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ぼくの・夏  作者: 奈那美
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作戦、実行

そして土曜日。

かあさんは、ミホの病院に出かけて行った。

最近はミホの調子もいいらしい。

もうしばらくしたら退院できるか、退院は無理でも、ぼくもお見舞いに行ってもいい許可が出そうだという。

ぼくは宿題と、頼まれたおつかいをすませて、しばらくマンガを読んで時間をつぶした。

今日は、終業式の日に約束したとおり『集合場所』で、三時に待ち合わせだ。

ぼくは、遅刻しないように、学校に行くときは使っていない腕時計をはめた。

そして、戸締りを確認して鍵をキーホルダーにつけて、家を出た。

 

集合場所に着くと、もうサオリが待っていた。

「早いね。僕、遅刻しちゃった?」

時計を確認すると、2時50分と表示されていた。

「私、いつも決められた時間より早く着くようにしてるの。パパもママも、そのほうが信用されるって言うし」

「へえ、そうなんだ。あ、でも、ぼくの母さんもいつも『遅刻だけは、しないようにね』って言ってるよ」

「ふうん。うちと同じだね。さてと、あとはアキラくんね。彼、遅刻常習犯だからな」

「そうだね」

苦笑しながら待っていると、むこうのほうからアキラが走ってくる姿が見えた。

 

「ギリギリ、セーフ」

全力で走ってきただろうアキラは、肩で息をしながら僕たちにブイサインを出して見せた。

「なによ。やればできるんじゃない」

めずらしい…サオリがほめてる。

「さてと。じゃあ早速だけど、行動開始よ」

僕たちは『うわさの空き家』の門の前にならんで立った。

この前来た時もそうだったけれど、雑草がすごくたくさん生えている。

夏だからか、前よりもっと増えているような感じだった。

 

「アキラ君、探検の一番乗りの権利を、ゆずってあげるわ」

「え~?!おれに、最初に入れっていうの?そういうのはリーダーの役目だろ?」

「つべこべいわないの。それこそリーダー命令よ」

「ちぇ、わかったよ。いっちばんの~りっと」

なんだかんだいってヒトがいいアキラは、おどけた調子で一歩門の中に足を踏み入れて、そのままどんどん中へと進んでいった。

 

アキラの後ろをサオリ、そして僕の順番で歩いていく。

雑草はいっぱい生えていたけれど、全部足首くらいまでの長さしかなかったし、触るとケガをするようなするどい葉っぱを持ってる草も生えていなかったので、思ったよりも苦労せずに、門の奥に見えていた建物の近くにたどり着くことができた。

近くで見る建物は『お化け屋敷』というイメージから想像していたものとは違って、思ってたよりもずっときれいな、普通の一階建ての家だった。

 

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