第二章 亜人の国 「堕ちた英雄 vs エージェント再び⑦」
城内をくまなく探し、薬物や他の被検体がいないかを確認する。
地下に数十種類にも及ぶ薬物が保管されている医務室のようなものが見つかり、その続き部屋には
拘束された兵士たちがいた。
薬物については、混乱に乗じて持ち出された物もあるようだったが、城内に潜伏しているような者もおらず、残念ながら追跡は厳しいようだ。
ただ、生成された数も種類もはっきりとはしていないため、はじめからその全てを処分することは不可能であったと思っている。
拘束されている兵士たちに関しても、まともに話せる者などおらず、そのまま放置するしかないと判断した。
資料の類いについては、できる範囲で探してみたが、魔人に関連するものは発見できていない。
俺は薬物のみを処分し、転移術を使ってヘイド王国を後にした。
研究所の所長に聞いていた話によると、魔人に関連する薬物の完成品は、それほど多くは現存していないとの事だった。
主成分となる魔族の血の確保が難しく、また、薬物を人間に投与しても、その副作用に耐えれる者がほとんどいない。そう言った意味でも、まともに完成したものは、片手の指で事足りる程度しかないとの事だ。
これも推測の域を出ないが、完成品、もしくはそれに近い物については、以前に出会った魔人に投与され、残りのごく少数についてはシュテインが所持しているか、別の者に投与して失敗をしたのではないかと考えられる。
もし、そうではないのであれば、魔人が出没する度に討伐に行くしかない。
最初から把握できていない事案だけに、今のところは大雑把な幕引きで良しとするしかないだろう。
テトリアについては···本当にどうしようもない理由ではあるが、自分に無いものを自覚し、それを欲するがあまりに、対応策を考えるため撤退をしたと考えるべきか。
端から見れば馬鹿じゃないのかと言いたいようなことではあるのだが、奴の性格と、あまりにも貧相なモノをぶら下げているであろうことを考えると、本人的には相当な問題だったのだろう。
できるのであれば、このまま失意の内に息絶えてくれれば良いのだが、そんな簡単な終焉は迎えないであろうことはわかっていた。
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