第二章 亜人の国 「堕ちた英雄 vs エージェント再び②」
食事中の方はご遠慮下さい。
炸裂球の爆風から逃れるために、床にうつ伏せになった。
頭上に投じた炸裂球に殺傷能力はない。
ビチャッ!
ペチャッピチャップチュァ!
「ぶふぉっ!?」
テトリアが、炸裂球から四散する中身の犠牲になったようだ。
ビチャップヂャバトペチャ!
そして、俺の上にも、夥しいそれが降り積もる。
「ぶふぁぁぁ···お···おぇっ···。」
事前に息を止めていた俺とは違い、テトリアは嘔吐を始めた。
強敵と対峙するためには、相手の予想の遥か上をいく発想が不可欠だ。
最初の炸裂球でチリパウダーの煙幕を張り、逃走をはかっているかのように見せかけた。
次に、距離を置いての狙撃。これにより、テトリアはかつての闘いの記憶を呼び起こし、同じ結果が引き起こされないように距離を詰めてきた。連射をしたところで、あれだけ瞬間的な肉薄を受けては、装填が間に合わない。
柱を障害物として利用した俺は、気づかれないように頭上に2つの炸裂球を投じた。
ここで瞬間移動を使い、テトリアだけを爆発に巻き込むという方法もあるのだが、おそらくそれだけでテトリアを倒すことは無理だっただろう。
奴の硬化魔法は、その膨大な魔力により全身をカバーする。しかも、アホのくせに直感が鋭く、瞬時の状況判断や回避にも長けているのだ。さすがは稀代の英雄と言えるだろう。
これまでの動きは、すべて今のこの攻撃のための布石として打った。
そう、糞雨のための。
「お···う···げげ···おえ···。」
ババ球の中身が降り注ぎ、その
強烈な悪臭と汚物にまみれたテトリアは、際限なく嘔吐を繰り返していた。
もしかしたら、鼻や口の中にババが入ったのかもしれない。
フルプレートの鎧に身を守られた上、うつ伏せ状態だった俺は、半身にババを浴びただけにとどまっている。
素早く体を起こし、テトリアの背後に回った。
もちろん、床のババに足をとられるようなお約束は一切しない。
テトリアの首に片腕を回し、両脚は胴から内股に入れて同時に締め上げた。
いわゆる、裸絞である。
この技は、様々な格闘技や武道で多用をされるのだが、完全に極った場合、抜け出すことは非常に困難である。
後頭部で頭突きをくらわせるか、体格差がある場合は、持ち上げて背中から投げるかくらいしか脱出法はない。
逆に言えば、それを封じさえすれば、必勝パターンに持ち込めるのであった。
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