第二章 亜人の国「冒険者ナミヘイ⑳」
翌日。
夜が明けると、すぐに冒険者ギルドに向かった。
新人冒険者達に渡す料理レシピを作るためだ。
レシピに沿って大まかな説明を行い、厨房で実技を学んでもらう。基本的には彼らの前で実演し、それを真似てもらうことが主体となるが、多くの料理教室で採用されているカリキュラムに似ているとも言えた。
当然のことだが、今回の主旨を踏まえて、夜営で役立つ技法を中心に身につけてもらうつもりだ。
昨夜の調査結果についてだが、公爵本人ではなく、別の考察すべき人間が出てきてしまっていた。
フェミリウム公爵の書斎を探しだして机や書棚を調べてみたが、本人に関してはそれほど気を引くものはなかった。
だが、別の成果として、王国軍の将軍職にある次男に関する調査書を発見することとなった。
それが公爵の執務机の引出し、それも上げ底にして作った隠しスペースから見つかったのだ。
親子間で対立していると言うよりも、公爵が息子の行動に何らかの危惧を持ち、何者かを使って調べあげたような内容だった。
加えて言うならば、去り際に別館の近くを通った時に、それまで反応しなかったソート·ジャッジメントがそこで反応した。
選民思想にかぶれ、他種族を迫害対象とするかの言動を繰り返す公爵よりも、将軍の立場にある次男の方が悪意に満ちているということだ。
貴族や国防を担う立場として、大いなる野心を持つことは当然とも言えるが、俺が感じたのは、やがて甚大な被害をもたらすような悪意でしかなかった。
要は正攻法ではなく、クーデターや数多くの被害者を生む類いの厄災を撒き散らす要因になりえる存在だということだ。
まだまだ情報は足りていないが、公爵ではなく将軍にターゲットを移した方が良いと再考させられてしまった。
午前中の2時間ほどを新人冒険者と共に過ごした俺は、カツラ、マスク、額当てなどのナミへーセットに身を包み王城を訪れた。
城門の詰所で本人確認を済ませて待機室で迎えを待っていると、カチャカチャという鎧の音と共に1人の騎士が部屋に入ってきた。
「ナミヘイ·タイガ·ヌケスギタ殿でお間違いないか?」
洗練された物腰と、鷹の眼のような眼光。
気品と荒々しさが同居したような偉丈夫と言えよう。
「そうです。私がナミヘイです。」
「私は近衛親衛隊を指揮するトゥーラン·テイゲイ。貴殿をお迎えに来た。」
近衛親衛隊というのは、おそらく王族を守護するポジションの者だろう。
そして、トゥーラン·テイゲイと名乗ったこの男の立ち居振舞いを見る限り、高位の貴族出身であるとも感じられる。
騎士の中でも、エリート中のエリート。
王太子からの招きとは言え、このランクの者がお出迎えとは、ただの御礼のために呼ばれたのではなさそうに思えた。
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