第五十八話 魔王達
「なんだと……?」
顔を顰めたドンキホーテにケイは口を綻ばせる。
「魔王の力は強大だった……2000年前の勇者でも完全には滅せられないほどに……魔王の力は勇者に殺された瞬間バラバラに砕けたのさ。その結果、魔王の生まれ変わりが複数生まれた」
ケイはネクスに指を指す。
「君もその一人。ネクス、君は数多くの魔王の生まれ変わりの中の一人だ。そして──」
ケイは不敵に笑った。
「君はこれから数多くの魔王の生まれ変わりから狙われることになるだろう。次期魔王の座を奪うためにね」
「魔王の座って……待って、私は別に魔王になろうとしてなんかない、それでも狙われるの?」
ネクスの言い分は尤もだった、そもそもネクスは魔王でもなければ、魔王になろうとしていない。
しかしケイはまるで小鳥のように一定間隔で舌を打つ。
「チッチッチ……わかっていないな、ネクスくん、この際、君がどんなスタンスでも関係ない、言っただろう? 魔王の力はバラバラになった、それはどういうこと意味するのか」
「元の形に戻ろうとしてるってこと……?」
ミケッシュが呟く。ピンポーンと、どこからともなく聞いたことのない音が響いた。
「そう、ミケッシュ君、正解! これから魔王達はきっと元の形に戻るために転生者の意識を乗っ取り、君を襲いにくるだろう」
「そして、魔王の力は一つになり晴れて、復活ということか」
ドンキホーテの言葉にケイは、そのとおり! と言い両手の人差し指で彼を指す。
「魔王の復活はすぐ目の前だ、ことの重大さが認識できたかい?」
「……クソ……怪しいと疑いてぇとこだが、確かにネクスに魔王の力があるんだとしたらこれまでの事件の合点がいく」
「だろう?」
「今までの事件は全てネクス狙い、だとするとまずいな」
ドンキホーテの顔が曇り始める。
ネクスは心配そうに顔を伺い問うた。
「どいうこと? 先生」
ネクスの問いにドンキホーテは答える。
「今回突破された試験会場の魔法障壁は最高峰のものだった」
「確かにそうだねぇ、僕も物理的に干渉して入ろうとしたけど、無理だった。僕が入れたのはたまたま魔法使い達が穴を開けてくれたからだよ」
神すら弾く魔法障壁、それを破り入ったあの魔法使い達、それが示す事実は一つだけだった。
「敵は少なくとも事前にあの障壁内にいたってことになる。そしてカレイス先生に障壁を開けさせた、それしか考えられない。だがどうやってだ? あの障壁内にも厳重な監視の目はあった。
魔法による探知にもアビリティによる看破すらも通じない……そんな人間がいるのか?」
「類い稀なる力を持っている人間がいるのかもねぇ、神に近い力を持つアビリティの保持者がいるのかも」
「“ギフテッド”か……」
ドンキホーテはそう言いため息をつく、重苦しい雰囲気が小屋に漂った。
そんな重い空気を切り裂くように、誰かの呻き声が響いた。
「みんな……? せんせぇ?」
「リリベル!」
いち早く気づいたのはミケッシュだった。
ミケッシュと共にネクスも遅れて気づき、リリベルに駆け寄る。
「みんな、どうしたの? ここは?」
「心配しなくて大丈夫、アンタはゆっくり休んで」
ネクスがそういうと、リリベルはゆっくりと目を再び閉じ、か細い寝息を立て始めた。
「よかった回復してきてるみたい」
ミケッシュがそう呟いた時だった。
パチン。カイが指を鳴らす。
すると、みるみるとミケッシュの濡れていた服が乾き、さらに一瞬、淡い緑色の光に包まれる。
「あ、お前……!」
ドンキホーテが思わずケイを睨むが、混沌の道化師は嘲るように薄ら笑いを浮かべた。
「やだなぁ、服を綺麗にして、おまけに体力回復させてあげただけだヨォ。典型的なアビリティの使いすぎだね、お大事に」
「チッ、貸しにしないからな」
「いいさ、神は人に施しを与えるものだからね」
「邪神でもか?」
ドンキホーテの嫌味に、ケイは瞳を怪しく輝かせ、答える。
「邪神なら尚更……だろ?」
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