表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖火  作者: 青山喜太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/83

第七十九話 風と共に

『達する、風の流れが乱れ始めたため、甲板にいるものは中に戻るように』


 魔法の力で増強された声が船に響く、それを聞いたドンキホーテは船内への入り口に目を向けた。


「ネクス、君もあまり無理はするなよ? 俺もそうだけど、怪我が治ったばかりだろ」


「……うん、私も少ししたら寝室に戻る」


「そうか……風邪ひくなよ、ネクス」


「ひかないわよ」


 笑いながらネクスは言う。

 いつの間にか、風が少し寒くなったように感じる。


 青空を名残惜しそうに見つめた後、ネクスもまた、客室へと足を運んだ。


 ─────────────


 数時間後。

 ネクスが客室のベッドでまどろんでいる時だった。


 何やら外が慌ただしい。


 バタバタと廊下を走る足音で完全に目が冴えたネクスは当たりを急いでベッドから跳ね起きる。


 何かが起こったのだろうか。

 気になりネクスが外に出てみると、騎士や船員たちが何やら慌ただしく動いている。


 すると、その時だった。


『達する、本艦は乱気流に巻き込まれた、状況が安定するまで、総員、警戒体勢』


 放送が鳴り響く。

 どうやら、休憩のために待機していた人員も駆り出されているらしい。


 あまりの慌ただしさに当たりを見回していると、ちょうど見知った顔が目に入った。


「ネクスも起きたの?」


 ネクスの視界に入ったのはミケッシュだった。寝癖がついているのをみるに、彼女もどうやら寝ていたところをこの騒ぎを聞きつけ起こされたクチらしい。


「ええ、急に騒がしくなったから」


「私も、なんかこの騒ぎで寝れなくなっちゃって」


 そう言って笑うミケッシュ。

 しかしいつまでも、ここにいては邪魔だろうと、ネクスはミケッシュをとりあえず自室に招いた。


 客室、と聞けば心地は良いが所詮は戦艦、簡素なシングルベッドと毛布が用意されたその部屋に少女二人はとりあえず居座る。


 心配する必要などない、風が荒れているだけだ、それまで談笑などして時間を潰せば良い。


 嵐でも戦艦が傷つくわけがないのだ。

 だから騒ぎが終われば寝るだけ、ネクスもミケッシュもそう思っていた。


『達する、本艦直上! 不明な艦影あり!』


 その伝令が聞こえるまでは。


 次の瞬間、ハイヴェントゥスがぐらりと揺れる。


「うわぁ!!」


 ベッドに座っていたミケッシュが体勢を崩す。


「敵襲!?」


 ネクスは思わず武器を探す。

 もし敵襲だとすれば、相手は一人しかいない。


「ジャン……!」


 ネクスは思わず呟く。

 そしてベットのそばにあったサーベルを手に取り走り出した。


「ちょっとネクス!?」


 ミケッシュの制止も振り切りネクスは走る、目標は甲板だ。

 狙いがもし自分であるとすれば、この戦艦の中にいるのはまずい。


 ネクスはそう思ったのだ。もし中途半端に船内にいれば、ジャンは自分を襲うために無闇に船体を傷つけるだろう。


 それをさせないためにも、甲板へと向かうべきだとネクスは思い至った。


 迫り来る緊張を胸の奥に抑えつけてネクスは走る。宿敵の元へと。


 ─────────────


 甲板にたどり着いた、ネクスはまず異変を察知したであろうドンキーホーテを視界の端に捉えた。


 どうやらドンキホーテもこの騒ぎを聞きつけ甲板に出てきたらしい。


「先生!」


「……! ネクス!」


 ドンキホーテはネクスに気がつくと驚きを顔に一瞬だけ表しすぐさま、斜め上、上空に視線を向ける。


 ネクスもつられて、ドンキホーテの視線の先を追った。

 風が吹き荒ぶ、乱気流。そして荒れ狂う雲の中にそれはあった。


「戦艦……!?」


 マストのない空飛ぶ船のシルエット、間違いない、飛行戦艦の影だ。


「ネクス船内に下がっていろ、原因は不明だが攻撃を受けたことは確かだ」


 話から察するに、先ほどの衝撃を攻撃だとドンキホーテは解釈したらしい。


「狙いは私でしょ相手が未知数な以上どこにいても私は狙われる……だったら、私も戦う!」


「ネクス……!」


「お願い!」


 ネクスはドンキホーテに詰め寄る。


「私のせいでみんなが傷つくのは嫌!」


 だからともに戦わせてほしい。するとドンキホーテは頭を掻きながら、ネクスを見つめる。


「わかった、結局相手が未知数な以上、ばらけるのは危険だしな……だがあくまで先生の補助に回ってくれ。いいな?」


「……うん!」


 ネクスは頷き、影を見上げる。雲の中の戦艦らしき影は未だ動く気配はない。

 それがより敵の不気味さを掻き立てている。


 思考の読めぬ相手ほど恐ろしいものはない。

 ネクスは不安に駆られながらも、持ってきたサーベルの鞘に左手を添える。


 来るなら来れば良い、迎撃の準備はできている。ネクスは闘志を漲らせた。


 その時だ、戦艦が赤く光り輝いた。


「ネクス!」


 それが攻撃の予兆だと理解したドンキホーテはネクスに呼びかけ抜剣する、ネクスもそれに呼びかけに応えて剣を引き抜いた。


 来る、奴が。


 何故かネクスは理解していた。敵の正体を。

 そして思わず呟く確証などないと言うのに。


「決着……つけましょう……ジャン」



ここまで呼んでいただいてありがとうございます!

もし

面白いな、だとか

応援したいな

と感じてくださいましたら

下にある[☆☆☆☆☆]マークをタッチして。

[★★★★★]にしていただけるとモチベーションにつながります!

どうかよろしくお願いいたします!


そしてよろしければいいねの方もよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ