第二章 亜人の国「冒険者ナミヘイ⑱」
サブリナとの話の後、クランハウス内に部屋を用意してもらった。
外見上、人族であることはすぐにわかるので、他のメンバーとの摩擦を気にしたのだが、冒険者ギルドでの一件がすでに知れ渡っており、全員が歓迎ムードとまではいかないものの、拒絶する者はいなかった。
簡単な歓待を受けてから部屋に戻り、すぐに夜の街にくり出す。
向かうのは、フェミリウム公爵の屋敷。
今のところ、公爵と敵対している訳ではないが、これまでの情報からすると、いずれ潰す対象となりえる。
明確な敵対関係になると、警戒が強まる可能性が高いので、今のうちに屋敷を探ってみようと考えたのだ。
王城に近い位置に広大な敷地をかまえるフェミリウム公爵邸。
その全容を見るために、まずは王都の真ん中にある時計塔に忍び込んだ。
その最上階から、AMRー01のスコープで要所要所を捉える。
暗視鏡ではないため、月明かりと窓からの照明による仄かな光が頼りとなるが、警備にあたる詰所や巡回ルートの割り出しに関しては、セオリーから逸脱していない。
およそ1時間の監視で、侵入ルートを割り出すことができた。
ただ、一つだけ違和感があった。
敷地内に離れ···と言っても、別館の規模の建物があり、その周囲警戒が尋常ではないものだったのだ。
建物は明らかに居住用。となれば、おそらく別邸には、王国軍の将軍を務める次男が住んでいると推測ができた。
しかし、本館よりも別館の警備の方が厳重というのが解せない。
公爵は爵位の上では最上位貴族である。しかし、国の要職にいるかと言えば、どちらかと言えば御意見番的な立場だと聞いている。
それに対して、国防を担う将軍ともなれば、住居に厳重な警護を擁するというのは頷けることではある。
だが、普通に考えれば、広大とはいえ同じ敷地内に住む家族で、この警護の差異はおかしい。
敷地の外周を囲った塀の何ヵ所かに詰所を設け、内外の巡回要員を増やす方が建設的だと言えるのだ。
違う観点から考えると、公爵と将軍親子で、意思の疎通が破綻している可能性も感じられた。
対象となる2人と実際に接触したことはないため、今のところは数少ない違和感でしかない。
俺はAMRー01を収納すると、時計塔を出て、フェミリウム公爵邸へと暗闇にまぎれて移動した。
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