第3章 絆 「新天地④」
正面から突っ込んでくる1体の攻撃をいなし、指先で左脇腹に触れる。
脇腹から衝撃を通し、頭頂部まで貫通させるイメージ。
ドンッという何かが突き抜ける感触の後に、魔物の頭部が爆ぜた。
中国武術に発勁という技法がある。
これは力の発し方を意味するのだが、その中でも寸勁と分類される至近距離から相手に勁(力)を作用させる技術をイメージした。
今回は面ではなく点の衝撃により、魔物の体内を貫いた。
そして、発勁が伸筋力や張力、重心移動によるものであるのに対して、俺の場合は竜孔から発せられた力、竜孔流を用いている。
竜孔流とは、体内の孔で練られた力であり、それを高密度で射ち出すことにより、相手の内部を破壊しながら突き進んで、射出口である頭を爆ぜさせるというわけだ。
これには、第7の竜孔であるサハスラーラが作用している。
寸勁のイメージを、竜孔流の力で具現化させる。煩わしい内部処理をサハスラーラが瞬時に行い、形にしたと言っても良いだろう。
仲間の1体が想定外の攻撃により瞬殺されたことで、オーガ擬きたちに動揺が走っている。
俺は第六の竜孔であるアージュナーにより、脳内にその場の俯瞰図を広げた。
瞬時にマークされた敵位置を把握しながら、連撃のために動き出す。
最小限の動きでオーク擬きの間を縫いながら、頭部が爆ぜるように一撃ずつ入れていった。
数十秒後には、すべてを無力化。
自動修復スキルも、頭部を爆ぜさせてしまうと作用が不可となるようで、身動きできるオーク擬きは皆無となっていた。
血の海と化した周囲を一瞥した後、後続の魔物に向けて炸裂球を放り込む。
さすがに、竜孔流の使用は精神的な消耗が激しいようで、微かながら頭に鈍痛が走った。
破龍を手に取った俺は、風撃無双を放って牽制しながら、魔物の群れに飛び込んだ。
鎚のようなものを振り回すオークの胴を一刀両断にし、その勢いで弧を描くかのように破龍を振り回す。
棍棒を振り下ろすオーガの膝を叩き斬り、破龍を弾くような外郭の固い奴には、目や耳といった柔な部位から竜孔流を通す。
怒濤のように攻めてくる物量にも、アージュナーによる俯瞰図のおかげで先手を打ち続けることができ、その後も危なげない立ち回りで魔物を翻弄するのであった。
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