第二章 亜人の国「清廉なる魔王⑦」
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その後、御前試合はすぐに幕を閉じた。
再び城内を案内され、湯浴みをするように言われて浴場に向かったのだが、そこにはあの亜人3人衆···いや、メイド達がいた。
「お背中をお流しします。」
いや、おまえが下水に流されろ。
「お召し物を脱がさせていただきます。」
そう言って先に脱ぐのはやめろ。
「はあ、はあ、私が前の方を洗わせて···。」
消えろ、変態。
というわけで、メイド達は排除···ん、んん、ご退場していただいた。
浴室を後にして、用意された衣装を着ようとすると、また奴らは復活した。
「ささ、着付は私にお任せください。」
気つけは不要だ。
「さあ、あなた様の下着を···。」
やめろ、俺の魔王に触るな。
「素晴らしいお尻···。」
ケツを揉むのはやめてくれ。
もちろん、部屋から放り出した。窓から全力で。
魔物だ。
この城には魔物がいる。
謁見の間。
ようやく本題へと進んだ。
着替えた俺が案内をされたのは、質実剛健とも言うべき大広間。
派手さはないが、質の高い調度品で飾られている。
「冒険者ナミヘイよ。先ほどはご苦労であった。ランクに違わぬ強さ、しかと見せてもらったぞ。」
いや、模擬戦にフルプレートアーマーを装備とかないわ。
「そなたから見て、我が国の騎士はどうであった?」
「正直に申し上げてもよろしいのでしょうか?」
「かまわぬ。」
「研鑽する意味を履き違えている方が多いように思えます。」
「履き違えとな?」
「魔族と対峙する王太子殿下のお姿を拝見しました。殿下は民や部下のために、実力差のある強敵を前に一歩も引くことなく、勇敢に立ち向かわれていました。その様子に比べれば、児戯の類いにしか思えません。」
俺の言葉に周りがざわつきだした。
この謁見の間には、御前試合を見学していた貴族達が席を連ねている。将軍の姿は見当たらないが、先ほどの結果に思うところがあるのか、所用と偽って席を外したのかもしれない。
このような場で王城内のことに意見をするのは、不敬罪で処刑の運命を辿るのが定石だ。
だが、次期国王である王太子を讃えた以上、それに貴族連中が意見をするのは、王太子の行動を軽んじることになりかねかない。
こういった処世術は、エージェントの世界では基本中の基本。
遠回しや間接的な言い回しで、相手に何かを気づかせるための作為的なものとなる。
「ふむ···参考にしよう。時に、そなたのそのマスクだが、理由は聞いておるが、どうしても外すわけにはいかぬか?」
国王はわざとらしく、リーナの顔をチラ見しながら、そんなことを言ってきた。
どうやら、すでに正体がバレているようだった。
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