第二章 亜人の国 「魔王の鉄槌②」
「···それは、あなたが邪神シュテインに復活させられたテトリアを倒したということか?」
「そうだ。テトリアは、片割れの俺を滅殺することで力を取り戻し、世界征服をすると言ってきたからな。」
互いに顔を見合わせた後、俺の目をじっと見つめてくる2人。
キレイなだけに、見つめられると目をそらしたくなる。いや、こんなところでヘタレ根性を出す訳にはいかない。
それに、2人とは血縁関係にあるようだ。孫や娘を女性として意識するのは、頭がおかしい奴がすることだ。
俺はそっと2人を見つめ返す。
ここで白眼を剥いたり、寄り目をしたくなるのは、関西人の悪い癖だ。
耐える。
ひたすら耐える。
笑いを起こせよムーブメントなどという、心の渇きに抗った。
沈黙の苦痛に耐え、2人が反応を起こすまでの時間が拷問のように感じられる。
耐える。
ひたすら耐える。
笑ってしまいそうになる顔を必死に抑え、頭の中で円周率を数える。
3.14159····
あ、もう無理。
円周率を数えるのは無理があった。あんまり知らんし。
別の何かを···羊が一匹、羊が二匹···。
羊が二桁を越える前に、相手が口を開いた。
「とりあえず、信じてみるわ。」
「そうだな。ちゃんと正面から見返してきたからな。やましいことはないと思おう。」
···余計な真似をしなくて良かった。
ヤバかった。
「ありがとう。」
「よく考えたら、ミリネもテトリアには思うところがあるみたいだし、変な奴なら私たちに会わせたりはしないかもね。」
「···どうだろうか。私たちに始末をして欲しかっただけかもしれん。」
···やめてくれ。
なぜ、テトリアの過去の愚行のせいで、始末をされなきゃならんのだ。
「早速だが、2人が持っている情報を教えて欲しい。」
ようやく、まともな会話ができるようになったようだ。
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