第二章 亜人の国「清廉なる魔王④」
「これは失礼を。出生が田舎なもので、礼儀や作法を弁えておりませんでした。」
再度頭を下げて、謝罪する。
「貴様···。」
「フェミリウム将軍。彼は私の恩人だ。多少の不敬には目を瞑ってくれないか?」
王太子の一言で、フェミリウム将軍は口を閉ざし、小さく舌打ちをした。
「構わぬ。その者も謝罪しておるしな。」
続く国王陛下の言葉に、フェミリウム将軍もさすがにそれ以上は何も言わなかった。
「冒険者ナミへイよ。面を上げよ。」
国王の言葉に顔を上げる。
視界の端に映るリーナの表情が、ハッとしたものに変わった。
さすがにバレたかもしれない。
瞳の色までは偽れないし、この場面で白眼を剥くわけにはいかないだろう。
「王太子セインから話は聞いておる。試すようで悪いが、そなたの実力を示してはくれぬか?」
低く落ち着いた声音で話す国王からは、悪意などは微塵たりとも感じられなかった。むしろ、清々しいほどの誠実さを感じるほどだ。
「御意にございます。」
「うむ。では、進行を再開してくれ。」
国王の言葉に従い、近衛親衛隊長のトゥーランが前に進み出た。
「それでは、ランクSSS冒険者ナミヘイ·タイガ·ヌキスギタの御前試合及び、勇者としての認定監査を執り行う!」
トゥーランよ。
わざわざツッコマないが、ヌキスギタではないぞ。
貴族の何人かが頭に手をやったじゃないか···。
まあ、お望み通り毟ってやっても良いがな。
「対戦者、前へ!」
トゥーランの指示で出てきたのは、木剣と木盾を持ち、フルプレートアーマーで身を包んだ大男だった。
身長2メートル、体重はアーマー込みで200キロというところか。
それにしても、木剣と木盾はともかく、模擬戦でフルプレートアーマーを着るか普通?
「ルールの説明に移るが、ナミへイ殿は魔法は使えるのかな?」
「いえ、使えません。」
「魔法なしでランクSSSとは···。」
「何か問題でも?」
「今は良いが、魔族相手に魔法なしでは瞬殺されると思うがな。」
トゥーランの言っていることは正論だろう。普通に考えて、最低でも身体能力強化魔法くらいは使えなくては、魔族に対抗するのは難しいことだ。
「そうですね。なぜランクSSSなんかになったのでしょうね。」
「···ギルドにいる全ランクの冒険者を半殺しにしたからだと聞いているが?」
「···知っていたんですね。」
「もちろんだ。全員がギルドマスターと同じ髪型にされたとも聞いている。」
トゥーランよ、同じではない。
ギルマスのようなバーコードにはできん。
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