第3章 絆 「竜騎士④」
「白銀の竜は、唯一無二の存在。それは神の代理とも呼ばれている。そして、その神竜を友と呼び、師事したそなたは、やはり竜騎士と呼ぶにふさわしいのだろう。」
遠い目をしながら話し始めた騎士団長ドレイグの言葉は、遥か昔の伝承を語ったものである。
「この大陸は、幾度となく邪神の脅威にさらされてきた。邪神とは言っても、その時々によって姿形は異なり、それは死の気配を振り撒く暗黒の竜であったり、神界を追放された堕天使であったりと色々だ。」
そこで言葉を区切ったドレイグは、目の前のコップに手を伸ばして喉を湿らせた。
「我々の王国でも、同じように邪神が暴れまわったという史実がある。それは、悪魔という存在が、たった1人で成した地獄だったそうだ。」
「悪魔が暴れまわったのは数千年も前のことだと聞きましたが、その時のことですか?」
「ふむ···それは伝承ではなく、神話の方だな。」
「神話?」
「数千年も前となると、人の文明はそれほど発達してはおらぬ。紙のような媒体もなかった時代だからな。口伝てでのみ伝わっておるが、詳細や事実関係は立証のしようがない。」
神話の内容としては、悪魔族が世界を混沌へと誘おうとしたが、神命を受けた複数の守護者が悪魔を討伐し、世を救ったというものだった。
口伝てでしか残されてはいない神話だが、これがヴィーヴルが話していたものと考えて良いだろう。
「伝承に関しても、1000年以上も前の出来事にはなるのだが、こちらは羊皮紙に内容が記されていたのでな。その事実は事細かに残されておった。」
伝承としては、次のような内容だったそうだ。
繁栄の一途をたどっていた王国に、ある日激震が走った。
国内3番目の規模を誇る都市が、前触れもなく一晩で消失したというのだ。
国内は騒然としたが、情報の伝達が今ほど迅速ではなかった時代のこと。王城にその事実が伝わった頃には、既に3つの都市がこの世から姿を消していたらしい。
その災厄がいつ王都に訪れるかわからない状況の中、当時の王族の中に召喚術を行使できる者が現れたという。
「その召喚術士は、災厄から国を守るために、遥か昔に世界を救ったと言われる守護者を召喚しようと試みたそうだ。そして、その術で現れたのが···。」
竜騎士ということか。
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