表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強制的魔王  作者: ほのぼのる500
魔王?
3/58

3話

『これからどうする?』


魔王として認めたのはいいけど、これから何をすればいいのだろう?

奴の話を思い出すと、弱いままだと殺される。

もしかしたら、今も既に狙われている可能性だってあるってことだよね。

でも、強くなるってどうやって?

そもそも、体がない!

これが一番の問題だよね。


『なぁ』


『なに?』


『体ってどうやって手に入れるんだ?』


『…………何か、思い出すとか、気付くとかない?』


コウキから戸惑った気配を感じる。


『私たちは魔王となったようだけど、私のはコウキから受け取ったモノだからね。だから魔王としての知識があるならコウキのほうだと思う』


流れ込んできたあれが魔王として誕生させる何かだとすれば、コウキの方がきっと強いはず。

いうなれば、私のはコウキから出た残り物で作られた魔王って感じ?

……嫌だ、言っててムカついてきた。


『なんか、怒ってねぇか?』


『……気のせいよ。で、何かありそう?』


『2つ』


これでいいのか?

でも、中途半端なんだよな。

本当にこれであってるのか?


『何?』


『溜めろ、そして回せ』


『はっ? なにそれ』


溜めろ?

何を?

回せ?

何を?

……それだけ?


『だから、体と強さを求めたらこの2つが頭に浮かんだんだよ! 俺だって知るか!』


俺だってちゃんと説明したいんだ。

でも、これ以上は何も思い浮かばなかった。

くそっ。

どうしろっていうんだ。


『落ち着こう』


『そうだな。悪い』


『私もごめん。溜めろ、か。私たちは動けない。でも、溜めろ……』


『じっとしてても溜まってる可能性があるかもしれないな』


あぁ、そうか。

その可能性がある。

でも、溜まったかどうかなんてどうやって調べるの?


『何だろう、何か思い出せそうなんだけどな』


コウキから乱れた気配が伝わる。

何か考えているみたい。

邪魔をしないようにしとこう。


『溜める、回す、魔王』


あれ?

何だろう、私も何かが引っかかる。


『あっ、ゲームみたいだよね。ゲームだと勇者を強くして魔王討伐だけど』


『確かにな、溜めるのはHPヒットポイントか?』


『回すのは?』


そうか、回すがあったな。

ん~。


『あっ、ソーシャルゲームだとガチャだよな。強くなるために回すのって』


『へぇ~』


『知らないのか?』


『私は……乙女ゲームしか知らないみたい。攻略対象者とのイベントをクリアして好感度を上げていくの』


うん、よくやっていたな。

そういえば、もう少しで隠れキャラを見つけられるはずだったのに。

悔しい。


『へぇ~、乙女ゲームか』


『ゲームだとHPはどうやって調べるの?』


ステータスオープンだよな。


『ステータスオープンだな』


ウィン。


『『えっ』』


なんの音?

何か音がしたけど。


『今、何か音がしたよな?』


『コウキも聞こえた? でも、見えないよね』


『……目がないからな』


『うん』


俺がステータスオープンといったら音が聞こえた。

もしかして本当に出現したのか?

この世界はゲームに近いのか?


『この世界はゲームに近いのかもしれないな』


『どうして?』


『さっきの音の正体が、俺の言葉に反応していた可能性があるような気がして』


気のせいだといいんだが。


『さっきのステータスオープン?』


ウィン。


『『…………』』


これは、間違いなく反応していると言っていいな。

つまりあれが表示されるのか。

今は俺たちに目がないから見えないが。

っていうか、出るなら頭に浮かんでもよくないか?

ちっ、その辺はケチだな。


『リセットボタンあるかな?』


『期待はしないほうがいいんじゃないか』


『だね』


リセットのないゲームの世界?

なんて世界に来てるんだろう。

異世界転生の小説とか読んだ事はあるけど、体がない転生なんて読んだ事ない!

体ぐらい用意しとけ!


ピコン


「……が溜まりました。名前決めにレッツ、チャレンジ! 何になるかな~」


『『………………』』


はぁ?

なにそれ。

その人を馬鹿にしたような言い方!


『私たちの事、絶対馬鹿にしてるよね。それに名前ってどういう言うことよ!』


ハルカって名前があるわよ!

ちょっと違和感はあるけど、私の名前だから。


『まぁ、俺たちは駒だからな。使い捨ての駒。名前は、魔王としての名前って事だろう。たぶん』


あ~、イライラする。

魔王になるのは、すでに心が納得しているからもういい。

でもあの軽い言い方。

もっと何かあるだろうが。


『コウキ、やろう。奴らの思い通りなのは本当に腹が立つけど、今は強くなって殺されるのを回避しないと』


『だな。とりあえず、目標は?』


『体を手に入れる』


『ハルカ、その目標は小さくないか? 奴らをぶっ飛ばすぐらいの、大きな目標とかないのか?』


『言っておくけど、奴らとは二度と会いたくないからね』


『なんで?』


『同じ空気を吸うのも嫌!』


なんとも言えない不気味な気配がハルカから流れてくる。

この気配はやばい。


『わかった。わかったから落ち着け!』


『よし! で、何を回すの?』


ぽこん。


見えないはずなのに、目の前に厚さ1㎝ぐらいの円柱状の白いモノが現れた。


『これみたいだな』


『そうだね』


空中に浮く、白い円柱。


『ねぇ、回すっていうより押すじゃない?』


『だと思う。とりあえず、押してみるわ』


白い円柱に煙のようなものが近づくのが見えた。

煙が白い円柱に届くと、1㎝あった厚みが2㎜ほどに縮む。

コウキが押した結果だろう。


本当、目がないのにどうやって見ているのか。

これが見えるならさっきのステータスオープンも見れたらいいのに。

気が利かない奴ら。

いや、わざとなのかも。


ガチャガチャガチャ……ポン、ポン、ポン。


「おめでとう! 3個、手に入れられたよ! 次に行く?」


本当にムカつく!

こっちは……ふぅ。


『はぁ、とりあえず3個……ガチャガチャのカプセルに見えるのは気のせいか?』


『気のせいじゃないよ、私にもしっかり見えてるから』


本当にどこまでも俺たちを馬鹿にしたゲームなんだな。

もう、これについては諦めよう。

いちいち反応をするのも馬鹿らしい。


『次へ行くでいいか』


『何』


『えっ? 白のって、これもうボタンでいいよな? 回さず押すし。新しく2個のボタンが出ただろう? だから次へって方を押していいよな?』


コウキの言葉にボタンを探す。

が、無い。


『コウキ、私には見えないけど』


『えっ?』


『さっきのボタンがあった場所に現れたぞ』


なんで、ハルカには見えないんだ?

もう一度ボタン2個を見る。

確かにそこにある。


『見えないよ。私にはコウキが見えてるボタンが見えない』


コウキと違う風景を見ていると思ったら、なんだか怖いな。

いきなり、コウキがいなくなったりするのかな?


ハルカから不安な気持ちが伝わってくる。


『ハルカ、大丈夫だ』


確証はない。

でも大丈夫だと信じるしかない。

ハルカが不安になると、俺も不安になってしまう。

きっと俺たちが繋がっているからだろう。


『うん。よしっ、大丈夫! コウキ2個ボタンが出たって言ったよね?』


怖がるな、私。

まだ、コウキと繋がっているのは何となくわかる。

大丈夫。


『あぁ、2個だ』


『1個は「次へ」として、もう1個は何?』


『もう1個の方は「もう一度回しますか?」だな』


本当にゲームみたいだな。


『もう1回か2回、回さない?』


『えっ? どうして』


『ここまで私たちを馬鹿にした設定なんだから、カプセルの中身が空っぽとかありそうだなって』


空っぽ?

ないとは言い切れない。

ありえそうだ。


『そうだな、慎重に進めたほうがいいような気がする。「もう一度回しますか?」にする』


「……が不足しています。溜まるまで待機します」


『なるほど、こうくるんだ』


『みたいだな。まぁ、待つしかないな』


名前を決めるだけで、結構な時間を使うってゲームでもありえないだろう。

普通は名前を決めてからゲームを始めるからな。

はぁ、諦めたと言い聞かせたけど、ふざけんな!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ