表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくの・夏  作者: 奈那美
15/16

留守電

「でも…今考えても不思議なことばっかり起きたよね。オサム君が開けたらドアが開いたり、通じていないはずの電話が鳴ったり」

「あのときさ、オサムどっかに電話かけてたろ?あれ、どこの番号にかけたんだ?」

「ウチ…だよ。ここの家の電話番号。今は使えなくしている電話だけどね」

「そりゃ、知らないひとの家にかけたらいたずら電話になるから、おれも自分ちの番号まわしてみてたもん」

「それはあたりまえでしょ。だけど、使えなくしてるっていうのは?オサムくんち電話おいてないの?」

「ううん。あるよ。でも今はジャックっていうの?あれを抜いて、かかってこないようにしてるんだ。3年前から」

 

「3年も?どうして?」

「新しい留守電が入って、前の音源が消えちゃったら、いやだから」

「消えちゃう?新しいテープと交換して、大切なのを別に残しておいたらいいんじゃないの?」

「うちの電話機、新しもの好きの父さんが選んでて、留守電がテープ式じゃないらしいんだ。そして入ってる留守電は、全部父さんがかけてきたもので。最後の声も、入ってる」

「最後?この前の探検の時、電話にむかって『父さん』って言ってたじゃないの?」

 

「うん。ぼくの父さん、3年前に死んじゃってるんだ。出張に向かう途中に、事故で。事故にあって、自分で救急車呼んで。救急車が来るまでの間にってウチに電話かけて。その時の留守電が残ってるんだ。その時母さん仕事に行ってて。警察から電話があって、急いで病院に行ったけど間に合わなくて。やっと家に帰ったら、父さんの留守電が残ってて」

「その声が入ってるものって、取り出して交換とかってできないの?」

「母さんも最初はそう考えて、電話機やパソコンに詳しい人に聞いてたみたいだけど。なんだか技術的にいろいろあって難しいって言われたみたいで」

「じゃあさ、電話機を買い替えるっていうのは?」

「それも、ちょっとは考えたみたいだけど。今の電話機は父さんが選んだものだから、思い出としていつもの場所に置いておきたいって。だけどもう一台、別の電話機を置く場所はないし。仕事の電話も親戚とのやりとりも、スマホで済むからいいかなって」

 

「なんだかわかんないけど…。カイヤクとかはしないの?電話機は持ってていいんだし。」

「もしも、父さんが電話をかけてくることがあったら、この番号にかけてくるから。その時に知らない誰かが電話を取ったら、父さん困るでしょうって母さんが」

「そう…なんだ」

3人の間にしばらく沈黙が続いた。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ