第3章 絆 「悪魔⑮」
誤解がとけた後、とりあえず他の冒険者パーティーと馬車に乗り、王都に向かうことになった。
道中、荷台で座禅を組み、竜孔流を体内に循環させる。
これを日々のルーティンで行うことで、流れはよりスムーズとなり、根太い下地が出来上がっていく。
竜孔流の特性や鍛練法が気のそれと酷似していることは、俺にとってはこれ以上になく効率的なことであった。
相手が悪魔や魔族といった人外である以上、竜孔流の破壊力がなくては話にならない。
それを可能な限り昇華させ、寸分の狂いなく操ることで、多くの敵を屠ることができる。
結果として、1人でも多くの人命を救うことができるのであれば、退屈で地味な鍛練も苦ではなくなるのだ。
これは俺に課せられた業だと認識している。
カルマとは、行為や所作、意志による身心の活動や生活といったことを意味する語であるが、仏教やインドの宗教では、このカルマが善か悪のどちらに働くかで輪廻転生における善因善果、悪因悪果の結果をもたらせるものだと言われている。
こちらの世界に転移した俺は、それまでの俺のカルマは悪に傾いていたのではないかと思っている。
確かに、多くの命を救えてきたとは認識している。
しかし、それと同時に多くの命を切り捨ててきたとも言えた。
任務として遂行するということは、その指令を出す者の志向に傾いている。それは市井の者たちを救うのではなく、国家や権威を持つ者たちを優先して守ってきたことに違いないからだ。
許されるのであれば、こちらの世界では、かつて見放す真似をしてきたような人達のために行動をしたかった。
英雄などと呼ばれることに興味はない。
金も権威も、生きていくために必要な分だけあればそれで良い。
ただ、周りの人達に笑っていてもらいたい。
今は、ただそれだけを思い、鍛練に集中した。
「ね···ねえ、あの人、町を出てからずっとあの格好で動かないのだけど···馬車の荷台で胡座をかいていたら、痔になると思う。」
「あまり関わらない方が良いと思う。無視しときなさい。」
「で、でも···時折、頭とか胸とか···それに···股間とかが光ってるよ?」
「···それは知っている。」
「あれ···何?」
「さあ···竜騎士だからじゃない?」
「···竜騎士って、股間が光るの?」
「知らないわよ。もともと変な奴なんだから。」
「あの光って、触ったらどうなるのかな?」
「···股間を触りたいの?」
「違うわよ!?」
馬車に同乗している女性冒険者達が、ぼそぼそとうるさかった。
鍛練に集中をしているので、それほど気にはならなかったのだが、目の前で一方的な笑いのネタにされるのは我慢ができない。
「全部、聞こえているぞ。」
「「「げっ!?」」」
牽制の一言で黙らせておいた。
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