第二章 亜人の国「エージェント vs 巨人③」
ブリーフィングから2日後。
俺たちは渓谷に来ていた。
メンバーは囮役のダニエル、索敵のためにガイ、ダニエルが負傷した際の回復役でゆるふわちゃん···本名ケティちゃん、そして狙撃手である俺···のはずだったのだが···。
「好奇心旺盛なのも良いですが、万一の際にカバーができるかは、わからないですよ?」
「大丈夫です。私も障壁くらいは張れますし、キャロの魔法で援護も可能ですから。」
いや···それでどうこうできる相手じゃないから、この作戦を立てたのだろうが···本当にこの王女は···。
危険だからと言って、同行を断っていたのだが、後から勝手に追って来たのだ。
途中で魔物に襲われて危険な状況になっていたのに気づき、結局は渓谷まで一緒に来てしまった。
リーナは普段から非常識なところがあるらしく、「何とかしろ。」というアイコンタクトを全員に送ったのだが、そのことごとくを無視された。
王女が命を落としても良いのか?
普通は良くないよな?
なのに、なぜお前たちは「自分に振るな。」オーラを全開にする?
「諦めるしかなさそうだ。ヘカトンケイルの攻撃範囲に入る前に、がんばって倒してくれ。」
ポンッと肩を叩いて話しかけてくるガイは達観している。
先ほど少し話をしたが、これについては意見が一致した。
要するに、自ら死地に飛び込む奴は、救いようのないバカであると。
渓谷の風下である南側から、ヘカトンケイルの捜索を開始した。
渓谷は真っ直ぐに伸びているわけではない。
大きくアールを描いたり、ジグザグになっているので、見晴らしはきかない。
ガイは視力だけではなく、聖霊の力を借りながら索敵を進めていくが、先にヘカトンケイルに見つかるわけにはいかないので、慎重に進んでいった。
渓谷の幅は、一番狭い所でも数キロの隔たりがある。高さは5~10メートル。おまけに、下には猛毒を持つ大蜥蜴が蔓延っているらしい。この大蜥蜴とヘカトンケイルは共存しているのかもしれないが、それが横断をさらに困難にしていた。当然のことながら、神風の時は大蜥蜴も避難していたため、リーナ達が通過した時は、その対処はいらなかったそうだ。
半日ほどが経過したところで、ようやくヘカトンケイルが見つかった。
だが···状況が想定外だった。
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