第二章 亜人の国 「堕ちた英雄 vs エージェント再び④」
今回で食事中の方はご遠慮下さい回が終了します。
超高熱のレーザービームが、テトリアを憑依させていた体を熱し、すぐに蒸発させていく。
大噴火による火砕サージでは、5~600度の高温で、人体は脳の髄液も含めて体内の水分が突然沸騰して死に至るという。
WCFTー01が放つレーザービームは、鉄の沸点である2862度を優に超えている。人体が気化し、無に帰すのにそう時間はかからなかった。
トリガーから指を離して、気配を読んだ。
テトリアが倒れていた周辺が高熱に晒されたことで、ぶすぶすという音を発しているが、それ以外の音も気配も拾えない。
「···························。」
察知に全神経を集中させ、テトリアの思念体を探した。
5分、10分と時間が過ぎ、30分が経過したところで、踏ん切りをつけた。
倒せたかどうかはわからない。
むしろ、警戒は最大限にしておくべきだろうと判断し、王城で生き残っている兵士の状況を確認するために移動することにした。
王城はもぬけの殻と言っても良い様相を呈していた。
もちろん、城内には息絶えた兵士達がそこら中に倒れており、その甚大な被害は言うまでもない。
この災厄に関与したのは自分自身でもあるのだが、被害者の数を見る限り、半数以上はテトリアが憑依していたエルフの仕業だと考えられた。
それにしても、強力な敵がいたとは言え、王城を放り出して逃げる者が多いとは、この国の状況を物語っているとしか思えなかった。
「ん?」
通路の先に、大浴場が備えてあるのを発見した。
俺の体は、ババのせいで相当臭かった。
鎧は纏ったままだ。
そのまま神威術で収納すると、こびりついたババがどこにいくのかが不安で、脱ぐことができなかったのである。
俺は周囲に人がいないことを確認してから、大浴場に入った。
ちょうど浴槽に湯がはられていたので、それを使いババを洗い流す。
以前に、別の国の王城をババ地獄に陥れたが、その時の彼らと同じような状態であることに苦笑いを浮かべる。
「クセェ···最悪だな、これは···。」
まさか、彼らと同じ思いにかられるとは思ってもいなかったのだが、自分がやった行為に反省など一切ない。
俺も含めて、ババまみれになるような人生を生きているのだ。
「因果応報とは、このことだな。」
俺は笑みを濃く顔に張りつけ、これ以上は嗜虐的な人間にはなるまいと誓うのであった。
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