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強制的魔王  作者: ほのぼのる500
魔王?
6/58

6話

『次は体が欲しいね』


体がないと身動きが出来ないし、周りの状況を確かめることもできないからな。

まぁ、名前が決まったんだから次は体だろう。

そういえば、ハルカじゃなくてアルフェはどんな姿なんだろうな。


『アルフェって日本人?』


『そう。コウキもでしょ?』


感覚的なことが似てるから、そうだと思うけど。


『まぁな』


よかった。

同じ日本人だからかな、安心できる。


『そういえば、体が欲しいけど元の体は無理なのかな?』


元の体でいいなら、ここで魂だけという事はないだろう。

魂だよな?

まさか意識だけとか?

……考えるのは止めよう。

どんなに考えても答えなんて出ない。


『無理だから、今の俺たちの状態だと思う』


『そうだよね。そういえば、魔王って美しい存在だよね?』


『なんだそれ?』


美しい存在?

どこ情報だ?


『えっ? 違うの? 私が読んだ小説では魔族や魔王は美しいほど力があるって』


『だったら俺たちは最初は醜いって事か? 力なんてないだろうしな』


あっ、そうか。

「強くなれ」と、言われたのだから今は弱いのか。

って事は、醜いの?


『体を手に入れたらいきなり無双とかないかな?』


無双?

圧倒的な力だったよな。


『それは無いんじゃないか? 今までのガチャを見る限り』


まぁ、そうだよね。

そんな設定に、してくれているわけないよね。


『だよね』


今までの事を考えると、まともな体が貰えるのか不安になってきたな。

大丈夫だよね。

さすがに。


『とりあえず、また当分は「待て」だな』


これが長いんだよな。


『そうだね、いつ頃HPは溜まるかな?』


『『…………暇だ』』


暇つぶしもここには無いもんね。

あったとしても見えていないだけかもしれないけど。

こういう時の一番の暇つぶしは、なんだろうな。


『『……………』』


『『………………』』


『『……………………………』』


暇だ。


『コウキ?』


『………………』


あれ?

返事がないな。

もしかして寝てるの?

私に気を使って寝てなかったものね。

寝なくても大丈夫とは言っていたけど、悪い事をしたな。

それにしてもどうして私は寝られないんだろう?


『体があったら、コウキにいたずら出来るのにな』


することがないって、苦痛だったんだな~。

あとどれくらい待ったらいいのかな。


『……………………………』


『……………………………』


『……………………………』


『……………………………』


「……が溜まりました。国を造りましょう」


ん~、なんだろう。

ぼーっとする。

寝られない事がこんなに苦痛だったなんて。


「……が溜まりました。国を造りましょう」


国? 

国って何が。

あ~コウキはまだ寝てるのかな?

めんどくさいな~。


「……が溜まりました。国を造りましょう」


さっきからずっとこれの繰り返し。

ちょっと待ってよね。

今、やる気が起きないんだって。


「……が溜まりました。許容量を超えます。爆発します」


爆発ね。

そうか…………爆発!


『なに? えっどいういう事? コウキ! コウキ、起きて!』


今、爆発って聞こえた。

何が爆発するの?


『あれ? ボタン? いつの間に』


「……が溜まりました。許容量を超えます。爆発します」


爆発ってボタンが?


『コウキ! コウキ!』


『ん~、ハルカ? どうした?』


久々に寝たな。

どれくらい寝ていたのかわからないが、ハルカが随分焦っているのはわかる。

何かあったのか?


「……が溜まりました。許容量を超えます。爆発します」


『許容量? 爆発?』


『起きた! よかった。早くボタン押さないと爆発するって!』


はっ?

爆発?

ってボタンってどれだ?

あれか。


『ハルカ、そのボタンは見えているのか?』


『見えてるよ』


『これで何が決まるんだ?』


『えっと……国! 国を造りましょうって』


国?

魔王の国?


「……が溜まりました。許容量を超えます。爆発します。残り30秒」


『げっ! とりあえず、俺が押せばいいのか?』


『たぶん?』


あぁ、仕方ない。

とりあえず、爆発は駄目だろう。

ボタンに手を伸ばす。

煙がスーッと白いボタンに伸び、ボタンがぐっと押されたのが見えた。


ガチャガチャガチャ……ポン、ギギギギ……ポン。


『ハルカの分も出たんじゃないか、これ』


魔王1人に国は1つのはず。

なのに目の前には2個のカプセル。


『私もそう思う。ところでコウキ』


『なんだ?』


『私としては慣れているから問題ないけど、呼び方がもとに戻ってるよ』


呼び方?

あっ、ハルカ呼びになってた。


『悪い。アルフェ』


やっぱりそっちになるのか。

私としては、ハルカのほうがありがたいんだけどな。

仕方ないよね。

早くなれないと駄目だし。


『うん』


『カプセルを開けるか』


『そうだね。そうしないと次へ行けないみたいだし』


目の前には2個のカプセル。

その下に、「開けますか? 廃棄しますか?」と2種類のボタンがある。

廃棄したらどうなるのか気になるけど、怖くて選べるわけがないよね。


『カプセルが2個だから、一緒にボタンを押した方がいいのか?』


『さぁ? とりあえず一緒にやっておく?』


意味があるのかどうかわからないけど。

もしもの事を考えるなら、そうした方がいいのかな?

はぁ、簡単でもいい説明書か攻略本が欲しい。


『そうだな』


2つの煙がふわりと「開けますか?」という文字が書かれたボタンに近付く。

そしてボタンがぐっと下に縮んだように見えると、カプセルが開いた。


『やべっ、緊張してきた』


何が出るんだ?

国ってどいういう感じで出るのかもわからないけど、とりあえずあいつらが作ったルールの国だ。

何が出ても落ち着いて対処しないとな。

ハ……アルフェは大丈夫か?


「おめでとう! 漆黒の国を手に入れたよ!」


漆黒の国?

暗い国なのか?

で、それは俺たちのどっちに言ったんだ?


「……おめでとう! 暗黒の国を手に入れたよ!」


もう1つは暗黒の国?

えっと、漆黒の国に暗黒の国は何が違うのだろう?

それに、どっちがどっちの国を管理すればいいのだろう?


『コウキ、2つの国の違いは?』


『さぁ、とりあえず国は手に入ったみたいだな』


『そうだね、相変わらず見えないけどね』


そうなんだよな。

国を手に入れたらしいのに、俺たちは何も変わらない。

目が欲しい。

そうすれば、見えるのに。


『というか、体じゃなかったな』


『うん。それに、HPが許容量を超えると爆発するって』


それもあったな。


『気が休まらない』


『大丈夫だよ。今度からはすぐに動くようにするから』


ハルカの疲れたような声。


『俺寝てたんだな。悪い』


いつの間に寝てしまったんだろう?

俺には必要ないと感じたんだがな。


『暇だから仕方ないよ。それに気にしなくていいよ』


『アルフェはやっぱり寝られないのか?』


『うん。完全に無理みたい』


『そうか』


隣で寝てたら鬱陶しくないか?

大丈夫か?


『次こそは体が欲しいね』


『そうだな』


本当にマジでお願いする。

体をくれ!


『ねぇ、漆黒ってどんな世界になるのかな?』


漆黒ね。

俺の中のイメージだと。


『光の届かない純粋な黒い世界』


『光がないのかな? それはちょっと寂しいね』


『そうだな。光は欲しいな』


光の届かない闇の世界か。

イメージは何となくできるけど。


『じゃぁ、暗黒は?』


暗黒のイメージか。

漆黒より闇というか犯罪の印象が強いな。


『暗黒街を思い出すなら、犯罪の蔓延る世界だな』


『私もそのイメージが強いかな』


実際には暗黒街なんて知らない。

でも……確かに犯罪が蔓延る世界というイメージだな。


『それが国? 国として終わってない?』


『俺たち魔王だからだろ』


『そうだけどさ。なんだか仲間が出来ても裏切られそう』


仲間か。

魔王には確かに手下が必要だよな。

暗黒の国だと裏切りとか普通に起きそうな印象だな。


『仲間や部下が出来ても、気を付けないとな』


『うん』


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