第3章 絆 「悪魔②」
「近寄るな。そこの3人がどうなっても良いのか?」
赤目の男は、冒険者たちに向けて指を突き出した。
おそらく、俺には魔法が効かないことを知っている。
そして、冒険者たちを人質代わりにして、優位に立とうとしているのだ。
「え?」
俺は再び掌を耳にあてて、大げさなゼスチャーをした。
「頭が悪いのか?何を言っているのか、聞こえないと言ったのだがな?」
赤目の男の殺気が膨れ上がった。
俺ではなく、冒険者の方に視線を向けて、魔法を放とうとする。
「やっぱり、頭が悪いな。」
俺は瞬時に間合いを詰め、赤目男の腕を掴んで上にあげる。
指先から何かが放たれたそうになるが、空に向けられているから気にもしない。
脛椎に肘を入れ、襟のあたりを掴んで引きずり倒す。
地面に叩きつけようとした時に、赤目の男は忽然と姿を消した。
瞬間移動か?
咄嗟に奴の気配を読んだ。
感じた気配を追って、瞬間移動を行う。
「な!?」
上空に逃げた奴の上に移動をした。
鎧を解き、ナックルナイフで背中を滅多刺しにする。
そのまま体重をかけて一緒に落ち、地面に衝突をする手前で、自分だけ瞬間移動で回避をした。
赤目の男は鮮血にまみれ、体の下からは止めどなく血が流れ出て、それを地面が吸い込んでいく。
ビクッビクッと痙攣をする奴を視界に捉えながら、WCFTー01を取り出し、火属性モードで引き金を絞る。
尋問をすべきところではあるが、冒険者の容態が芳しくはない。
すぐに治療をしなければ、失血死するだろう。
赤目の男は、高熱の炎にさらされて、すぐに原型をなくしていった。
周囲には焼け焦げたことによる異臭が漂い、やがて、奴は黒焦げの肉塊と化した。
瞬間移動を使う、悪魔らしき生命体。
俺が体に触れていたにも関わらずに発動されたことを思えば、魔法とは異なる力···神威術に近いものを操れるようだ。
「厄介だな···。」
俺はそうつぶやき、冒険者の方に歩み寄るのだった。
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