表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜おじさん、仕事を辞めて辻ヒーラーになる。  作者: 七渕ハチ
第一章『妖精おじさんがあらわれた。ただし、その姿は見えない』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/150

第5話 謎の足跡

 森を越えて荒野に出てもプレイヤーだらけで、おそらく目的地は一緒。しばらくはこのままだろう。


 出てくるモンスターはでかいネズミのワイルドラットと人型の骨、スケルトンだ。好戦的なプレイヤーが多いため、モンスターに絡まれず平和に荒野を進むことができた。


 道中回復をしようとしたが、隠れられる場所が大きな岩しかないので残念ながら素通りする。何かを間違えている気がするけれど、お礼を言われるのは避けたかった。


「ゲコ」


 人が少ない岩場近くを歩いていると、飼育管へ入れずに散歩させていたペットのイッカクガエルが立ち止まった。命令は後ろをついてくる設定だ。しかし、距離を取っても何かに邪魔をされたように動かない。


 戻ってみるとイッカクガエルの前に足跡が見えた。そして、新たな足跡が移動していく。何かいるのか?


 試しに足跡ができたところへ杖を振り下ろしてみた。


「キュル!」


 変な鳴き声がして空間が歪み、姿を現したのは奇妙なモンスターだった。


 頭と手はカメレオン、背中にはカメの甲羅があってライオンのたてがみと尻尾の大渋滞だ。名前を見るとカメリオルと表示されていた。


「キュルキュルキュル!」


 攻撃したにもかかわらず襲ってこないで逃げていく。その逃げ足は速いため二回目の攻撃を加えられない。


 ペットのイッカクガエルに追わせようとしたが、カメリオルは再び姿を消して見失ってしまった。


「ダメか……」


 逃げるだけということは何かしら意味のあるモンスター? 例えば、クエストの目標になっていたり単純にレアアイテムを落としたりも考えられる。


 別に王都へ急ぐ必要はない。気になったものを手当たり次第に確認していく暇はいくらでもあった。


 思いついたことがありマップを開いて来た道を戻ろうとすると、始まりの村が光っているのに気づく。そこをタップしてみると……。



≪ファストトラベルを行いますか?≫



 システムメッセージが出てきた。


 はてと思うが迷わずに了承してみる。一瞬の浮遊感が身体を通り抜けて、目の前に青く光る球体が浮かぶデザイン的な台座が現れた。



【ポータル】

『種類』システムオブジェクト

『説明』マップ間を瞬時に移動できる

    近づくと自動的に登録が行われる



 なるほど、移動の手間を省くことができるのか。周りを見ると始まりの村に帰ってきたのが分かった。さすがにこれだけ広い世界だと歩きでは時間がかかりすぎるらしい。


 新しい場所へ訪れたときにはポータルを発見すべし、と記憶して調合屋にやってきた。


 逃げる敵であればきっと罠が活躍するはず。まずは売っているレシピに何があるか。スキル熟練度が初期値で作れる物は……眠り玉?



【レシピ:眠り玉】

『素材1』ムリネイ草

『素材2』水

『素材3』土



 素材から推測すると砂場で作る団子で、そこに眠り要素のある草を混ぜるわけだ。


 水と土は店で売っており、ムリネイ草とやらを自ら探す必要がある。マップにあった花が咲いている場所が怪しいな。


 眠り玉のレシピを買って村を離れ、森に入った。まだまだプレイヤーは多くてイッカクガエルが絶滅しそうな勢いだ。


 隠れて回復魔法をまきながらマップを頼りに進んでいると、森が開けて花畑が現れた。


「へぇ、これは壮観だな」


 木々に囲まれた中に色とりどりまではいかないものの一面に花が咲いている。ゲームと分かっていても踏み込むのに躊躇するので、周りを歩いて確認していく。


 ほとんどはただのオブジェクトでアイテムではない。のんびり楽しむなか、白い花が目に付いた。他より輝度が高くなっているのか?



≪ムリネイ草を入手しました≫



 触れるとシステムメッセージが出た。アイテム欄で見てみよう。



【ムリネイ草】

『種類』調合素材

『説明』白い花

    眠気を誘う甘い香りを発する



 説明にしっかり眠気という文字が書かれていた。調合からではなく、素材アイテムから気づくこともできそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ