第3章 絆 「悪魔⑲」
俺のこれまでの行動を良く知る者ならば、今の行いをこう思うだろう。
『コイツ、次は冒険者ギルドをババまみれにしやがった!?』
ふん。
惜しいが、不正解だ。
相手が何を考えているかわからないのだ。さすがにいきなりのババは可哀想だろう。
それに、あれは臭い。
とてつもなく、臭い。
炸裂球にセットをするのは、嗅覚を死の危険にさらすのだ。
好んで増産しようとは思わない。
バーンっ!
炸裂球が爆ぜた瞬間に、ギルドの建物にある窓から閃光が走った。
そう、あれはスタングレネード。
製作者のカリスが、最も魔石の配合に頭を悩ませたという苦心作だ。
なんでも、致死性がないように爆音と閃光だけを出すのが難しいようだが、その辺りは説明をされてもよくわからなかったので割愛する。
俺は冒険者ギルドの正面入口を開き、様子を伺った。
見事なまでに全滅している。
気配を察知した人数分の男女が、床に転がっていたのだ。
窓ガラスを割るほどの爆音仕様ではなかったので、被害は小さい。
テーブルが倒れて飲食物が散らかり、横断幕のような物が半ばから垂れ下がっている程度だ。
おそらく、10秒以内には全員が復活するだろう···。
ん?
横断幕?
なんでそんな物が、冒険者ギルドにあるのだろう。
俺はそれらしき布を掴み、表面に書かれた文字を見てみた。
"ようこそ!伝説の竜騎士様!!"
「···なんじゃこりゃ。」
「ちょっと、あんた何を···ええっ!?みんな···死んでる!!」
後から追ってきたタニアである。
「あ、あんた、何をしてんのよーっ!?」
いや···頼むから、襟首を掴んで振り回さないでくれ。
「こ、これって···。」
「もしかして、タイガさんの歓迎会!?」
後続のサイファ達が絶句した
なぜだ?
なぜ、俺のための歓迎会なんかを準備している?
息を潜めたりして、紛らわしいだろうが。
「どうすんのよ、これ!?あんた、何の罪もない冒険者たちをこんな風にするなんて···あ、悪魔でしょ!?あんたが、本当の悪魔なんでしょ!!」
「·································。」
違う。
違うぞ。
俺は悪くない。
そして、誰も殺っていない。
「ね···ねえ、あのカウンターに突っ伏してるの、ギルマスじゃない!?」
「あの横にいる鎧姿はどっかで···あ、騎士団長のドレイグ様じゃ!?」
俺はタニアに振り回されながら、サイファ達の声を聞いて思った。
瞬間移動で逃げて良いだろうかと···。
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