第二章 亜人の国「冒険者ナミヘイ⑨」
意識のない冒険者を全員縛りあげた。
その間、俺の行動を見ていた冒険者ギルドの職員も、獣人やエルフといった冒険者達も、唖然とした顔で距離を置いて見ているだけだった。
バシャッ!
謝罪DEATHの後に蹴りをかました男にコップの水をかけた。
「ぶはっ!あ···あ、げふぉつ···。」
椅子に座らせて縄で固定しているため、鼻から入った水でむせかえっている。
「トワイだったよな?気分はどうだ?」
「···き、貴様っ!?ころ···。」
トワイが、周囲の状況に気がついた。
「み···みんな···。な、何だよ、これ!?」
「ギルマスを殴って気絶させたことは覚えているか?」
「え?はあ!?ギルマスを殴って···て、できるわけないだろ!?あのギルマスは、元ランクSだぞ!!」
え?
嘘?
あのバーコードが?
「引退しているから、腕が落ちてる。現役の冒険者なら、それくらいできてあたりまえだ。」
「い、いや、俺はランクBだぞ!?いくら年老いたとはいえ···。」
「年老いたって···あのおっさんはまだ40歳くらいだろ?老けてるってか?主に頭が。」
「い、いやいやいやいや!そんなつもりは···。」
「まあ、不意打ちで殴ったことには変わりはない。」
「ち、違う!」
「いや、証人もいる。」
リーリュア達に視線をやると、目をそらされた。
「···ほらな。」
「いや!?あいつらの反応がおかしいだろっ!」
「気のせいだろう。おまえはギルマスを殴るくらいに錯乱しているからな。」
「な!?違う!なあ、おまえらはわかっているんだろ!?俺がギルマスを殴ったりしていないって!!」
「なんだ?普段はあいつらを蔑んで、見るに耐えない仕打ちをしているのに、こういった時は頼るのか?」
「いや···それは···。」
「自分でもおかしいとは思わないのか?」
「ぐ···。」
「まあ、口で諭してもこれまでの行動はすぐに改まらないだろ。」
俺はナイフを抜き出した。
「ひっ!?」
トワイは目を見開き、やがて震えだした。
「ナミヘーさん!それはやり過ぎですっ!!」
リーリュアやシーリー達が俺を止めようと詰め寄ってきた。
「優しいな。こんな奴らは助ける必要なんかないと思うぞ。」
「ですが、いくら何でも···。」
「ナミヘー、それくらいで良い。殺してしまえば、おまえがただでは済まない。」
それまで無言だったバーンまでが、止めに入ってきた。一番腹を立てていたようだが、俺の行いを見て冷静になったようだ。
「仕方がないな。トワイ、おまえらはバーン達に感謝すべきだな。命は奪わないでやる。ただ、他人から嘲笑され、蔑みを受ける経験はしてもらうぞ。」
俺はわざと冷酷な笑みを見せた。
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