第二章 亜人の国「清廉なる魔王⑱」
「ヴェルザンデイの実体はどこにあるんだ?」
「神界だよ。」
「神が下界に介入するのはご法度ではないのか?」
「予言くらいなら問題ないよ。それを信じるかどうかは、下界の人次第だし。」
なるほどな。
神託と似たようなものか。
「それで、リーナが言うには、魔王と契りを交わせと予言したと聞いているが、あの意味は?」
「契りというのは、そのままの意味だよ。」
「そのまま?」
「婚姻を結べば良い。」
「···なぜ?」
嫌だ。
絶対に嫌だ。
「そんなに嫌そうな顔をしなくても···リーナはかわいいし、相手は王族だよ。何に不満があるのさ?」
「亜人側につく魔王と、人族の有力者が婚姻を結べば、人種差別はなくなるとでも思っているのか?」
「効果がまったくない訳じゃないでしょ?」
「多少は影響するかもしれないが、俺は元々人族だからな。市井の状況は変わらないさ。」
「ん~、そうかなぁ。」
「むしろ、今ある脅威を遠ざけるための交渉をすべきだと思うけどね。」
「王家と縁を持てば、魔族に対抗できるでしょ?」
「さっき話した通り、俺は堕神シュテインとの因縁がある。この国や大陸のことは、基本的にその土地の者が自ら解決できなければ意味がないと思うぞ。」
「シュテインかぁ···確かに厄介な相手だよなぁ。」
「やっぱり、神繋がりでシュテインを知っているのか?」
「話は聞いているよ。彼は邪神だからね。」
「邪神ねぇ···。」
「邪神は人の負の感情が大好きだからね。放置しておくと、多くの人が命を落とす。」
「倒す手だてはないのか?」
「真神だからね。物理的に倒すのは難しいと思うよ。」
神界に戻すのも、倒すのも難しいとなると、対処が厳しすぎる。
「何か方法はないのか?」
「ない···と思う。」
シュテインの対処については、アトレイクが戻るのを待つしかないか。
神会質疑で神界に戻されているから、あまり期待はできないがな。
更迭とかされていそうだし。
神が更迭されるって、どうかとは思うが···。
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