表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結&1114万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

825/1622

第二章 亜人の国 「魔王の鉄槌⑯」

扉を開けた瞬間に、鼻腔を刺激する血の匂い。


そして、視界に広がるのは、紅に染まった大広間だった。


微かな呻き声が聞こえるが、床に横たわっている人の大多数からは生気を感じられない。


簡潔に言えば、大虐殺の場だ。


「···おまえがやったのか?」


先ほどから感じていた歪な気配。


その主が、正面に見える玉座に座っていた。


「··························。」


目が合うと、そいつはすぐに立ち上がり、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。


まさかという否定と、やはりという肯定の気持ちが交差する。


だが、感慨に耽っている場合ではない。


すぐに気持ちを切り替えた。


「UREYYYYYYYYY。」


言葉にならない奇声を発するのは、褐色肌のエルフ。戦闘種族と考えても差し支えのない頑健な体と、俺が少し見上げる程の長身。


獰猛な野獣を感じさせる気配と、悪意や邪気にまみれた憎しみを感じさせた。


「薬物を投与されて、理性を失ったか···。」


本音を言えば、エルフとは闘いたくはなかった。ガイやエルミアのように、気の良い奴しかいないイメージがある。


可能であれば、彼を正気に戻したいと思った。


しかし、思うのと実際に行えるかは別問題だ。


「UUUUUUUUUUU。」


唸り声をあげながら、両手に大型のククリマチェットの様なナイフを掲げてきた。


ククリマチェットナイフは、別名グルカナイフとも呼ばれる湾曲した刀身を持つナイフである。


山林で鉈や鎌がわりに草木を凪ぎ払う刃物ではあるが、その形状は、使用されるのが低地と高地とで2つに別れる。


低地では比較的柔らかい草木を刈るのに適した、湾曲が小さく、細長く薄い刀身をしているが、高地では固い木を打ち払う、斧や鉈のように使用できる湾曲が大きく、幅広で分厚い刀身となる。


目の前のエルフが持っているものは、高山地帯出身らしく後者のものであった。


俺はナックルナイフを両手に持ち、真正面からエルフに向かって突進した。


間合いに入った瞬間、斜め前方にスライディングをして、エルフの足の腱を切り裂く。


ククリマチェットナイフはその形状から、刃物を交差させると相手の武器を引っ掻けて受け流したり、湾曲部を使って持ち手に攻撃を加えることができるため、刃を合わせると手強い武具と言えた。


まともに打ち合うことは、自らを窮地に誘う可能性が高いのだ。


「GYAAAAAAAAAA!」


右足の腱を切り裂かれたエルフは、悲鳴のような声をあげながらも、無事な方の足を軸にして、再度ククリマチェットナイフを振り下ろしてきた。


体を横に回転させて攻撃を回避し、エルフの脇腹から斜め上にナックルナイフを突き刺す。


肋骨の間に刺さったナックルナイフが、心臓に達してエルフの動きを止めた。


「すまない···助けられなかった。」


俺はそうつぶやくと、ナイフを抜いて、すぐに距離をあけた。


傷口から噴射した血が床を染めていき、大した間をおかずにエルフは膝から崩れていく。


やるせない気持ちが襲うが、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。







おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。

よろしくお願いしますm(_ _)m。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ