第3章 絆 「竜騎士⑥」
「随分と話がそれましたが、竜騎士はいつ出てくるのですか?」
「ああ、そうであった。竜騎士の話だったな。」
脱線しないで早く本題に入ってくれないかな。村の寄り合いじゃないんだぞ。
「んん···その竜騎士についてだが、ヴィーヴル様が直々に見いだされた者がいてな。その者は、ミラという村人だったのだ。」
「村人ですか?」
「そうだ。だが、村人と言っても、ただの村人ではなかった。」
「ミラという名前からして、女性だと思いますが、どんな人だったのですか?」
「そう、女性だった。彼女も、村人とは思えぬ気品を持っていたらしくてな。それはもう美しい女性だったそうだぞ。」
「ああ、確か胸も大きくて、安産型の体型だったそうだな。」
アレクセイが、ここぞとばかりに割り込んできた。
2人して、嬉々とした表情で声を弾ませている。
どうでも良いが、このどうしようもないオッサン方は、少しお灸をすえた方が良いのじゃないだろうか。
「お二方とも、話がまったく進んでいません!いい加減にしていただけませんか!?」
さすがに見かねたのか、ルイーズがテーブルを叩いて2人を注意した。
いや、わかるわかるぞ。
俺なんかは、オッサン方の頭を蒼龍で一閃して、河童スタイルにしてやろうかと思案していたところだ。
「ルイーズ···いや、すまない。伝承の女性の美しさに気がいってしまってな。」
伝承の女性はお目にかかったことすらないだろうに。その時の美女の定義が、平安時代のようなおかめだったらどうするんだ。
因みに、平安時代の美女の定義で一番重要視されたのは、長くて艶やかな髪だったそうだが。
「しっかりしてください。既に死傷者も出ているのですよ。」
そうだそうだ。
目の前にこんなに美女が揃っているのに、不謹慎だぞ。
「す···すまない。」
「これは···ルイーズに一本取られてしまったな。」
騎士団長のドレイグはともかく、ギルマスのアレクセイは、この状況でも軽い発言をしている。
ほら、ルイーズが睨んでいるぞ。
一本どころか、全部抜き取れてしまうのではないか?
「あなたもです!」
「···え?俺!?」
ルイーズがこちらに目線を持ってきて、ピシャリと言い放ってきた。
···こっちに飛び火した。
「あなたが女性がどうのと振るから···。」
それは理不尽すぎないか?
「この助平親父たちを増長させてはダメです!」
なぜか怒られているのだが、少し興味深いことがあったので、質問を入れてみた。
「それは申し訳なかった。ところで、ルイーズは貴族の出身ではないのか?それも上位の。」
「···なぜですか?」
ものの言い方、立ち居振舞い、そして気品。
一介の冒険者のものとは思えなかった。
それに、騎士団長が相手でも物怖じをしているようには見えない。もちろん敬意は払ってはいるのだが···。
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