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栗宮まみ。新人アイドルです♪

 月の降る夜は あなたに寄り添って 幸せな(とき)を 感じたい


 美味しいお菓子 二人で分け合って 楽しみましょう ムーンライトパーティ


 ほら 瞼を閉じれば あなたがもっと 好きになる


 不思議な呪文 教えてあげる


 ムーンライト マジック


 ふふふん♪


 瞳の奥に 映るあなたの笑顔


 最高の笑顔を あなたにも届けたい


 月の降る夜に 二人で寄り添って




「はーい。お疲れ様〜。今日はここまでにしておこうか」


「はい。ありがとうございました」


「まみちゃんもだいぶん歌上手くなったね」


「せっかく頂いたデビュー曲ですし。せめて人前でちゃんと歌いたくて……」


「そうだね。がんばろうな」


「ほんと、ありがとうございます。また練習見てください」


 マネージャーの時田さんにお礼を言って、わたしはスタジオの扉を開けた。廊下を挟んで向かい側にある事務所に顔を出したら今日は帰ろう。




 わたし、栗宮茉美(くりみやまみ) 。16歳。牡羊座。

 今年このアオイプロからデビューしたばっかりの新人アイドル。


 週末アイドル♪ 栗宮まみ


 ってキャッチフレーズで売り出したけどまだ実はもう一つぱっとしない。


 事務所の先輩春野やよいさんの曲、スプリングバケーションは大ヒット、とは行かないまでもそこそこヒットしてるのに。


 やっぱり今時はソロのアイドルって流行らないのかな?


 みんな大手のグループなんとか46とかに所属してそれでファンを増やしてるし。


 とか。


 まあそんなこといろいろ考えてると落ち込んでくるし暗黒面に堕ちるのやだからここまでにしておこう。




 わたし、子供の頃はスイートマミになりたかったんだよね。アニメの魔法少女アイドルの。



 お父さんの秘蔵のレーザーディスクで観たマミちゃん。すっごく憧れた。


 大きくなったらスイートマミになるの!


 そう言うとお父さん、


 よし。それでこそ茉美だ。頑張れ!


 って、言ってくれたっけ……。


 わたしの名前もお父さんが考えたって母さん言ってたな。


 中学にあがってすぐに癌で逝っちゃったから。悲しかったけど……。


 だから。わたし、絶対アイドルになる、って。


 お父さんとの夢を叶えるんだ、って。


 そう決意して。




「あたし、嫌よ!」


「そう言うなよやよい。お前はこのアオイプロの看板スターじゃないか。春野やよいが行ってこそこのイベントも盛り上がるってものだろ?」


 ああ。


 ドアの前に立った所で中から社長とやよいさんの言い合いが聴こえてきた。


 きっとまた社長が思いつきで何か始めるのかなぁ。


 アオイプロ二代目社長の葵裕貴さん。まだ30代になったばっかりだっけ。青年実業家って雰囲気でちょっとカッコいいんだけど。時々思いつきで変なことしたりしてやよいさんに怒られてる。


「だいたいあんな田舎の街、テレビだって取り上げてくれないわ。あたしはパス」


「テレビがなんだ。今はSNSの時代だぞ。誰かが呟いた事が全世界にだって広まるんだ。イメージアップのチャンスじゃないか」


「だって、そんな偽善活動したって見透かされて終わりよ。今は怖いんだから、炎上とか」


「偽善がなんだ。やらない偽善よりもやる偽善。そう偉い人も言ってたじゃないか」


「誰よその偉い人って。んー、もう。とにかくあたしはやらないったらやらない。あ、そうだ。あの子にやらせたら? まみならきっと受けるわよ」


「うーん。まぁ、やよいがそこまで言うなら。よし、今回の企画はまみで行くか」




 えーー?


 一体なにやらされるんだろう?


 ちょっと不安……。

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