第3章 絆 「神龍⑫」
また面倒ごとに巻き込まれるフラグが立ったような気がする···。
「グルルと魂源が似ているというのは?」
「魂源はリトゥル···簡単に言うと、色で表される。それは、基本的に我ら四方の守護者と同じ4つに分類されておる。即ち、ブラールの蒼、ロゥズルの朱、フウィートルの銀、スワルトゥルの玄といったようにだ。」
「魔法の属性みたいなものか?」
「そうだ。魔法の属性は四季変化を抽象化し、5種の元素を基にされておる。我ら四方の守護者も、その属性を魂源として持っておるのだ。」
「5種?4種じゃないのか?」
「そう、5種だ。蒼は木、朱は火、銀は金、玄は水。そして、その4種の中央に立つのが、金である土属性を持つグルルだ。」
「土···そうか、他の四方は春夏秋冬を現すが、金はその全てに通じるという意味か。」
これは、自然思想を取り入れた魔法哲学と同じ性質のものだ。
魔法における元素は、木火金水土。これをそれぞれの方角にあてはめると、東西南北···そして中央となる。
また、土は他の4元素をつなぐ役目···地を表しており、それらも含めて特殊な立ち位置になる。
魔法の書物に目を通していた際に、土の元素に関する記述が極端に少なかったのだが、リルに質問をすると、土は特異で全てに通ずる属性のために使い手がいないと話していた。
「ほう···それに気づいたか。そうだ、金は他の全ての属性に通ずるが故に、単体では魔法としては成り立たぬ。さらに言えば、すべての魔法を打ち消す効果を備えておるのだ。」
「·································。」
理論的なことを、すべて理解できたわけではない。
だが、今の話から、俺に魔法が通じない理由が垣間見えた気がした。
「ぬしには、我のブレスが効かなかった。そして、流を読んだ時に、微かに見えた黄金の光。それが、グルルと同様の魂源を持つのではないかと、我に思い至らせたのだ。」
だからヴィーヴルは、一度は敵と見なして攻撃を加えた俺を、丁重に扱ってくれたのだ。
「グルルのリトゥル···黄金の魂源を持つ者は、非常に稀な存在だ。かつてのグルルが果てた以後は、これが初めてのことなのだ。」
「そのグルルのリトゥルと、かつて存在したグルルとは同義語と思えば良いのか?」
「ふふ、確かにややこしいな。リトゥルでいうグルルとは、黄や金といった色を指す。かつて存在したグルルは、その霊獣そのものを言うのだ。」
ヴィーヴルはそこまで言うと、じっと俺を見た。
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