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メイドの矜持と歓迎会(前編)

遅れて申し訳ありません。


テストやらなんやらが重なって身動きが取れなかったです。


すまぬ・・すまぬ・・・。

「うう、どうしてこんな事に・・・。」


着替えながらそう一人呟く。

まさか、男子として生きていてメイド服を着る機会があるなんて・・・。

しかもメイド服だけでなくタイツも履くことになるとは・・・。

まだ普通の女性が履くような一本で両足をカバーする奴じゃないだけマシなんだろうか。

悠希に何回も女物の衣装を着させられたけど、コスプレ衣装や下着に類する物はなかったからなぁ・・・。コスプレに関しては可愛い物好きだから喜ぶんだろうなぁ・・・。

流石にそこまでやれと言われたら断ってただろうけど。

それにしても凄く本格的・・・。生地はスベスベで触り心地が凄く良いし、軽いから動きやすそう。

デザインも動きやすいよう簡素で、コスプレ用みたいにゴテゴテしてない。そんな中にも少し可愛さがあるのだから驚きだ。

あと着やすいようにシンプルな作りになっている。緊急時にもすぐに着替えられるようにと配慮されているのかもしれない。

本職なんだから当たり前かもだけど。

あ、ご丁寧にPADまで入ってる。男とバレないようにだろうか。


「・・・。」


着てみると、自分の体格に驚くほど合っていた。

今は夏場で長袖にもかかわらず結構涼しいので通気性も十分いいらしい。

この格好で生活してもほとんど支障はないだろう。流石に寝るときは脱ぐけど。シワになるといけないし。

にしてもどうやって寸法とったんだろう。当てずっぽうにしてはぴったりすぎる。大方奈緒さんかお父さんが協力してるんだろうけど・・・。

そんな事を考えながら着替えをしていると、


『早くしてください。』


深雪さんが不機嫌な声を投げかけてくる。

その声に少し焦りながらもきちんとした手順で着替える。

最後に姿見で身だしなみを確認。


「うわぁ・・・。」


ちょっと疲れた顔をしているメイドさんが立っていた。

元から髪は長めだったから顔立ち、身長も相まって完全に女の子にしか見えない。

悠希が見たら狂喜乱舞するんじゃないんだろうか。


『終わりましたか?』

「あ、はい。終わりました。」


ちょっとボーっとしていたが深雪さんの声で我に帰る。

最後に箱の底に入っていたローファーを履く。新品だからかちょっと固いけど、材質が良いのか履きやすい。

そして緊張しながら廊下に出る。


「おまたせしました。」

「遅いです。もっと時間を大切に扱ってください。」

「はい、すいません・・・。」


うう、やっぱり怒られた・・・。もっと早く着替えられるようにしないとなぁ。


「メイドにとって時間を守ることは大切です。仕事が完璧な人より、時間を守る人の方がよっぽど信頼できます。貴方はプライドなんて物は持ってないのかもしれないですが、せめて時間だけはきちんと守ってください。」

「はい・・・。」

「・・・少し言い過ぎましたね。あと、リボン、きちんとしてください。」

「え、はい。」


慌てて直そうとするけど、さっき着たばかりなので直し方が分からない。


「ちょっとじっとしててください。」

「あ・・・。」


深雪さんが胸元のリボンに手を伸ばす。

ちょっと呆れた表情でリボンを直してる深雪さんを見てるとちょっとドキドキしてくる。

・・・奥さんにネクタイを直されてるサラリーマンってこんな感じなのかなぁ。

お父さんもお母さんにこんなことされたんだろうか。


「・・・っ」


少し、胸が痛くなる。

・・・あんまり自覚ないけど、心の中は結構傷ついてるんだろうか。お母さんを失った事を。

だんだんネガティブな思考に囚われてきた頭を少し振って思考を切り替える。

ふと、深雪さんの方を見ると少し顔が赤くなっていた。


「深雪さん?」

「・・・いえ、なんでもありません。直りましたよ。」

「あっ、ありがとうございます。」

「次からはきちんとしてくださいね。」

「はい。」

「では、行きましょう。」

「え、どこへ?」

「食堂です。これから貴方の歓迎会ですよ。」

「へ、歓迎会?」

「そうです。あ、メイドだけなので心配は要りませんよ。」

「あ、そうなんですね。」


よかった・・・。メイドさんだけなら多分殺意が高い人なんていないだろう。


「多分スキンシップたくさんされると思うので、気をつけてくださいね。」

「え、」

「まぁ、女性しかいない職場で可愛い男子が来るとなったら、そうなりますよね。メイドはお嬢様達と違って男性に対して憧れに近い感情をもっていますからね。婚約なんかを考えてる人もいっぱいいると思いますよ?」

「早めにそうゆう事は言ってくださいよ!」

「言ってませんでしたっけ。あ、ちなみに主役にはスピーチをしてもらうので、そのつもりで。」

「言われてませんよ!」

「あ、そうですか。じゃあ頑張ってください。私これから仕事あるので。食堂はここを真っ直ぐ行けば突き当たりにあります。」

「え、ちょ、待っ」

「では。」


そう言うと、反対方向にさっさと歩いて行ってしまった。


「ええ・・・。」


これって責任放棄、とゆうか職務怠慢なのでは?

でも、文句を言っても仕方ないので、そのまま食堂に向かう。

でも、メイドさん達が男性にあこがれ・・・?なんでだろう?


しばらく歩いていると、確かに正面に大きな扉が見えてきた。

この屋敷自体が相当大きいので食堂も大きいんだろうなぁと思ってはいたけど、そもそも扉が大きかった。

そして、扉に近づくとザワザワと中の会話が聞こえて来る。


「どんな会話してるんだろう・・?」


少し気になったので、扉近くで耳を済ませてみる。

やっぱり、仕事の話とかしているのかな。


『・・・・・らしいね。』

『うん。楽し・・・・。でも、やっぱ・・・・て欲しい・・・。』

『そ・・な・・・・。わた・・・食べ・・・・・いな。』


うーん、あんまりわかんないな。

でも、殺気とゆうか、威圧感的な物は無さそう。

ただ、何となく嫌な予感と言いますか、そんな事を感じる気がするんですよね。

・・・なんか変な口調になってきた。たぶん緊張してるんだろう。


「とりあえず、ちょこっとだけ中を見てみようかな・・・」


中を見て、入れそうな雰囲気だったら入ろう。ダメそうな雰囲気だったら深雪さんを探して一緒に入ろう。

そんな考えを巡らせながら取手に手を掛けようとした瞬間、ドアが食堂側から引っ張られたのだろう。ドアが開いた。

耳を当ててドアが開かない程度に重心を預けていた僕はそのまま食堂の中に転んだ。


「あ・・・。」

「「「・・・え?」」」


多数のメイドさんと目が合う。


「えと、は、はじめまして・・・?」


その瞬間、メイドさん達の叫び声が響き渡り、目の前が真っ暗になるのだった・・・。








段々投稿頻度が下がってきてるのはじかくしているので、何とかしていきたいなぁ・・・。


次は一ヶ月以内に投稿します。


あと、お嬢様に全然触れられてない・・・。

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