたのに驚いて頭をぶつける。持つべき感情に迷うなか目の前では、お前がチャンピオンだと英語の文字が表示された。




