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強制的魔王  作者: ほのぼのる500
天使エルミー
31/58

31話

「あ~もう! 悔しい!」


これで失敗は2度目。

1度目は魔王にしてやられた。

その時に、顔に大きな怪我を負った。

その怪我をなかった事にするためにも、メイカクが必要なのに。


「どうして上手くいかないの?」


天使、魔王、悪魔、勇者。

この4種類のメイカクを集める事が出来れば、時間制限なしに変身魔法を使えるはず。

まぁ、これも確かな情報ではないけれど、でも試す価値はある。

私にはどうしても必要なのよ。

顔を覆う(ただ)れた傷を隠すには!


コンコン。


「はぁ、どうぞ」


落ち着け。


「ご主人様、失礼いたします」


王座の元で跪くウーリ。

私が最も信頼を寄せている配下。

変身魔法の時間が切れた今、ウーリは本来の蛇の姿に戻っている。

とは言え、ただの蛇とは言えない姿だが。

ウーリは何だったかな?

ヘビと何が混ざったんだったか?

配下の強化で、何かが混ざったはず。

駄目だ、思い出せない。

元の姿に戻ると、顔に負った傷はどうも脳の一部を損傷させたようで記憶が曖昧になる。


「ご主人様?」


あっ、話を聞いてなかった。

駄目ね、集中しないと。


「ごめんなさい。もう一度最初からお願いするわ」


「大丈夫ですか? 随分お疲れのようですが」


「大丈夫よ。話を聞かせてちょうだい。重要な事なのでしょう?」


「はい。先ほどの悪魔の世界に繋がる道が完全に切れました」


これは予想できたことね。

失敗した場合、向こうから仕掛けてこない限り二度と道は繋がらない。


「本日確認できた道は6本。只今道の先に何があるか確認中です」


「分かったわ。慎重にね。向こうも気付いている可能性があるから」


魔王の時のように、相手の世界に入った瞬間に襲われる事もある。

今日のように、隠れて罠を仕掛けられる事もある。

もう少し力があれば、解決できるのかしら?


「了解いたしました」


「下がっていいわ。道の先が何かわかったら教えてちょうだい」


「了解いたしました。話は以上ですのでゆっくりとお休みください」


「えぇ。ウーリ、あなたも休みなさい」


「ありがとうございます」


王座の間から出ていくウーリを見送る。

扉が閉まったのを見て、ため息を()く。

今回の失敗はきっと急いでしまったから。

もっと正確な情報を掴んでから動かなければならなかった。

なのに、メイカクに目がくらんだ。


「私はもっと冷静に行動できると思っていたんだけどな」


あ~、気持ちを切り替えないと。

失敗をすれば消滅してしまう世界にいるのだから。

でも、今すぐにメイカクを手に入れたい。


「だから駄目よ!」


もっと冷静にならないと、メイカクも手に入らないわ。

今、私に必要なのは強さだわ。

メイカクはそのあとでいい。

もう少し配下を増やしておけばよかったかもしれない。

次に配下を増やせるチャンスが来たら、4、5人作ろうかな。


「全ステータスオープン」


ウィン


種  :天使 Lv14 (蝶々)

魔法 :光魔法(7.9)[ライト・ボール(10.2)、ライト・アロー(8.6)]、飛行魔法(12.4)

スキル:身体強化(29)、精神強化(16.2)、高速詠唱(4/10)、回避(7.8)

称号 :勇者殺し(2)、魔王殺し(5)

ピリカ:751209/1000000

魔石 :2541


世界 :ピーシー(5.8)

星  :ライミティア(6.5)

国  :紅梅こうばいの国(6.9)

大陸 :中央大陸(7.2)


オウマイトで魔物を倒せば確かに強くはなれる。

でも、最近ではなかなかレベルアップしてくれない。

何か、手っ取り早く強くなる方法はないかしら?


「ゲームリストオープン」


ウィン


魔物を出現させる:魔石数100個 実行可能

世界の強化   :魔石数1000000個 待機中


星の強化    :ピリカ数500000個 実行可能

大陸の強化   :ピリカ数500000個 実行可能


「どれを選べば強くなれるのかいまだによく分からないのよね。確実なのはやっぱり魔物かな? とりあえず魔物を実行しよう」


「魔物を出現させるを実行します。残りの魔石数2441個です」


そう言えば、最初の頃は出てくる魔物を選んだよね。

まぁ、選んでも時々なぜか違う魔物が出てきたけど。

さて、今回は何が出てくるかな。

王座の隣にある机からあるマジックカードを選ぶ。


「代理戦闘カードもこれで最後か」


またドロップしてくれたらいいのだけど。

出てくる魔物によっては魔石だけの場合があるのよね。

そう言えば、最近はマジックアイテムもマジックカードもドロップされてないわね。

どうしてだろう?

まあ、このゲームは気まぐれなところがあるからね。

考えても答えなんて出ないか。


「ペアミラ、ここへ」


誰もいない王座の間へ向かって命令する。

しばらくすると、扉を叩く事がした。


「どうぞ」


「失礼いたします」


扉を開けて入ってきたペアミラは王座の元まで来ると伏せをした。


「オウマイトに魔物が出てくるから、私の代わりよろしくね」


マジックカードを王座からペアミラに向かって投げる。

マジックカードはスーッとペアミラの目の前に、当たり前のように落ちた。


「了解いたしました」


ペアミラは目の前にあるマジックカードに前足を置く。

カードは光り出すとペアミラの体の周りに纏わりつき、体の中へと消えていった。


「では、失礼いたします」


「…………」


ペアミラが王座から出ていくのを無言で見送る。

小さくため息を吐く。

自分で作った配下だが、苦手だ。

私の配下で一番強いのは恐らくペアミラだ。

元はトカゲだったのだが、強化で上手く進化を遂げ鱗を持つ犬のような姿になった。

全体的に筋肉が付きバランスがいいため、攻撃も回避も上手い。

嫉妬をしているのだ。

特に傷を負ってからは、嫉妬心が抑えられない。

そのせいか、変身魔法を私が使った時はペアミラが一番弱くなってしまった。

宝の持ち腐れだ。

頭では理解しているが、どうも気持ちがついていかない。

こんな事にこだわっている暇はないのに……。


「変な所でプライドが高いのは天使だからなのかしら?」


そう言えば、少し前に察知した道の先がいまだに不明だとウーリが言っていたわね。

もうそろそろ、その先の世界を治める者が何者なのか分かってもいいはずなんだけど。

何かあった?

それとも、既に消えた?

いえ、治める者が消えた世界は消滅するから道も無くなるはず。

後でウーリに、今もその道が残っているのか確かめよう。

何か変化があるなら、警戒しておかないと。

このゲームは時々、おかしな者を産み出すらしいからね。


「眠いわ、少し眠ろうかな」


その間に魔物の討伐も、道の先も調べ終っているかしら。

あ~、顔が痛い。

変身魔法から元に戻ると、しばらくすると必ず痛くなる。

本当に忌々しい傷。

早くメイカクを手に入れないと。


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