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聖火  作者: 青山喜太


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第十八話 翌日

 灰色の空に飛行する戦艦、空中戦艦が隊列を組み進んでいく。

 敵のものだなと、ドンキホーテはボンヤリと思い出す。


「防衛線が突破されるぞ!!」


 怒号に似た報告が戦場に響く。

 うるさいな、わかってるよ。

 疲れているんだ、頭に響く、だがさてどうする。それを考えるのがドンキホーテの仕事だった。


 騎士に期待されるものは重い、戦車以上の火力、並の歩兵以上の忍耐。

 もたらすものは勝利でなければならない。


 この灰色の空と焼け爛れた穴だらけの大地で、果たしてどうすればいいのか、作戦を今すぐならなければならない。


 空中戦艦の数は五隻。横に隊列を組み、今まさに迫ってきている。こちらは塹壕に潜んでいるため気付かれてはいない筈だ。


 さてなぜこんなコソコソ隠れているんだったか、なぜか思い出せない。


「落ち着いてくれ、歩兵長殿、作戦は事前に相談しただろう」


 隣でドンキホーテの代わりに誰かが怒号の主に説明している誰の声だ、聞いたことがある。


「わかっている! タイミングは今だろう!」


「いや、まだだ」


「しかし! あの防衛線を越えれば! 本国が射程圏内に──」


「焦るな! 歩兵長、我々の仲間が来るまで待つんだ!」


 ドンキホーテは聞き覚えのある声がする方に振り向いた。すると、その声の主の後頭部が目に入る。長い金髪の長髪を、リボンで結び垂れ下げ、騎士の鎧と赤い黄色いマントを見に纏う声の主は、ドンキホーテの視線に気がつくとパッと振り返った。


「ドンキホーテ」


 ああ、そうか。


「これに勝てば奴らは再起不能だ」


 久しぶりだな、なんで出てきたんだ?


「なぁ、ドンキホーテ」


 なんだよ。


「終わったら、どうする」


 ……そうだな。決まってるんだ実は。


「ほう?」


 教師に……なりたい。


「……あははは!!」


 なんだよ、何笑ってんだ。


「似合わねぇ〜!!」


 うるさいな。いいじゃないか。


「あはは! じゃあさ約束してくれるか?」


 ……なんだ?


「絶対に、先生になってくれ」


 ああ。


「そして私たちの想いを連れていってくれ」


 もちろんだ。


「忘れるなよ?」


 忘れてないよ、今も。


「そろそろ行かなきゃだ」


 もう行くのか? 次はいつ会える?


「そうだな……まぁ、気が向いたら」


 なんだそりゃ。


「ドンキホーテ」


 ……なんだよ。


「妹を頼む」


 わかってる。


 ─────────────


 鳥の理解のできない言の葉が朝を告げる。

 起きろと急かされたわけでもないのだが、それでも起きなければならないという、いつもの強迫観念にも似た想いが重い瞼を開ける。


 そうしてベットから自分の温もりを分け与えた、毛布を若干蹴飛ばしながらドンキホーテは起き上がる。


「……死んでから……サプライズが上手くなったなアイツ」


 嫌じゃない夢は久しぶりだった。そしてそんな独り言を呟いた後ドンキホーテはふと隣を見た。

 そういえば、昨日から共同生活が始まったのだった。


 おかしな独り言を呟けば、ルームメイトが怖がるななどと、一人笑ったドンキホーテはそのルームメイト兼自身の生徒に声をかけた。


「よう! おはよう! リリベル!」


 ドンキホーテのベットから離れたベットにできた毛布の小山がもぞりと動き頭を半分ほど出していたリリベルは、ドンキホーテのいる方角に寝返りをうつ。


「……おはようございます」


 目を細めて、笑顔でいうリリベル。しかしどこか本調子ではなさそうだ、声に元気がない。加えて顔色も悪いようにドンキホーテは見えた。


「リリベル、大丈夫か?」


 率直に聞くドンキホーテ。

 するとリリベルは、首を振る。


「だ、大丈夫です!」


 そう言いながらリリベルはガバリと起き上がった。


「ほ、ほら!」


 僕は元気です、そう続けようとした瞬間だった。くらりと、浮遊感がリリベルを襲う。

 思わず頭を抑える彼女にドンキホーテは、急いで駆け寄った。


「ほら、言わんこっちゃない! 風邪か! 今医者を──!」


「やめてください!」


 突然、荒げた声にドンキホーテは驚く。


「その……原因はわかっているので……」


「原因って……」


 ドンキホーテはそこで思い出すリリベルが少女だということに、そうだ根本的にドンキホーテとリリベルでは持つ悩みが違うのだと。

 性別が違えば、どうしても相容れないものがどうしてもあるのだと。


「リリベル……提案がある」


 ドンキホーテの言葉にリリベルは首を傾げた。


「な、なんです?」


 ─────────────


「ふーふふん♪」


 流行りの歌を鼻歌で歌いながら、従軍衛生士官のアーシェは街中を歩いていた。

 明後日からは学校が始まる。そのための備品を買いにアーシェはきているのだ。


 と言っても大半は学校の医務室に置いておくための茶葉やお菓子なのだが。

 しかし多くの同僚、つまり奇跡を扱う回復術士達にはこのカゴに大量に入った菓子の類は必要なもの。


 何せ、奇跡には集中力が不可欠であり、それを補う菓子は必需品である。


「そろそろいいかな」


 とりあえず、予算分の菓子を調達したアーシェが帰路に着こうとした時だった。


「お姉さん可愛いね〜良かったらお茶しない」


 唐突に肩を組まれた。驚きと恐怖がアーシェを一瞬襲い、彼女はそして気がつく。

 男に声をかけられたのだと。


 男に抱き寄せられ、そして体を軽く密着させられたアーシェはため息をつく。


(ナンパね……)


 慣れたものだが、流石に面倒なことに変わらない。さて面と向かって辛辣な言葉の一つでも言ってやろうと。

 ふと男の顔を見た。


「ども」


 見知った男の顔がそこにはあった。


「ドンキホーテ先生」


 驚きともう一つアーシェに去来したのは──。


「見損ないました、こんなコテコテのナンパする人だったなんて」


 失望だった。

 しかしドンキホーテは顔色一つ崩さない。

 それどころか、ドンキホーテはアーシェに顔を近づける。


「ちょっ何す──!」


 キスでもされるのだろうかと、驚くアーシェの唇をドンキホーテの顔ら通り過ぎ耳もとで囁いた。


「アーシェさん、屋根の上の不審者は貴女のお知り合いですか?」


「え?」


 アーシェは混乱したドンキホーテが何を言っているのかわからないからだ。

 そしてそんなアーシェの困惑を感じ取ったドンキホーテはハッキリと今アーシェが置かれている状況を言った。


「アーシェさん貴女、尾行されてますよ」

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