第3章 絆 「神龍⑩」
「少しだけ頭を下げるのだ。」
目の前で立ち止まったヴィーヴルは、俺を見上げながらそう言い、そっと両手で側頭部に触れてきた。
恐怖はない。
相手が古代竜であろうが、悪意や邪気は感じず、むしろ慈愛の感情に触れた気がした。
なぜ、ヴィーヴルが初見の俺にそのような行動を取ったのかはわからない。
何か思うところがあるのだろうか。
コツン···。
軽く額同士が触れ、その部分から暖かな気のようなものが流れてくる。
目を閉じ、その心地良さに身を委ねていると、ゆっくりと意識が遠退いていった。
「気がついたか。」
目を開けると、薄暗い中でも透き通るように白い双丘と、その間にヴィーヴルの整った顔が見えた。
「···どういう状況なんだ?」
何となく、意識を失う前のことは記憶している。
しかし、なぜ俺は膝枕をされて寝かされているのか理解が追いつかなかった。
「なんだ、覚えておらぬのか?」
「額が触れたところまでは覚えている。」
くすっと、ヴィーヴルが悪戯っぽく笑った。
こいつは本当に古代竜なのかと、軽く混乱した。
絶世の美女と言っても良い容姿に、妖艶さと可憐さが同居した笑顔。
後頭部にある柔らかい大腿部の感触と相まって、間違いを犯してしまいそうだ。
「あんなに熱い時を過ごしたのに、覚えておらんとはひどい奴だ。」
「···本気で誤解をするから、やめてくれないか?」
「ふふっ、そうか。やはり我の擬人化は巧妙なようだな。」
肌の温もりまでもが、リアルすぎた。
もともと、竜から人の姿に変わったのは、俺に警戒心を持たせずに接近するためで、おそらく同じ言語で意思疏通をするためでもあったのだろう。
しかし、本当に妙齢の美しい女性と錯覚してしまいそうなる。
俺は上体を起こして、ヴィーヴルの瞳を覗きこんだ。
「それで、一体何をしたんだ?」
事後ではあるが、身を委ねた代わりに、詳細を問うた。
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