唐突な恋バナの行方と転校生
~前回のあらすじ~
HRで隣のクラスに転校生が来ると聞いたこころたち。周りがざわざわと噂や推測、願いなどを話し始めていた時、りくの一言によって恋バナが始まり...?
なんかワクワクしてきたな。こんなところでみんなの恋バナ聞けるとか。なんだかんだみんなのこと知らないからな、知れるのは嬉しい。僕的に一番謎なのはるきなんだよな。なんかちゃっかりやることやってそうなイメージ。
れお「じゃあこころから言おうぜ?」
...え?
れお「こころが一番話短そうだからw ほれ、なんかあるだろ?」
こころ「ぼ、僕?」
れお「そうそう。まさか、なんもないってことないだろ?w」
なんにもなくないけど、るきのこと言うの?うーん、るきのことはりおとの秘密にしておきたいから言いたくない。てか、本人目の前にいるのに言えるか!聞く気満々だったのに一番に話すことになって、ちょっとテンションが下がった。
言うか迷ってたら、るきが咳払いをして言った。
るき「可愛い女の子のこころちゃまは意中の方がいらっしゃって?(裏声)」
僕が、可愛い?
れお「おいwおもろい裏声を出すなw」
りく「ほんっとに、ぐっ、げっほげほ、むせるところだったぞ。こころ? 下向いて、どうした?」
【■■■■■。】
なんてね。るきからあんな声でるなんて知らなかった。
こころ「えぇ、そんな僕可愛くないよw」
りく「でっさ、こっ、こころは好きな人、いるのか?」
こころ「ざ~んねん、僕の好きな人はいません!」
れお「いないか、そりゃそうよな。まだ中二だし。」
僕はめちゃくちゃ小声で、「年とっても好きな人できるかわかんないけどね~」といった。正直誰にも聞こえてないと思う。聞こえてなくていいよ。なんで声に出したのかよくわからんし。
りく「ちゅ、中二だからっていないわけではなくないか?」
れお「そーんなもんなのか? 俺はわからんな。」
るき「れお、察してやれ。」
れお「?」
れおは好きな人いないのか。なんかそんな気はしてたけど、一応確認して、さっさとるきの好きな人を聞こう。
こころ「ねえ、れお。わからないってことはさ、れおは好きな人いないってことだよね?」
れお「おう。」
こころ「じゃあるきは好きな人いるの?」
るき「僕は、初恋以降好きな人はいないよ。」
れお「その初恋っていつだよ。」
るき「小6。」
小6、ってなんか半端だな。6年生になって今まで小学校でいっしょに過ごしてきた人を急に好きになるなんてことあるか?それこそ転校生でも来たのか?あ、同級生じゃないかもだからそれは関係ないか。大学生くらいの綺麗なお姉さん、とかだったらちょっと意外。とりあえず、決めつけはダメだ。憶測でクラスメイトを疑うのもダメだ。
れお「ませてんなー。今の若者ってそんなもんなのか?」
初恋が小6はませてないだろ。なんなら、ちょっと遅くない?って思う。個人的な意見だけど。でも、もしもそこで付き合ってたらませてると思う。...小学校で付き合って、何するんだろう。
りく「若者って...お前も若者じゃねえのかよ。」
れお「それとこれとは別なんだよ。」
りく「そうなのか? 俺にはそっちの方がよくわからんな。」
安心しろりく。僕も何が別なのかわからん。
れお「さあ、次はりくの番だぜ?」
え。まだるきの初恋の人の名前聞いてないのに。地味に気になるんだけど! れお、どんだけりくの好きな人が気になるんだよ。
りく「...っ。べっ別に! お前らが言ったからって俺が言うとは限らないだろ。」
いやりく。名前聞いてないってツッコめよ。
るき「でも、全員言ったよ? クラスの人たちはもう僕たちだけだし、言うには絶好の機会じゃない?」
るきごまかしたなーと思いながら教室を見渡すと、確かに僕らしかいなかった。
れお「流石に、ここで逃げるのはないだろ?」
りく「で、でも...!」
れお「でも?。」
りく「...っ。」
るき「れお、ストップ。さすがにりくが可哀想。」
...これ、なんていえばいいんだ? りくの好きな人はなんとなく気になる。何なら、るきの初恋の人の名前も気になる。でも、なんか催促する雰囲気じゃなくなっちゃった。どうしよう。
こころ「...」
るき「...」
りく「...」
れお「.....? なんで誰も」
るき「れおさすがに空気読んで。」
れお「あっはい。」
...気まず。りくが好きな人を言えば終わるやん。頼む。気まずいんだ。お願い。早く、言うんだ。
4人の間になんとも言えない沈黙が流れた。廊下を反響する卓球部の玉と靴の音が時計の針と重なって、頭に直接響いた。
りく「はぁ、分かった分かった! 話せばいいんだろ!」
お、やっと。
れお「やっっっと話す気になったか。で?落ち着いて言ってみな?」
りく「その前に聞いていいか?」
こころ・れお「?」
るき「どうした?」
りく「お前ら俺の好きな人知ってどうするんだ?」
二人はほぼ同時に言った。
るき「僕は応援する。」
れお「いやいや、普通に気になるだろ。」
正直聞き取れたようで聞き取れなかった。
りく「聞こえねえだろ、一人づつ言え。あとこころも言え。」
るき「僕は、応援したいから。」
れお「普通に気になるから。」
僕は...何で知りたいんだ?別に人の好きな人知ったって、なんもなくない?でも気になる。好奇心ってあるよね。なんにもならなくても、知りたいことってあるよね。それに従うことも、大切だよね。
こころ「僕も気になる。」
りく「じゃあ別に、言わなくてもよくね?」
れお「お前言いたくないだけだろ。」
りく「だってお前らが知っても関係ないだろ。」
関係ない、か。関係ないって、そんなにだめなことなのかな。
こころ「関係ないことを知ろうとするのは、だめ...?」
りく「うっ、別に、だめでは、ない、けど、?」
るき「というか、僕ら友達なんだから関係なくないよね。」
あ、その発想があったか。
れお「そーだそーだ。」
りく「わ、分かった。言う、言うから!」
れお「それでいいんだよ。」
りく「お、俺の好きな人は...」
れお「人は?」
りく「.............だ。」
りくの顔は真っ赤だった。なんだか、ぷしゅぷしゅ湯気が出てるのが見えてきそう。そして、れおは不服そうに、「声小さい。」と言った。
りく「っ、俺の! 俺の好きな、人は!」
れお「うん。」
りく「...林、こころさん、です...」
林こころさんかー。へー。まあ僕には関係な、え?それって...は、え!?
れお「え!? ええ? マジ? こころなん?」
るき「やっぱりか。」
りく「おいるき、やっぱりってなんだよ! てか、まじで...恥っず...」
れお「なんでだよ、自信持てよ。」
りく「そういう問題じゃねえだろ!!」
れお「よかったなこころ!」
え、そこで聞く?いや、
こころ「いや、待って!? まず聞いていい? いつから僕のこと好きなの!?」
りくは、顔真っ赤のまま、彼の眼鏡のレンズ越しに僕の目を見つめて答える。
りく「一目、惚れ、です、。」
こころ「一目、惚れ。」
僕がりくに見つめられながら呆気にとられていると、るきが早口で言った。
るき「ねえ、れお。僕らお邪魔みたいだから帰ろっか。りく、頑張れ!」
れお「お、おう。いや、うちは部活に...」
こころ「ちょっと待てちょっと待て。頭が追い付いてない。2人きりにしないでくれ。」
そう言っている間に、二人は教室からささっと出ていった。逃げ足はっや。
りく「こころ...俺と二人きりは嫌か?」
乙女のように上目遣いで目を合わせ、耳を真っ赤にしてこちらを見つめてくる。
こころ「い、いや、そんなわけじゃない、けど。」
りく「けど?」
あああああ、なんか急にいつものがり勉!って感じから飼い主を待つ子犬みたいな雰囲気になってんだよ! 急に恋愛方面に話を進めるな!
でもさ。僕はりくのこと、いつも話して、学力を競える関係としか思ってないのに。これは、どうしたらいいんだ。僕はるきが好きで...正直付き合ったからといってりくを好きになるとも思わない。いやでも、今の関係が壊れるのも嫌で、でも選ばないといけなくて...すぐ決めれそうにないって!
こころ「あ、あのさ?その...」
りく「...ごめん、急に言われても困るよな。」
こころ「え、あ、いや、」
りく「返事は別にいらないから!!」
そう言って荷物を持ち、逃げるように教室を出ていった。なんか、こんなのアニメで見たことあるな。
教室は僕一人になった。なんとなく窓際にいって、外を見下ろす。窓の隙間から生暖かい風を感じる。
...いや待って!?りくが僕のこと好きなの!?...落ち着け落ち着け、さっきも同じ事言ったぞ。落ち着け。ってかー、返事いらないってことは...え?
これ僕どうすればいいの?
りお「なんか面白いことになってるね~」
こころ「あびゃん!?!?」
りお「わー、変な声。」
びっっっっっっっくりしたぁぁぁ。後ろを向くと僕の体操服を着たりおがいた。
こころ「え? なんでりおがいるの。」
りお「驚いた? こころのお母さんと学校見学してるところなんだ。」
いやいやいや、え? 学校見学でなんで僕の体操服着てんの?
りお「いや~ 明日からこころと一緒に学校生活だからね。残念ながらクラスは違うけど、楽しまないとね~♪」
話聞け。というか、一緒に学校生活?
こころ「ってことは、転校生って...」
りお「うん。転校生は僕だよ。嬉しいでしょ!」
...今日情報量が多いって。もう驚く気力もないわ。キャパオーバー。てかなんでりおが学校来れるん?確か学校って戸籍無いと無理じゃなかったっけ?
りお「よくそんなこと知ってるな。でも、日本は義務教育を無戸籍でも受けれるようになってるから大丈夫。あと、今養子縁組の申請通るのを待ってるところやから、どっちにしろ戸籍は手に入るし、こころとは家族やで。」
そうなんか。急に関西弁やん。一週間ってすごい。いや、その前から僕のこと知ってたから関係ないのか。
りお「家族より関西弁かw こころらしい。」
そうして、なぜかにっこにこで頭をわしゃわしゃされた。至近距離にいるりおは、やっぱり美しい。
こころ「というか、りおはもう、僕らの家族でしょ? 今更驚かないって。」
りお「それは嬉しい!」
あーもう綺麗。もう、造形が違うもん。こんな子がうちの学校来たら...変な虫がつきそうで嫌だな。それこそかなでをいじめた田中とか食いつきそうなんだけど。学校来てほしくない。
りお「あはは、そんなこと言うなよ~もういろいろ頼んじゃったし手続きも済んじゃったしさ。一週間なんにもしてなかったわけじゃないの! 変な虫がつかないように頑張るからさ。ね?」
うっ。
こころ「そんな、顔を発光させながらこっちに頼んでこないで。」
りお「声に出したり出さなかったり、どっちなんだよw」
母「りお~帰るわよって、こころもいるの、ちょうどいいわね。一緒に帰るわよ。」
りお「はーい。こころ、いこ?」
そういって、右手を差し出された。なんだか手を取るのは癪だったのでその手は無視して、母の方に向かった。りおがテレパシーでなんか伝えてきたけど、気にしなかったから内容がわからなかった。
車に乗ったとき、りおは悲しそうにしてた。でも正直、悲しそうにしてても絵になる。ちょっと、ずるいと思いながら、罪悪感を感じた。車の中でも話してこなかった。もしかしたら本当に傷ついてるのかもしれない。でもそもそもりおに感情があるのかよくわからん。でももし傷つけてたら...申し訳ないな。
兎にも角にも、今日は疲れた。家に着いたら部屋で寝よう。
明日から、騒がしくなりそうだな。
つづく
※りおの体は人間と同じようになってます。いろいろ違いますが、今の人間の文明レベルでは見破ることはできないです。
次回から不定期投稿となります。七話かけたら一話ずつ毎日投稿という形になります。活動報告やXでお知らせ致しますが、気長にお待ちいただけると幸いです。




