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ぼくの・夏  作者: 奈那美
14/16

なにがあったか

「母さん。心配かけてごめんなさい」

「ほんとに。一時はどうなることかと思ったわよ。とりあえず今は、ゆっくりやすみなさい。そのかわり、治ったらたっぷり、お説教につきあってもらいますからね」

「ええ!そんなあ」

「にいにい!ママ、にいにいのこと、すごくすごくしんぱいしてたんだよ。ママを困らせたら、だめじゃない。ちゃんとお説教聞きなさい」

「なんだよ。ミホまでそんなこというなよ」

 

熱が下がって、さらに二日入院したぼくは、やっと退院の許可をもらえた。

その二日の間には母さんからのお説教と、『空家』でなにをしていたかの説明をさせられた。

ぼくは、アキラから『お化け屋敷とうわさされる空家』の話を聞いたことからを、思い出せる限り話した。

 

アキラから誘われたこと。

最初は、行くつもりがなかったけれど、やっぱり興味がわいて、きもだめしするつもりになったこと。

家の周りを見て、寂しい感じを受けたこと。

カギがかかっていたはずのドアが、自分が触ったら開いたこと。

ドアから、呼ばれたような気がしたこと。


母さんはぼくの話を、最後まで口をはさまずに聞いてくれた。

『夢を見てたんだ』と笑われそうで言うのが怖かった、『父さんと、つながっていないはずの電話で話した』ことも、ちゃんと笑わずに聞いてくれた。

「そうだったの」

そう言って、話し終わったぼくをぎゅっと、抱きしめてくれた、

 

「そんな話、信じられるはずないでしょう?って思わなかったの?」

ぼくは、母さんに聞いてみた。

「あの人なら、お前の父さんなら、そういうこともあるかもしれないわね」

かあさんからは、そんな分かったようなわからないような返事が返ってきた。

退院して一週間がすぎたころ、アキラとサオリがそろってお見舞いに来てくれた。

「調子はどう?」

「心配かけて、ごめんね。もうすっかり元気だよ。それと、アキラありがとう。お父さんに頼んで、ぼくを連れて帰ってくれたって聞いたよ」

「大したことじゃないって。もともと引っ張り込んだのはおれだし」

そう言ってアキラは頭をかいた。

 

 


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