第二章 亜人の国「冒険者ナミヘイ⑮」
冒険者ギルドを出た俺は、エルミアが待つクランハウスに向かった。
王都でも外周近くに位置するそれは、簡単な手書き地図をもらっていたこともあり、すぐに見つけることができたのだが···。
「人族が何のようだ?」
「冒険者ギルドでの一件は聞いている。まさか、その報復に来たのじゃないだろうな?」
クランハウスの前で待ち受けていたのは、剣呑な表情をした2人のエルフだった。
双子か兄妹なのか、顔つきはそっくりだが、秀麗なエルフの顔なだけに、敵意丸出しの今は冷め冷めとした鋭さを見せている。
「エルミアと約束があるから来たんだが?」
正直に来訪理由を述べたが、次に出てきた返答があまりよろしいものではなかった。
「エルミアだと?貴様か!?エルミアにつきまとっている奴は?」
「は?」
「その髪の色···間違いないわ。あのカツラ勇者ね。」
···マイクよ、おまえは普段からエルミアのストーカーだったのか?
そうか、だから俺を夫として紹介したのか···。
「いや、違うんだが···。」
「黙れっ!この変質者が!?」
「カツラを被るような卑怯者にエルミアは会わせないわ。」
···カツラを被ると卑怯者なのか?
ああ、クソソンはそうかもしれないな。
でも、マイクは地肌さらし放題になっているから、卑怯者から限界突破しているのでは?
「カツラは被っているが、俺は勇者マイクじゃないぞ。」
俺はスコッとカツラを外した。
「···あれ?髪が···ある!?」
「騙されないで!カツラの下にカツラを被っているのよ!!」
そんな奴いるかっ!?
「あれー?ナミヘーさん?」
門扉の奥から声をかけてきたのは、冒険者ギルドにいた兎人族のリーリュアだった。
「あ、やっぱりー。びっくりしましたよぉ。その頭、付け替えができるんですねー。」
できるかっ!
「いや、黒髪が地毛だ。事情があって、カツラをつけていただけなんだが。」
「あ、そうなんですね。だから、ギルドではたまにズレていたんですね。納得しました。」
む···たまにズレていたのか···。
「し、知り合いなのか?リーリュア。」
「はい。ナミヘーさんです。ギルドで人族冒険者の頭を刈った人です。」
「え···こいつが···?」
「···自分がカツラを被らないといけない状態だからって···他人の頭まで道連れにするとは···。」
いや、違うから。
ホント違うから。
俺はハゲてねぇし。
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