第二章 亜人の国 「魔王降臨⑬」
女性は2人ともキレイな顔立ちをしていた。
紅と白銀色の艶やかな髪をそれぞれに持ち、透き通るように白い肌をしている。
状況的に、ガン見などをすれば周囲のクズ野郎共と同じように見られそうだったので、あえて気にしないようにした。
「助力に感謝する。」
「おかげで包囲から抜けれたわ。」
固い物言いをするのは紅髪の女性で、フレンドリーなのは白銀髪の方だ。
「とりあえず、全滅させましょうか。」
そう提案をしたのだが、実力者なのか、男前な返事が返ってきた。
「この状況なら、あとは2人で何とかなるだろう。」
「そうね。あなたには後で謝礼をするわ。その辺で見ていて。」
そう言った2人は、共に武器を構えて野郎共に向かって行った。
動きに無駄がなく、洗練されている。スピードで翻弄するタイプの戦闘スタイルなのだろう。包囲されて、行動範囲を制限されたので後手に回っていたのかもしれないが、助力がなくとも状況を打破する実力はありそうだった。
俺はしばらくその状況を見た後、危なげない2人を見て問題はないと判断した。
そっと、その場を後にする。
特に謝礼を欲しいとも思わないし、あまり時間を無駄にしたくはなかったのだ。
それに、もう会うこともないのかもしれないが、こういった立ち去り方をすれば、後の厄介ごとに巻き込まれたりもしないだろう。
俺はその場で気配を消して、首都に向かった。
神聖ユラクト興国の首都ユラクトの外周壁まで行き、門衛にデュークからの文書を見せた。
最初は訝しげに俺と文書を見比べていた門衛は、やがて書かれている内容に目を剥き、すぐに他の者に声をかけた上で、迎えの馬車が来るまで待っていて欲しいと告げてきた。
1人で歩いて行った方が早いのだろうが、そこは慣例というものに従わざるを得ない。
俺は特にすることもなく、待機所のイスに座り、目を瞑った。
体力的には問題がないのだが、神威術である転移の乱用は、それなりに精神的な疲労を蓄積する。
そのまま馬車が来るまでの間、微睡むことにした。
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