第二章 亜人の国「エージェント vs 巨人⑨」
ヘカトンケイルの絶命を確認した後、ガイ達の状況を見る。
比較的高さのない崖部分を登ろうとしていたが、ヘカトンケイルの血の臭いでもかいだのだろうか、大蜥蜴が相当数発生していた。
大蜥蜴は個体では大した脅威ではないが、数も多く、その猛毒が厄介になる。
ふと、カリス監修の銃器を思い出した。完成品を受け取ったものの、試射はまだしていない。
今のうちに試しておくかと思い、キーワードを発動した。
"毎度おおきに!"
相変わらず凹む。
なぜ、空間収納を利用する際のキーワードが、こんなものなのだ。
いろいろと試してみたのだが何を言っても起動せず、適当に言葉を並べていると反応したのが、"毎度おおきに!"だった。
絶対に、あの堕神の趣味だろう。
「はぁ···。」
大きな溜め息をつきながら、手もとに現れた追加装備を見る。
ストックから伸びた大半が木製の本体。その真ん中より先が左右45度に可動し、出力方式が切り替えれる仕組みとなっている。
全長1180mmのそれは、パッと見た感じで、ハンティングライフルのレミントンM700を連想させる。
ただし、明らかに異なるシルエットとして、ノズル部分がサイレンサーが装着されているかのように太くなっており、先に向かってやや細く絞られている。
製作コードはWCFTー01。
一般的な銃器とは異なり、このWCFTー01には弾丸を使用しない。
メインの弾薬は風属性の魔石。それに水属性と火属性の魔石を切り替えて出力融合させる。
水属性の魔石を起動させると、無制限に水を発生させる。これに風属性の魔石が超高出力で噴射を行い、細い銃砲身内で圧縮させ、銃口から放出を行う。威力は名前の通りだ。超高圧の水は鋼鉄にも穴をあけ、銃身を動かすことで剣の代替えにもなる。有効攻撃範囲は10メートル未満と短いが、多数の魔物を相手にする時や、蒼龍や破龍の刃渡りでは切断の難しい大物にも対処ができる。
火属性の魔石に切り替えた場合は、文字通り火炎放射器としての機能を有するが、引き金を深く引くことで、別で装填された魔石から酸素の供給を受け、その燃焼温度が飛躍的に上がる。言うなれば、火炎放射器とバーナーの効果を引き金の操作だけで簡単に切り替えることが可能だ。
カリスには元の世界で実在するウォーターカッターと、燃焼の仕組みについてのレクチャーを行ったのだが、この世界の人間としては理解しにくい内容をすぐに把握し、WCFTー01の実用化にこぎつけた。彼女は本物の天才と言っても良いだろう。
超高水圧式裁断機&火炎放射器。略して、WCFTー01だ。
例によって、まんまだが···何か?
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