第3章 絆 「悪魔①」
「!」
気配を明らかにした瞬間、奴はビクッと体を強ばらせて、こちらを見た。
「····························。」
視線が絡み合うが、フルプレートの鎧で、兜までかぶった俺の顔は奴には見えない。
目を細め、何かを探ろうとする赤目の男。
「···貴様か···貴様が、グルルの御玉か?」
赤目の絞り出すような声に、天を仰ぎたくなった。
グルルという言葉が出た以上、奴は悪魔か、それに関わりのある存在に間違いないだろう。御玉が何なのかはわからないが···。
「なぜ、そう思う。」···そう問えば、こちらが肯定してしまうことになる。
俺は無言で相手の出方をうかがった。
「···黙りか?」
「················。」
「···無言を通したところで、わかっているのだぞ!貴様には魔力の波動が感じられんのだ!!それが何よりの証拠だ!!!」
無言で通したら、相手が勝手に種明かしをしてくれたようだ。
特に目新し情報でもないので、何の驚きもなかったが。
「先程から、何やらギャーギャーとわめいているようだが、申し訳ない。この兜は、防音処理が完璧な欠陥品でな。何を言っているのか聞こえないのだ。」
当然、すべて聞こえているのだが、ここは惚けておく方が良いと判断した。
「貴様!ふざけているのか!?」
「···え?」
掌を耳にあてて、大げさなポーズをとってみた。挑発と捉えてくれれば、それで良い。
「···殺す!」
直情型のようだ。
顔を真っ赤にして、こめかみには何本もの筋が立っていた。
「だから、何を言っているのか、わからないと言っている。近寄るから、変な真似はしないでくれ。」
俺は無造作に歩み寄った。
奴と冒険者たちに緊張が走るのがわかる。
さて、こいつをどうするべきか。
捕らえて尋問できれば良いが、そうは簡単にはいかないだろう。
ならば、選択肢は一つしかなかった。
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