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聖火  作者: 青山喜太


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第七十話 本物とは

 城壁の上でフォーン達は自らの誘導型の魔弾、『ブーケトス』が対処そして、防がれたのを確認した。


 ここまでは想定内だ、隊長であるフォーンが呟く。



「第二射用意」


「了解」


 抑揚のない事務的な指示が城壁の上で響く。

 そしてその指示にまだ感情を感じさせない返事と共に弾丸が装填される。


「発射」


 そして無慈悲な命令が兵隊達の引き金を引かせた。

 薬室の中で火花が弾け、魔力のこもった弾が押し出される。


 一瞬、弾が空を割いた後、まるで花火が弾けるように弾は複数の質量を持つ弾と化した。


 2発目の魔法弾『ブーケトス』。


 その似合わぬ名ら本来は上空に向けて放ち空から花火のような誘導弾を降らせることから結婚式のブーケを放り投げているようだと皮肉げにつけられた。


 そんな弾丸達のカーブを描き目標へと向かっていく。今度は上空ではなく水平にそして、前回の倍の量で。


 目標は当然その先にいる、白と青の騎士だ。


「面白れぇ!」


 騎士、ドンキホーテはただ己に迫る弾丸の魚群に笑みを送り、走り出す。


 左手にはガトリング、右手にはロングソード。

 ただそれだけを携えて。


「おいおいおい! 策はあんだよな?!」


 帽子の妖精のフォデュメが叫ぶ。

 ドンキホーテは笑いながら答えた。


「切って! 避けて! 撃墜!!」


「スマートすぎだろ!! 天才だな!! バカとも言えるけどおぉぉ!! 待て待て待て待て!!」


 フォデュメの制止を振り切ると同時に、ドンキホーテの体も風を振り切った。


 もはや彼の体は完全に音速を超えた。相対速度によって弾丸も通常より速くなっていく。

 しかし──。


「くはははは!!」


 それすらドンキホーテにとってはタダの的に過ぎない。

 笑い声を発しながら、火花の群れの中にドンキホーテは突入していく。


 誘導機能を持った弾丸達はドンキホーテの行動に対応はできなかった。


 弾が寄せ集まる前に、眼前の弾丸、体に当たる、壁となる魔力の弾を両断。


 だがその魔力の弾は地面に当たれば爆発する性質のある特殊な弾丸だ。それを切ればどうなるのか。


 当然、爆発する。


 しかしドンキホーテはその爆発、一瞬、1秒にも満たない瞬間を駆け抜け、切り裂かれ勢いの失った魔法の弾丸を潜り抜ける。


 ついに弾丸を背にしたドンキホーテは、さらに踏み込む。加速して《《巻き込まれないように》》

 来る。


 後ろから切り裂かれた弾丸が本来の役割をやっとまっとうする。

 切断されたことにより半ば機能不全を起こしていた魔法弾はようやく爆発したのだ。


 しかしそれはもはや利敵行為に過ぎない。

 その爆発的な火は、爆風はドンキホーテを前へ前へと押し進める。


 鉄砲隊の戦列へと。


「ブーケトスは受け取らないか」


 フォーン達の1人が皮肉げに、しかし抑揚なく呟く。


 そして次の瞬間に他のフォーンが呟いた。


「《《今の私たちでは無理だな》》」


 爆発的に加速したドンキホーテを前に諦めの言葉を呟いたのだ。


「じゃあな」


 その言葉を切り裂くようにドンキホーテは剣を振るう、その剣はまるで光の孤となり、そして肩から脇腹を抜けていく。


 まずは 1人のフォーンを切り裂いた。

 


「迎撃」


 フォーンの命令が飛び、フォーンがそれに従う。

 一瞬で接近された騎士に対して、発砲しようとしたが。


 しかし、眼前の騎士には通用しない。


 斬撃の光の弧がさらに図形を描く、次は脇腹から抜けた光の弧が次は直角を成し横一線にフォーン2人を切り裂く。


 そこからは流れるような勢いで、ドンキホーテは左手のガトリングガンを至近距離から斉射した、銃声が鳴り響く。


 フォーン達も同時に引き金を引いたようだが、全てが遅い、ガトリングガンの波のような弾丸を前に、足を腕をそして胸を裂かれたフォーン達の反撃はもはや正確な照準などできない。


 弾が空を切り、宙に消えていった。


 そして、静寂が訪れる。

 ドンキホーテの斉射に対応ができたフォーンは1人だけだった。


 隊長格のフォーンだ。


 おそらく咄嗟に思い切り地面に飛び込むようにして伏せ、弾丸の波を掻い潜ったらしい。


 しかし完全には掻い潜れてはいないようだ、左腕が弾き飛び、腹に幾つかの血の跡が見える。


「やはり貴様が、ブレインか? つまりは偽モンの中に潜んでた本物(マジ)モンというわけだ」


 ドンキホーテの言葉にまるで笛のような、微かな吐息を吐くフォーン。


 その顔には微塵の感情も感じさせない、死に対する恐怖も、生への渇望もまるで。


 無駄だとわかりつつドンキホーテはガトリングガンをフォデュメに収納させ、そして剣をフォーンの首に当てた。


「言え、お前誰の命令できた」


「……」


「今際の際だ、勇者様に導かれる前に少しぐらいお話ししようぜ?」


 すると、フォーンは口を開く、おそらく自身の残った力全てを振り絞った声でフォーンは呟く。


「……い」


「……なに?」


「《《本物なんていない》》」


 次の瞬間、肉が弾けた、フォーン達の肉が体調も含めて、そして同時に、光が漏れ出る。


「マジか……っ!」


 城壁の上で大爆発が起きた、それは今まで起こった爆発の中で一層大きくそして破壊的だった。


 戦争のために作られた、あらゆる魔法やモンスター攻撃に耐えうる城壁の一部を吹き飛ばしたその爆発。


 その爆発の中心にドンキホーテはいた。

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