音と能力とメイド服
一話投稿するのに一ヶ月ってどうゆうことなの(困惑)
また遅くなって申し訳ありません。
その代わり、今回は(僕にしては)長く書きました。
「ん・・・」
おでこに冷たい物が乗せられた感触で目を覚ます。
ベットで横になっているみたい。おでこを触ると濡れたタオルが乗せてある。
「あ、起きた。」
「美鈴さん、ですか・・・?」
「おはよー。」
横から声が聞こえたので見てみると、美鈴さんがタオルを持って立っていた。
そういえば、中庭で倒れたんだっけ。
女の子(お嬢様?)になんかされて。
「ここ、どこですぁ?」
「んー、医療室的な感じの部屋だよ。」
呂律が回らなかった。
周りを見ると、小学校の保健室とかにありそうな棚や救急箱なんかが置かれていた。
「いやーびっくりしたよ。中庭に行ったら倒れてるんだもん。」
「あー、ありがとうございます。」
お礼を言いながら起き上がる。
少し頭が痛い。物理的に。気絶した時に打ったらしい。
「それで、何があったの?」
「あ、ええと・・・」
中庭であった出来事を話す。
深雪さんを探していた事、中庭で迷子になった事、銀髪の女の子に気絶させられた事。
「あー。能力、使われちゃったかー。」
「やっぱり能力でしたか。」
一瞬で、しかも手をかざしただけで気絶させられた時点で予想はしていたけど・・・。
「彼女、何者なんですか?」
「この屋敷に住んでる能力者よ。銀髪の子ってゆうとあの子かな。」
「誰ですか?」
「それは深雪ちゃんに聞いた方がいいかな。多分、一番最初に仕える子だよ?」
「え、」
まさか全力で敵意をぶつけられた相手が一番最初に仕えなければならないなんて・・・。
「そ、その順番って変更することは・・・」
「出来るかもしれないけど、他の子もそんな感じよ。もっと酷い子だと殺されるかも。」
「え」
「冗談じゃなくて。能力のお陰で『本気で』殺せる子も多いしね。」
他の人が言っていいたなら冗談と笑い飛ばせる話だったが、美鈴さんは真剣な表情だった。
さらにさっき気絶させられたのだ。打ち所が悪ければ本当に死んでしまう所だった。
まださっきの子は気絶させられただけだったからまだマシかもしれない。
他の子だったらもしかしたら今頃・・・。
「んまぁ、初対面で殺す程この屋敷の子は狂ってないけど、行動によっては本当に危ないから気をつけなよ。」
「はい・・・」
なんだろう。やむ負えないとはいえ、ノリで仕事するなんて言わなければ良かった。
もう少し考えれば良かったのかなぁ。なんて過去のことを悔やんでも仕方ないので動く事に。
「よっと・・。」
「あ、もう大丈夫?」
「はい。ありがとうございます。」
ベットから降りながらお礼を言う。
とりあえず深雪さんを探すか、と部屋を出ようとすると
「あ、深雪ちゃんなら今部屋の前に呼ぶけど。」
「あ、ありがとうございます。」
「良いってことよ。」
美鈴さんのサムズアップを受けながら部屋を出たのだった。
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「申し訳ありませんでした。」
部屋を出ると、深雪さんが土下座していた。
うわぁ、まさか人生で初めて土下座される相手が上司だなんて。
逆だったら全然問題ないんだけれど。
「あ、頭上げて下さいよ。」
「いいえ、貴方の事を監sではなく案内しなければならないのに・・」
「いえ、僕も悪かったですし・・」
たしかに自爆して部屋を出て行ったのは深雪さんだけど、一人で行動した僕にも責任はあるだろう。
あと監視って言われかけたのが地味に傷つく。
「いいえ、そのせいでひびきお嬢様に迷惑をかけてしまいました。」
「あ、は、はい。」
あれ、僕の事じゃないんだ。また地味に傷つく。
「当たり前です。貴方よりお嬢様の方が大事です。」
「え、」
心を読まれた・・?まさか、深雪さんも・・?
「能力なんて使ってないし持ってませんからね。」
「あっはい。」
やっぱり読まれた。能力じゃないとしたら、女性の勘ってやつだろうか。
・・・ん、そういえば。
「僕を気絶させた子って、さっき言ってたひびきって言うんですか?」
「お嬢様とつけなさいお嬢様と。また気絶させられますよ。とゆうか、私がさせましょうか・・」
「ごめんなさい。気をつけます。」
深雪さんが瞳のハイライトを消してブツブツとつぶやき始めたので素直に謝る。
「まあいいでしょう。初日ですし。」
「あ、ありがとうございます。」
「で、そろそろ移動しませんか?」
「へ?」
そういえば、まだ部屋の前から移動していない。
「さっさと移動しましょう。また他のお嬢様に見つかりますよ。」
「はい。」
素直に移動する。
移動しながら気になっていた事を深雪さんに訊く。
「ひびきお嬢様のお名前って、なんて漢字書くんですか?」
「響くに輝くって書いて響輝です。」
「へぇ。一文字かと思ったら違うんですね。」
「ええ、名付け親は奥様ですけど。能力とも関連していて良いお名前だと思います。」
「零華さんがつけた名前なんですか。」
「学校でイジメを受けた原因が名前だったそうですから。詳しいことは聞いてませんが。」
「ああ・・・。」
最近流行りのキラキラネームとゆうやつだったのだろうか。
そこに能力も合わさって、いじめが激化し・・・みたいな。容易に想像ができる。
「ここの子は全員零華さんに名前をつけてもらったんですか?」
「いえ、極少数です。響輝お嬢様の様に名前でいじめられていた人が全員ではないので。」
「なんか・・悲しいですね・・・。」
一人ひとり環境は違えど、ここにいる人達は全員いじめられていたと思うとやるせない気持ちになる。
更に、名前なんてゆう自分にはどうしようもないものが原因でいじめられるなんて・・・
今まで生きていた中でいじめは見たことがなかったけれど、ここまで被害者が多いのか・・・
「・・・・」
「ん、どうかしました?」
見ると、深雪さんがじっとこちらを見ていた。
な、なんか変なことでもしたかな?
「ああ、そういえばそうでしたね。」
「?」
と、思ったら勝手に納得してしまった。何かあったんだろうか。
「いえ、なんでもありません。それより着きましたよ、貴方の部屋に。」
「あ、はい。」
そんなこんなしているうちに僕の部屋に着いていた。
「部屋に入ったら、ベッドの上にある服に着替えてください。」
「あ、はい、僕の荷物は・・・?」
「もう運び終わってます。私は部屋の外で待ってますので、何かあったら声をかけてください。」
半ば強引に部屋に押し込まれる。
おお、結構部屋が広い。僕の部屋の三倍くらいの広さがある。
水道にトイレ、簡素だけどキッチン、お風呂場まで付いてる。ホテルみたいだ。
「着替えろって言われたな・・・」
ベッドもそこそこ大きく、上に箱が置いてある。
箱を開けてみると、深雪さんが着ていたのと同じデザインの服が入っていた。
・・・・はい?
え、え、え、えええええええぇぇぇぇぇ!?
「ち、ちょっと!深雪さん!?」
『はい、何ですか?』
「メイド服入ってるんですけど!?」
『はい、着てください、早く。着付けの仕方なら箱の中の紙に書いてありますから。』
「そうじゃなくて!なんでメイド服!?」
『奥様に、「今日からメイドとして働いてもらう」って言われてたじゃないですか。』
「そうですけど!ここまで再現するんですか!?」
『いいからさっさと着てくれません?これからやってもらわないといけないことがあるんですけど』
「ええ・・・」
なんか怒らせてしまった。
とりあえずこれ以上深雪さんを怒らせない為にも、紙に書いてある通りにメイド服を着始めるのだった。
前書きでもかきましたが、本当にお待たせして申し訳ありません。
次回ですが、多分第五話を大幅に修正すると思います。
過去編がガラッと変わる可能性がありますのでご注意ください。
あと、今回サブタイトルをある作品のオマージュ的な感じにしてみました。