第3章 絆 「悪魔⑰」
「ねぇ、あなたは本当に竜騎士なの?」
冒険者パーティーのリーダーであるタニアが、ジーッと俺をにらみながら聞いてきた。
そこまで嫌われるようなことをしただろうか···。
「さあ?そもそも、竜騎士が何かを知らない。」
「は!?」
「だから、そんな顔はやめておけと言っている。せっかくの美貌が···。」
「あ~、はいはい。わかったわよ。私は美人で可愛くて、性格も最高。だから、変な癖はなおすわよ!」
「いや···性格は違うだろ。」
厚かましいにもほどがある。
「何よ!性格が悪いとでも言いたい訳!?」
「性格がわかるほど、歩み寄っていないだろう。」
「···まあ、それはそうかもしれないけど。」
「何度も説明をしようとしたのに、人を変質者扱いして殺そうとしたのは誰だ?」
「いや···まあ···それについては、反省してる···。」
ごにょごにょ言ってて、何を話しているのかわかりづらいが、本質的に悪い人間ではないと感じられた。
「まあ、そうだな。そういう意固地な性格は可愛いかもしれんな。」
「ふぇっ!?」
「その変顔はマイナス評価だ。そんな顔ばかりしていると、表情筋がそれを覚えて元に戻らなくなるぞ。」
「え!何それ、嘘でしょ!?」
「本当だ。俺の知っている奴は、商売で作り笑いばかりしていたんだが、そのうち表情が戻らなくなってしまった。笑顔でマジギレされた時は、腹筋が崩壊したものだ。」
さぁーと、青ざめていくタニアを見て笑いたくなったが、ポーカーフェイスは崩さなかった。
「ちょっ、ちょっと、嘘でしょ!?嘘って言いなさい!」
確信した。
彼女は根は純粋で、良い奴だ。
単に騙されやすいとも言うが···。
ただ、俺の胸ぐらを掴んで、振り回そうとするのはやめて欲しい。
「···ねえ、タニアちゃん、落とされちゃった?」
「違うんじゃない?からかわれているだけだと思う。」
「ああ···確かに。」
サイファと魔法士のアシュカは呆れ顔だった。
悪魔らしき存在には、警戒が必要だろう。
ただ、馬車の中は平和だった···。
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