第3章 絆 「竜騎士⑦」
「興味本位と言うわけじゃない。君から時々不思議な気配のようなものを感じるんだ。」
別に貴族がどうとかは、どうでも良かった。
今さらになって気がついたのだが、ルイーズからは微かにだが、馴染んだことのあるような気を感じるのだ。
うまくは説明できないが、自分が知っている何かと同じにおいがするとでも言うべきか。
「気配?何を言っているのかは、よくわかりませんが···確かに、私は貴族家の出身です。しかし、継承権があるわけでもないですし、今は一介の冒険者に過ぎません。」
苛立ったような表情で話すルイーズからは、やはり微かな何かを感じた。
「彼女は、ドレインセルク公爵家の血筋だよ。」
ギルマスであるアレクセイが補足をしてくれた。
ルイーズは、さらにムスッとした表情になっている。
「ドレインセルク公爵家ですか?」
こちらに来て間なしの俺には、どのような家系なのかはわからない。ただ、公爵家と言えば、王族の可能性が高かった。
「公爵家とは言っても、王族との血縁は婚姻を通してのものしかありません。それに、そんなものは今回の件とは、何の関係もないことです。」
やはり、ルイーズは気分を害している。家の話を持ち出されることを嫌っているようだ。
その時に、俺の中で何かのピースがはまったような気がした。
「もしかして、竜人の血が混じっているのではないか?」
竜人の里で出会った、暴虐竜ガルバッシュ···リーラの気配と、どこか似ているのだ。
「··························。」
これでもかと言うくらいに両目を見開いて凝視してくるルイーズを見て、推測だけが頭の中で構築されていく。
「ミラの末裔なのか?」
別の切り口で問いかけると、ルイーズは信じられないといった様子で口をパクパクとさせた。
「待ってくれ。それ以上の話は、ここでは···。」
そう横やりを入れたのは、騎士団長のドレイグだ。
配慮が足りなかったのかもしれない。俺はそう感じた。
推測が正しかったとして、この手の話は秘匿されている可能性を考慮すべきだった。
ここにはタニア達もいるのだ。
「···タニア。」
「な···何!?」
タニアは予想外の話に、全身を硬直させていた。
「ここでの話は、他言無用だ。」
「わ···わかっているわよ。」
「他のみんなもだ。」
全員がこくこくと頭を縦に振る。
「もし、漏らしたらどうなるか···わかるよな?」
殺気をこめて、ダメ押しをしておいた。
全員が身を震わせて、さらにうなずきを返してくる。
「た···タイガ殿。その···殺気は···。」
「あん?」
「「ひっ!?」」
声の主に視線を移すと、ドレイグとアレクセイがイスから転げ落ちた。
···なぜ、あんたらがびびっているのだ。
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