表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖火  作者: 青山喜太


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/83

第三十二話 因縁の

「は? アンタ誰?」


 ネクスが貶すような目で男子達を見る。すると、男子のうち一人、おそらくリーダー格であろう少年が額に筋を浮かべながら叫んだ。


「お前! 俺のこと忘れたのか! 俺だウルカールだ!」


「ウルカール?」


 そこでネクスは思い出す。確かあれは1ヶ月前の事だった。


 ─────────────


「はーい! 君たち注目! 今日は他クラスとの模擬戦だぞぉ!!」


 その日、恐ろしいほどの快晴な空の下の学舎でドンキホーテの声が響き渡った。

 三人しかいないクラスなのだからそんなに声大きくしなくていいのに、とネクスは思ったがドンキホーテのテンションはどうも高い。


 そのせいでドンキホーテの声が比例してやかましくなっているようだった。


「模擬戦? ですか?」


 優等生リリベルがそう言った。ネクス自身も気になっていた事だからちょうどいいネクスは耳を傾ける。


「今回な! レヴァンス先生のクラスと中間テスト前の練習として模擬戦を組んでもらったんだ! いきなり実戦しちゃうと危険だろ? 肩慣らしもかねてみんな参加だ!」


「レヴァンス先生って! 最優秀クラスの?! Aクラスの人達とアタシ達やるの!?」


 ミケッシュがあんぐりと口を開ける。まさしく絶望の闇を表したかのような口内を晒す少女を見ながらネクスはため息を吐く。


「先生?」


 ネクスが問う。


「何だ?」


「それって模擬戦って言うけど──」


 ニヤリと黒髪の少女は笑った。


「ボコボコにしてもいいんでしょ?」


 その日、ネクス達は模擬戦に完膚なきまで勝利した。

 いや、勝利という言葉では物足りないほどの、圧倒的な物だった。


 灰は灰にというように、敗者には屈辱を勝者には栄光を、それと同時に覆せない序列を決定づけたと言ってもいいほどの圧勝。その日、王都エポロ騎士学校に新たな屈辱と栄光の歴史が刻み込まれたのだ。


最下位のFクラスがAクラスに下剋上した、その事実はそれほどまでに衝撃的なものだった。


 ─────────────


「ああ、あの時の雑魚ね?」


 ネクスは思い出す、確か模擬戦で最初に先鋒としてネクスと戦い負けた少年だった。


「ザッ……!!! 昔の俺とは違う! 大体なんだ! 貴様その格好!」


「何よ?」


「スカートなんぞ履きやがって! 本当に戦いにきたのか?!」


 ウルカールの指摘されたネクスは自身の服を見る、白のブラウスに紺のロングスカート、そしてブーツ。


「ああ? これ? 動きやすいわよ? そういう風に改造してあるしそれにほら、ズボンも履いてる」


 ひらりと、スカートめくってみせるネクス。


「ごわぁぁ!! はしたない! 止めろ!」


 ウルカールと男子達は赤面して目を背けた。いくらズボンを履いているとはいえ、女子のスカートの中身を見るのは男子として忍びなかった。


 だが──。


「あ? はしたない?」


 その指摘によってネクスの脳裏に浮かんだ口うるさい母の姿、愛している同時に鬱陶しい存在。そんな母に一番、言われたくなかった言葉。


 ──木に登るなんてはしたないからやめなさい!


 ──ちゃんとフォークを持つ! はしたない!


 ──そんな風に木剣を振り回さないの! はしたない!


 ぷつりと、ネクスの頭の中の何かが切れる。


「なんでアンタが一丁前に説教してきてんのよ!!」


 ネクスはそう言って飛びかかりウルカールに飛び蹴りをかます。


「グヘェ!!」


 哀れな少年は転がり家に激突した。


「ウルカール様! き、貴様! なんで急に飛び蹴りを!?」


 取り巻きの少年の一人が狼狽える。

 遅れて、取り巻き達はウルカールの転がっていった方向に慌てて駆け寄っていった。


「ネクス!? やり過ぎだよ!」


 リリベルも遅れてネクスを制止するも、もはや取り返しはつかない。

 ミケッシュは呆然としながらその光景を見ていた。


「ゴフッ……! 貴様! 不意打ちとは卑怯な! 正々堂々と勝負しろ!」


 立ち上がったウルカールは震え上がる足を無理矢理抑え、宣言する。騎士らしく堂々と。


「へぇ、勝負して何するつもり?」


「貴様ら三人のしおりをもらう! 貴様らはそれで脱落だ! 点数の証明ができないからな!」


 なるほど、確かポイントの記載されているしおりが無ければポイントの確認がしようがない。するとおずおずと申し訳なさそうにミケッシュが手を挙げる。


「あ、あのぉ……それ、共闘路線とかに変更できませんか……アタシ達別に戦う必要は……」


 ミケッシュの提案にウルカールは首を横に降る。


「これは我々のクラスの雪辱を晴らすための戦いでもある! 断る!」


「そんなぁ……」


 肩を落とすミケッシュ。


「いいじゃないまたボコしてやりましょう」


 そういうとネクスは剣の切先をウルカールに向けた。もはや戦闘を避けられる雰囲気ではない。


「クリス! 下がってろ!」


 ウルカールのその言葉を聞き、背中にクロスボウを背負った少年が一メートルほど後ろに下がる。

 どうやら彼がドラゴンに一撃を与えた張本人らしい。


 その狙撃手役の少年が下がると言うことは、どうやら本気でウルカールは三対三の戦いを挑むつもりのようだ。


「いくぞ……!! ネクス!」


 そして準備は万端だと言わんばかりに直剣を抜き放ったウルカール。

 ネクスもそれに応じるようにサーベルを抜き放った。


「面白い……! 返り討ちにする!! ミケッシュ! リリベル! 行くわよ!」


 生徒対生徒の戦いが始まろうとしていた

ここまで呼んでいただいてありがとうございます!

もし

面白いな、だとか

応援したいな

と感じてくださいましたら

下にある[☆☆☆☆☆]マークをタッチして。

[★★★★★]にしていただけるとモチベーションにつながります!

どうかよろしくお願いいたします!


そしてよろしければいいねの方もよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ