第六十話 再会
「かんぱーい」
「………」
「センセ? かんぱーい」
「腐れ縁に……乾杯」
カチンとガラスがぶつかり合う。ごくりとドンキホーテの喉にレモネードが流し込まれていく。
「いゃあ! ガラスのジョッキがあるなんていいギルドだなぁここ!」
「……お互い運がいい、では済まんなこの状況は」
ごくりと、レヴァンスもブドウのジュースをのどに通す。
ここは冒険者ギルド、再会したネクス達とレヴァンスはひとまず情報収集と、情報交換のためにこの場所を選んだ。
もちろんそれだけが目的ではない。
埃を撒き散らす勢いで3人の見知った人影がドンキホーテとレヴァンスの座るテーブルに迫る。
その3人のうち真ん中の少女が木でできた手のひらサイズのカードを見せびらかしいった。
「先生! 冒険者登録できた!」
見せびらかしたカードにはネクス・オウス・クロエロードと書かれている。どうやらリリベル、ミケッシュの登録も終わったらしい。
そう、ここの国で路銀を稼ぐためには冒険者になるしかない、そのためにネクス達とレヴァンスはここに来たのだ。
「よっしゃ、じゃあみんなでパーティだな!」
冒険者証明カードを見たドンキホーテが嬉しそうに宣言するが、反対にレヴァンスは顔を顰める。
「で、なぜお前がここにいる」
「そりゃあセンセと同じさ、魔法障壁に備え付けられていた転移魔法に──」
「それはわかる、だが私たちがこうして一同に返すことなど、偶然とは思えん」
「何が言いた──」
瞬間、テーブルのジョッキグラスが寸断された。コトリ、とグラスの上半分がテーブルの上を転がる。
ドンキホーテの首筋に剣が突きつけられていた。
「先生!」
リリベルが叫び、ネクスは咄嗟に剣に手をかける。冒険者ギルド内に静寂と緊張が訪れた。
「大丈夫だ、3人とも」
ドンキホーテは生徒達を落ち着かせ、短剣をつけてた男、レヴァンスを見つめる。
「センセ、アンタの言いたいことはわかる」
「何がわかっている。この状況、できすぎていることが貴様でも理解できるだろう、それに加えて、たまたま《《貴様だけが生徒達と共にいた》、あの事件の動機も何もわからぬ首謀者達の事件に巻き込まれたのにも関わらずだ、唯一わかるのは生徒を狙っている可能性があると言うことだけ」
レヴァンスは短剣に力を込めドンキホーテに押し付けた。
赤い血が、首に滴る。
「教員と、教師はバラバラに、だが貴様だけ都合が良すぎる」
「センセ、それには二つ理由がある」
「言ってみろ」
「一つ、俺には空間転移魔法の心得がある。短距離で、集中が必要だが、実戦で使えるレベルのものだ、だからあの時近くにいたネクス達を《《あえて巻き込んできたんだ》》」
「初耳だ、見たこともない」
「そうか、俺のこと知ってくれて嬉しいよ、でも侵入者との戦いの時も使って──」
「ちょけるな」
刃が食い込むの感じ、ドンキホーテは再び話し出す。
「もう一つ、これには神性存在が関与し出した」
「証拠は?」
「センセと俺が仮に運命の赤い糸で繋がってるとしても、この状況おかしくないか? たまたま俺たちは合流したのか? 首謀者である俺の元に」
「転移魔法は特定の地点に転移する、いわゆるポータルを設置することは国際条約で禁止されている」
「……なるほど?」
「つまり、あの魔法使い達は、転移魔法を暴走させなるべく遠くの地に我々をランダムに飛ばしたと言うことになる、というか、転移魔法の暴走などそれしか使い道がない」
「でも、俺たちがあったのは──」
「それだけが本当の《《偶然だったとしたら》》?」
「それこそあり得ない」
「そうだな。私は今、神と勇者様の導きを感じている。それも飛空船の発着場のある街でたまたま貴様を止められた。幸運だよ、生徒を攫う前に止められたのだからな」
「センセ、やるんだったらいいぜ? 話し合いはいつだってできる、ゆだった頭を冷やすにはちょうどいいだろうしな」
「減らず口を──」
すると、ばたりと冒険者ギルドの扉が開かれる。
「すみません! 私、元聖職者なのですが、聖職者用のお仕事って──」
扉を開け放ったのは一人の女性、スタイルが良く、そして特徴的な聖職者の服を模しつつ、紺を基調としたその服は厳格な印象を受けた。
そしてその女性はフワフワとした髪を靡かせながら、驚きの声を上げた。
「え、ドンキホーテさん?!」
「アーシェさん……?」
するとドタドタと、周りの緊迫感を彼女は体で切り裂き、ドンキホーテに駆け寄る。
「あの、なんで剣を教員から突きつけられてるんですか?」
「ああ、これはチャンバラごっこですよ、ねぇセンセ」
アーシェの問いに茶化して答えるドンキホーテ。
レヴァンスはイラついたのか、舌打ちをする。
「おい話は終わってない」
「センセ、これでも偶然か?」
「……偶然」
「ねぇ、偶然?」
「……」
場が膠着したその時だ「すみません」とミケッシュが小さく手を挙げた。
「あの、ドンキホーテ先生は確かに胡散臭いかもしれないんですけど──」
「おいミケッシュ?」
「──それでも私たちを守ってくれたのは本当のこと、ですよね。だから、話し合いませんか?」
ミケッシュはレヴァンスの目を恐る恐ると、しかし真っ直ぐ見た。
「きっと、必要なことのはずです」
そのミケッシュの言葉を聞き、レヴァンスはため息をつきながら剣を下ろした。
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