第二章 亜人の国 「共生⑯」
サーフィンなら、波に乗る所だ。
だが、俺が向かっているのは沖。波に逆らいながら、前に進まなければならない。
というわけで、左手でWCFTー01を操作しながら、右の利き腕には蒼龍を手に腰だめにしていた。
そう、風撃斬で波を斬るつもりなのである。
しかし、進めば進むほどに波は大きくなり、サーフボード代わりの盾や、WCFTー01の操作が難しくなっていく。
むしろ、先ほどからまったく進んでいない。
これは、おそらくオチ。
ここで風撃斬を放てば、俺は体のバランスを崩して海にツッコむだろう。
いや、そのツッコみは、あのツッコみではない。
関西流で言えば、ツッコみではなく、スベるという流れになる。
これは···ダメだろう。
観ている人がいれば、思い切って風撃斬を放ち、大げさに海に落ちることで多少なりとも笑いがとれるかもしれない。
だが、今は独り。
観客などいないのである。
よし···無難にいこう。
これは任務と同じだ。
失敗イコール死。
関西人の血よりも、エージェントとしての本懐を遂げることを優先した。
というわけで、苦悩の末に蒼龍を戻し、再び集中力を高める。
盾の前部が波と接触する瞬間に、後ろ足に重心を移動。
鋭角な部分が45度の角度で浮かび上がったタイミングを見計らい、WCFTー01のトリガーをさらにしぼる。
加速を計算しながら、トリガーのしぼりこみ位置を調整、そして斜め上に加速した瞬間に、WCFTー01を海面と平行に維持し前へと飛ばす。
波への対処はクリア。
あとは、これを継続してシーサーペントに近づくのみだ。
実感では、マリンスポーツの類いではなかった。
そう、これは操船と同じ感覚なのだと、今更ながらに気づいたのである。
そこを思えば、あとは攻略は簡単だった。
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