第3章 絆 「竜騎士⑮」
「·······················。」
「な···なあ、今、レーテの魔法が消えなかったか?」
「···消えた。」
「そんなこと、ありえるのか?」
「知らない。私に聞くな。」
「んなこと言ったって、次は俺かおまえのどちらかだろ?」
「先は譲ってやる。」
「何でだ!?おまえが先に行けよ!」
「嫌だ。おまえが先に行って、弱点を見つけてこい。骨はちゃんと拾ってやる。」
「ふざんなよ!俺はタンカーだぞ。奴が弱点をさらけ出すまで、耐えろってのか!?」
「それがタンカーの役目の一つ。」
「くっ···。」
「何をもめているのですか?」
オヴィンニクの残りのメンバーである、タンカーのシンと剣士のイザベラが順番でもめていると、マルガレーテから声がかかった。
2人はマルガレーテに目を移すが、その見たこともない表情を目の当たりにして絶句した。
笑っているのである。
普段、微笑すら見せないマルガレーテは、両端の口角をつり上げて、満面の笑みを見せていた。
しかし、こめかみと口角がピクピクと痙攣し、目が異常なまでに強い光を放っている。
美しい造形の彼女がそんな表情を見せるなど、初めてのことかもしれない。
そして、その笑みを見た2人は、背筋を凍りつかせて絶句するしかなかった。
『こ···怖えぇ···。』
『······················。』
「ちょうど良いです。彼はランダーとレーテを魔道具で倒しました。共に離れた位置からです。あなた方には、チームで闘ってもらいましょう。」
「チ、チームでですか?でも、転移した瞬間に、魔道具でやられるのでは···。」
そう言ったシンは、マルガレーテにギロッと睨まれて口を閉じることとなった。
マルガレーテが放つ殺気が、尋常ではなかったのだ。
「あなた方を、対象のすぐ近くに送ります。彼を認識したら、同時に仕掛けなさい。」
「「···はい。」」
マルガレーテが、何をそんなに執着しているのかを理解することはできなかった。
ただ、彼らは異様な圧力に、頷くしかなかったのである。
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