第3章 絆 「悪魔⑩」
「サイファから離れろ!」
青髪チャイナを籠絡しようとしたが、複数人が相手では、やはり時間的余裕がない。
俺は背後から迫り来るリーダー格の剣を、ナックルナイフで受け止めた。
「危ないなぁ。俺が避けたら、仲間に当たっているところだぞ。」
「黙れ!貴様、サイファに何をした!?」
「···何もしてないぞ。ちょっと話を聞いてくれって笑いかけただけだ。」
「じゃあ、何でサイファは真っ赤なんだ!?」
はい?
サッと、視線を青髪チャイナに走らせた。
確かに真っ赤にはなってはいるが···籠絡者スキルにはそんな即効性はない。
そんなことが可能なら、俺はエージェント·ドンファンになっている。
「あのな···いい加減に話を聞いたらどうだ?」
「ふざけるな!貴様···精神干渉でも使ったのか!!まさか、魔族!?」
いい加減、うんざりとしてきた。
思い込みが激しいと言うか、何と言うか···。
「サイファ、動けるなら今のうちに奴を斬れ!」
リーダー格の女性は、俺の背後に向かってそう叫んだ。
「う···うん、わかった!」
いや···わかった!じゃねえよ。
「なんでやねん!」
たまらず、キーワードをつぶやいた。
まばゆい光が周囲を照らし、冒険者たちの目をくらます。
「ぐ!」
「うわっ!?」
漆黒の鎧を纏った俺は、そのまま姿をくらませることにした。
再び孤立し、街探しを再開した。
思えば、ヴィーヴルにいきなり戦いの場に放り出されてから、非生産的な行動ばかりをしている。
「さて、どうしたものか···。」
ぼやいていると、後方から猛スピードで馬車がやって来た。
今度は何だ?と思い、観察をしてみると、先ほどの冒険者たちが、馬車の上から俺を指差しながら何かを叫んでいる。
「·························。」
何度も相手をするのは面倒なので、俺は道から外れて森の中に入り、逃亡を始めた。
···俺は罪人じゃないぞ。
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